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●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【807万人】 「円が強いと、どうして日本が困るの?」中学生の娘の素朴な疑問に、どう答えたらいいんだろう

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 もう1ヶ月以上、私はこの娘の素朴な疑問に答えを出すことができずにいます。10月、急激な円高が日本を襲い、株価がバブル後の最安値を記録した頃、連日報道されるニュースを見て、中学2年の娘がボソっと聞いてきました。

 「円高って、円の価値が高いことだって学校で習ったわ。円が強くなりすぎたって。でも、円が強いって、日本にとってはいいことじゃないの? 1ドル100円から90円になると、1ドルの物を買うのに、90円で買えるってことでしょ? 嬉しいじゃない。なのに、どうして株が下がるの? どうして不況になっちゃうの?」

 言葉の意味が判らないのであれば、私にもある程度の説明は可能でした。円高だと、海外の人が日本の製品を買う価格が上がるので、物が売れなくなるとか。その説明には、娘も理解を示します。でも、娘はやっぱり納得してくれません。なぜ「円高になる」と「円の価値が高く」なって「円が強く」なるのに、日本の経済が悪くなるのか。今まで100円出さないと買えなかったものが、90円で買えるようになれば、儲かる会社はたくさんあるんじゃないのか。海外旅行でブランド物が安く買えるし。海外から安く原料が買えるから、利益が出るんじゃないんのか。円が強いということは、日本にとって、いいことじゃないのか。喜ぶ日本人はたくさんいるんじゃないのか。いいことだってたくさんあるはずなのに、なぜ困ってばかりいるのか。どうして株が一方的に下がっちゃうのか…。娘の疑問は、単なる言葉の理解ができないという話ではなかったのです。

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 ニュースをみれば、Webで探せば、いろんな経済のプロ諸氏が、円高によるマイナス面を強調しています。確かに、それは正しいのかもしれません。でも。円高は、本当にマイナス面しかないのか。なぜ経済のプロたちは、円高のプラス面を探し、それを伸ばすアイデアを出さないのか。株価がこれだけ下げている中で、楽観的な見解を出しにくいのかもしれませんが、ピンチの時こそ、ポジティブ志向で、プラス面に目を向け、それを伸ばす作戦を考えることが大事なんじゃないのかなぁ。

 もっと言えば、仮にこのまま円高が進行しちゃったら、それこそ大変なことになるんでしょうが、円高を前提とした戦略に切り替えるしか生き残る道はないわけで、その方法を真剣に議論することの方が大事なわけで、そんなことは私みたいな素人が偉そうに言わなくてもいい話なんですけど、でも、メディアを見ている限り、そうなってないように感じるんですよね。だから、中学生の娘には、日本は困っているとしか映らないわけです。

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 第一生命経済研究所の長濱利廣主席エコノミストが、貴重なデータを公開しています。それによれば、日本の企業を俯瞰してみると、円高でピンチになる企業で働く人よりも、プラスになる企業で働く人の方が【807万人】も多いそうです。大企業には、製造業を中心に輸出型の企業が多く、円高がマイナスに作用するので、ニュースとして目立ってしまうという側面は否めません。でも、それは経済全体でみれば、一部でしかないと、きちんとマスメディアは伝えてほしい。製造業でも、原料価格が下がることで、円高がプラスになっている企業もあるし、輸入を中心とした商社や資源関連業種は円高メリットをフルに受けています。そうしたプラスの側面をちゃんと知りたい。そうでないと、私たちは日々下を向いて生きなければなりません。

 元大蔵省財務官僚で、かつて“ミスター円”と言われた、早稲田大学教授の榊原英資氏は、「円高を生かす方向に国の戦略を転換すべきだ」と述べた上で、「強い円は日本の国益だ」と言い切っています(週刊東洋経済11月15日号より引用)。「産業構造を農業や資源、エネルギー産業などの川上にシフトする。今の日本に必要なのは、消費者庁ではなく資源賞だろう」(同誌)。

 反省は未来のために必要なことです。しかしながら、批判だけでは何も生まない。それより、現状を受け入れ、前提を変えるべきだと、榊原教授は指摘しているように私には思えます。そんな明るい、前向きな議論が多数生まれてくれば、娘も「円が高いと、やっぱり日本は強くなるんだ」と思えるんではないでしょうか。。。

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