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【29歳】 “GUYS & DOLLS”という名のヘッドホン端子に見る、ウォークマン誕生の原点

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 今じゃヘッドホンして音楽聞きながら歩く若者を見るのは、ごく普通の光景ですが、そのルーツはちょうど29年前の今日、初代ウォークマンが誕生した日に遡ります。そう、今日はウォークマン【29歳】の誕生日なんです。“いつでも”“どこでも”“手軽に”音楽を楽しむというスタイル提案が、まさかここまで世の中に普及するとは、さすがのSONYさんも想像していなかったのではないでしょうか。

 第一号機「TPS-L2」は、いわば小型・カセットテープ・ステレオ2ch音声・再生専用機です。単3乾電池×2個で動作し、重量390g、サイズ88(W)×133.5(H)×29(D)mm、定価33,000円というスペックの商品。当時では類を見ない小型軽量ステレオ再生機であったことは間違いないでしょうが、画期的な新技術満載の商品であったかといえば、そうでもなかったようです。ウォークマンが誕生してちょうど20周年の1999年7月1日に、SONYが出したプレスリリースには、こんな記述がありました。

  •  (前略)ウォークマンは、従来のカセットレコーダーから録音機能とスピーカーを取り除き、代わりにステレオ回路とステレオヘッドホン端子を搭載するといった、既存技術を応用して新しい用途を創造するプロダクトプランニングから生まれたものです。(後略)

       SONYプレスリリース1999年7月1日より引用

 発売前、SONY社内には「録音ができないテレコなんて、売れるわけがない」という反対意見が強くあったと言われています。また技術のSONYを標榜する時代に、既存技術を応用しただけの製品を世に送り出すことに対して、いろんな声があったであろうことも容易に想像できます。しかしながら、SONYが提案したのは、技術ではなく、ライフスタイル。それが見事にヒットしたというわけです。

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 そうしたSONYの姿勢は、商品の随所に表れています。私が最も象徴的だなぁと思うのは、ヘッドホン端子が2つあるという点。その端子には“GUYS & DOLLS”と印字されています(写真はこちらを参照ください)。“GUYS & DOLLS”とは、1950年初演の歴史あるミュージカルのタイトル(だそうです)。“野郎どもと女たち”という邦題が示すように、“カップルでお楽しみください”的な、オーディオ機器らしからぬ端子名。“Headphone1/2”と印字しなかったことに、強い意図を感じるのです。“提案したいのは、技術ではなく、新しい音楽の楽しみ方ですよ”という、SONYのメッセージがこめられている感じがするんです。すごくいいですよね、このネーミング。なかなか粋な、遊び心あふれる提案だと思いませんか。

 あれから29年経って、今ではiPodで、携帯で、音楽を映像付きで楽しめるような時代を迎えています。技術の進化は、音楽の楽しみ方をどんどん豊かにしてくれています。でもその原点は“GUYS & DOLLS”にあった…なーんてね。これ、合コンTipsとしてどうですかね。。。

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