【7,600円】 “KY”ならぬ“KN”な日本人
このところの円高や株価急落で、日本経済の行方を案ずるニュースがメディアにあふれています。みなさんの中にも、実際に所有株式が含み損を抱えたり、また実際の仕事で影響を受けている方もいらっしゃることと思います。たとえ実際に直接的な被害を受けていなくても、不安な空気を感じている方が多数ではないでしょうか。
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私が支持する経済問題の論客・財部誠一さんが、いつにもまして強い論調で日本経済の実態を語っています。米国の金融不安に端を発し、世界中に広がりを見せている今回の危機的状況ですが、こと日本については、財部さんによれば、『滑稽なパニック』であり、『東京市場の暴落は単なる「いいがかり」だ』だそうです。
- 日本は元来が心配性で、「危機のようなもの」が来ると、それがいったいどれほどの真実味をもって現れた現象なのかを冷静に分析することもなく、ただただ「危機だ、危機だ」と騒ぎ立てる“有識者”が多すぎる。
- 日経平均が【7,600円】をつけた02年当時の日本と今の日本とは雲泥の差、天地の違いだ。日経平均がその水準近くまで売り込まれている合理的理由は絶対にない。ましてやNY市場を上回るピッチで下げるなどという自体に、格別な意味を見出すことはナンセンス以外の何物でもない。
- その(=米国の)対極にいるのが日本だ。フローの景気はたしかに減速している。調子が悪いことは間違いない。だがこれから本格的な不良債権処理が始まり、住宅をATMがわりにしてきたローン漬け消費が崩壊した米国と日本を同じ次元で語ることはまったくばかげている。
※nikkeiBPnet財部誠一の立体思考2008年10月14日より引用
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経済の専門家でもない私が自分の見解を述べることは差し控えますが、財部さんが指摘するように、“実体”よりも“空気”、“事実”よりも“心理”で動いてしまう危険性には、私も頷ける部分が多々あります。かつて私は、「株価や為替は、実体経済の先取り指標だ」と学びましたが、財部さんに習えば、実体よりも空気が反映されているという方が正しい、ということになるのでしょうか。
“KY”は、空気の読めない人を比喩した言葉ですが、最近の日本人は、“KY”というより“KN”、つまり空気に流されやすい人々、というべきなのかもしれません。
考えてみれば、“KN”は今にはじまった日本人の特徴ではないのかも。売れている商品を見ると、つい自分も買ってしまうとか。自分の意見があっても、回りの雰囲気を伺って、意見を変えてみたり。あまりに稚拙な比喩なのかもしれませんが、昔から指摘されてきた、欧米人に比して自己主張が弱い日本人という側面が、今の経済情勢にも映っているという捉え方は、短絡的すぎるのでしょうか。
ともかく。今の経済情勢が、財部さんの指摘する通りであれば、心配し過ぎる必要なないわけですが、なかなかそう思い切れないのが正直なところです。ひょっとしたら、株価が【7,600円】を下回る瞬間がくるんじゃないか…なーんて思ってしまうわけで。私も典型的な日本人、ってことですか。。。