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【90円→160円】 ガソリン価格上昇率はオイルショック時以上…なのになぜ、トイレットペーパー買い貯め騒動は起きないのか

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 今日から6月。石油元売り各社は一斉にガソリン価格の値上げを発表しています。この値上げ、いつまで続くのでしょうか。決して起こってはほしくないけれど、これだけ急激な上昇が続くと、不安になってしまうのです。トイレットペーパーの買い貯めは必要ないのか、と。

 これは先輩から聞いた話ですが、第一次オイルショック(1973年)の時、ガソリンをスタンドで給油するときに、他県ナンバー車には10Lしか入れてもらえなかったそうです。当時わたしはまだ小学生でしたから、そこまでの記憶はありません。でも今は、価格が高いだけで、販売制限はありません。いろんな物価も上がってきてはいますが、ガソリン価格の上昇率ほどではありませんし。「困るよなぁ、ほんとに」みたいな会話が普通にされてはいるものの、切迫感があるかといえば、日常場面では、そこまで非常事態的感覚はないでしょう。

 そもそもオイルショックと、今の石油高は、何がどう違うのでしょうか。過去2回のオイルショックは、第四次中東戦争(第一次オイルショック)・イラン革命(第二次オイルショック)と、いずれも戦争や政情不安による供給停止不安が引き金を引いています。これは教科書にも出てくる見解です。それに対し、近年の石油価格急騰は、

 (1)産油国の供給余力(供給力じゃない)の低下
 (2)米国・中国の需要増加
 (3)オイルメジャーの生産力増強投資の減少
 (4)投機的資金の流入

  ※外務省の関税・外国為替等審議会における、
   「最近の国際金融の動向に関する専門部会」2005/5/30資料より引用

 などが主因であると分析されています。いずれにせよ、オイルショック時のような、突発的な事件によるものではありません。そこが根本的に異なります。

 特に(4)は、言い換えれば、マネーゲーム的要因が価格を吊り上げている、ということです。社会はそれを透かして見ている。消費者は「大変だ」「もしかしたら」と不安にかられつつも、「ゲームはいつかは終わる」「バブルは必ずはじける」と心の底では思っている。現に供給力低下によるガソリン不足、といった話は聞きません。だから、誰もトイレットペーパーの買い貯めには走らないわけです。

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 ガソリン価格は、オイルショック以降の底値だった1999年5月・【90円】/Lから、2008年5月現在は【160円】/Lと、なんと77%の上昇。2007年5月調査で136円でしたから、この1年の上昇が特に激しく、オイルショック時よりも高い上昇率となっています(価格はいずれも石油情報センター調べ、レギュラーガソリン全国平均店頭価格)。一方で、消費者物価指数(総合)は、1999年の100.7から100.8(2008年3月現在)と同水準。ここ1年間のガソリン価格高騰があまりにハイペースであるため、「もうすぐ第三次オイルショック到来か?」と疑ってしまうのですが、マクロ数値を見る限り、そこまでの懸念はないようです。

 でも、これだけ急激な価格上昇が起きると、何かが引き金を引いてしまい、不安を一気に増殖させる事態が起こらないとも限らない…そんな不安が過ぎります。また、石油価格の上昇が与える影響の範囲は大変裾野が広いため、今後の物価動向には警戒が必要。現に直近の6ヶ月は、消費者物価指数も徐々に上昇曲線を描いています。各種アンケート調査でも、消費者の8~9割が物価上昇を感じているという結果が出ています。

 個人的な生活実感もアリアリですね。特に食料品の値上がりが顕著な感じがします。「コンビニの100円アイスが一斉に120円アイスになっちゃった」とは、娘の話。「パン、マヨネーズ、マーガリンが値上がったわ」とは、妻の話。また最近は値上げをすると敏感な消費者に敬遠されるので、企業側もいろいろ工夫しているようです。我が家で一番話題になったのは、味の素の冷凍エビシューマイが、値段は変わっていないのに、15個入りだったのが12個入りになっていたこと。食卓の人気商品だけに痛い!こっそり減らしちゃうなんてずるいーっ。聞いてないぞー…そりゃそうか。。。

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