【4兆円】 本当はSONYを買収したかった~元ライブドア社長の堀江氏が明かした真相を考えてみる
前回のエントリーで紹介した、元ライブドア社長の堀江貴文氏が沈黙を破ってブログを開設し、インタビューにも登場したという話題。今回はその中身をちょっと考えてみたいと思います。
堀江氏のブログやインタビュー記事をざっと読んで、そーなんだ~と思ったことが2つあります。1点目は「本当はSONYを買収したかった」と、大胆な発言をしていること。
- (前略)…ソニーが魅力的だったのは,音楽と映像のコンテンツを保有していること。それにオーディオ機器やモバイル,有機ELなどの技術。金融商品もあり,FeliCaの技術もある。逆にいらないと思っていたのは,大型テレビなどの家電製品で,中国の家電メーカーに売却するつもりでした。ゲーム機事業もいい時はいいが悪い時のリスクが大きいので,マイクロソフトに売却してしまえばいいと考えていました…(後略)
※以上、日経BP社・ITproのインタビュー記事「沈黙を破ったホリエモン,ITを語る」より引用
インタビュー記事では、当時のSONYの時価総額を【4兆円】と試算し、それをライブドアの自己資金、増資による調達、村上ファンドからの出資などをベースに資金を捻出し、友好的TOBを持ちかけるという買収の青写真までを語っています。従来の日本的経営感覚ではなかなかお目にかかれなかった大胆な計画。そこまでして堀江氏が達成したかったことは何だったのか。インタビューではそこまで語ってはいません。
TBS買収計画で堀江氏はメディア所有への野心を明確にしていました。SONYについても、家電メーカーとしてのSONYには興味を示さず、コンテンツホルダーとしての魅力に言及しています。ネットにせよTVにせよラジオにせよ、メディアの優位性を左右するのはコンテンツである…というのは多くの方が指摘する論点だと思いますが、堀江氏の考え方もコレに沿っていると思います。
堀江氏が目指したものは、ネットを軸とした、これからのメディアで一番になりたい~そのためには優れたコンテンツと、時代にマッチした(それこそiPhoneのような)デバイスが必要不可欠~という、極めてスタンダードなものだったんじゃないでしょうか。“デッカイけど、とっても正統派で、けっして特殊じゃない野望”って感じがするんです。今まで堀江氏ほどの大胆さで行動を起こした経営者が日本ではいなかったから、すごく目立ってしまったし、違和感もあっただろうけど、そのポリシーは、すごくピュアなものだったような気がします。ただ、それを実現する方法論がまずかった。結局彼の野望は実現せず、資金調達の過程で道を誤ってしまったわけですが、彼が描いていた夢そのものには、魅力を感じる人も結構多いんじゃないでしょうか。
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2点目は、Googleは技術力がある企業かどうかという話に関連して、技術力とは何かをインタビュアーと議論している点。堀江氏は、Google成長のカギを、検索エンジンのロジックではなく、検索結果を早く表示するための大量のサーバー設置にあると断言し、その上で、次のように話しています。
- (前略)…技術力で当時のライブドアがGoogleに負けていたかと問われれば,正直な気持ちとして「そんなことはないよ」と言える。逆にGoogleは大した技術力があるとは思っていません。優秀なプログラマが大勢いる会社というよりも,泥臭い技術力の会社だと思います…(後略)
※以上、日経BP社・ITproのインタビュー記事「沈黙を破ったホリエモン,ITを語る」より引用
Googleに技術力がないという見方には、違和感を感じる方も多いかと思います。でも彼の視点、すなわち、何をもって技術力のある会社だと定義するかは、すごく難しいと私も思います。加えて言えば、世間一般の【IT系の会社=技術力で勝負している】というイメージは、私も常々一面的だと感じています。つまり、突出して成長している会社が優れている点は、アイデアが一番で、次に、それを実現するための手段(=技術力だったり、デバイスだったり、インフラだったりしますが)じゃないかと思っていますので、この点に関する堀江氏の意見には、個人的に同調します。
もっとも上記のインタビューに関しては、堀江氏のブログで表現不足だと反論している点もあるようなので、興味のある方は読み比べてみてください。。。