【握手の作法】その3秒が命取り?「選ばれる人」になるための握手のルール

日本では欧米ほど握手の習慣が根付いているとは言えません。
しかし、グローバル化やコミュニケーションスタイルの変化に伴い、
ビジネスや社交の場で手を差し出す機会は確実に増えているといえるでしょう。
握手には、言葉以上に自分を表現する力があります。
たった数秒で相手との距離を縮め、信頼を勝ち取ることさえ可能です。
政治家の「握手」に見る、勝負の分かれ目
日本で最も握手の機会が多い人たちといえば、政治家の皆さんでしょう。
私は仕事柄、それなりに政治家の方々と接する機会がありますが、
そこで確信した法則があります。
「選挙に弱い政治家は、往々にして握手が下手である」ということです。
例えば、立会演説会の後に聴衆と順々に握手をする場面において、
選挙に弱い政治家(=選ばれない人)には、共通した「悪癖」が見られます。
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しっかりと握らない: 指先だけで触れるような生気のない握手は、相手に「自信のなさ」や「誠意の欠如」を感じさせます。
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視線が合っていない: 手は握っているのに、目はすでに次の人を探してキョロキョロしている。
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「ながら」握手: 別の誰かと喋りながら、横を向いて適当に手を差し出す。
これでは、せっかく演説に足を運んでくれた聴衆に対し、
「あなたは私にとって、それほど大事な人ではありません」と宣言しているようなものです。
これほど、もったいない話はありません。
その瞬間の振る舞いで、票を自ら逃しているようなものです。
心を掴む「効果的な握手」のポイント
では、どのようにすれば相手に「この人なら信頼できる」と思わせる握手ができるのでしょうか。
順々に解説したいと思います。
1. 「アイ・トゥ・アイ」の徹底
握手の主役は「手」だと思われがちですが、実は**「目」**です。
手を握る直前から握って離すまでの間、しっかりと相手の目を見つめてください。
相手が100人ずらりと並んでいても、
その一瞬だけは「目の前のこの人だけ」に全神経を集中させます。
この「誠実さ」こそが最も重要です。
2. 適度な力強さで「同調」する
弱すぎる握手は不信感を与えますが、強すぎても威圧的になります。
理想は、相手が握ってくる強さにそっと合わせる「ミラーリング」です。
相手の手の熱を感じるくらいの、心地よい力強さを意識しましょう。
3. 「ながら」を完全に排除する
どんなに急いでいても、握手の瞬間は会話も視線もその一人に捧げます。
「あなたを大切に思っています」というメッセージは、
言葉ではなく、その数秒間の集中力によって伝わるものです。
4. 握手は必ず「右手」で行う
握手は、必ず「右手」で行うのが万国共通の鉄則です。
たとえ左利きであっても、握手は右手。
これには歴史的な背景と、マナーとしての明確な理由があります。
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「武器を持っていない」ことの証明: 古来、利き手である右手は武器(剣や銃)を持つ手でした。その右手を差し出すことは、「私はあなたに敵意を持っていません」「隠し持った武器はありません」という平和と信頼のサインだったのです。
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不浄の手(一部の文化): 中東やインド、アフリカの一部地域では、左手は「不浄の手(トイレなどで使う手)」とされています。左手で握手を求めることは、相手に対して非常に失礼な侮辱行為になってしまいます。
もし右手が使えない場合は?
怪我や病気などでどうしても右手が使えない場合は、「右手が使えないこと」を一言お詫びしてから左手を差し出すか、あるいは軽く会釈(お辞儀)をして丁寧な挨拶に留めるのがスマートです。
最後に:3秒で築く、一生の信頼
握手は、言葉を介さない最短の自己紹介です。
適当に済ませる握手はチャンスを逃す「ミス」でしかありませんが、
心を込めた握手は「強固な絆」の始まりになります。
ビジネスの世界においても、プライベートな友人関係においても
今後間違いなく握手の機会は増えてゆきます。
そんな時、「選ばれる人」になるための第一歩は、
目の前の相手から視線を逸らさず、誠実に手を握ること。
次の出会いでは、
あなたの右手に、言葉以上の想いを込めてみませんか。