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●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【4原則】 聞きたいのは、あなたの意見なんですよ

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 先回のエントリーで、プレゼンでは「誰が」メッセージを伝えるのかがとても大事じゃないかと書きました。「誰に」「何を」「どう言うか」という3原則に加え、「誰が」という【4原則】が重要だと書きました。ところが、プレゼンの現場では、真逆のことが多発しています。仕事柄、大学の教員の講義や代理店のプレゼンをよく見ていますが、PowerPointの画面が主役でプレゼンの話者が見えないジレンマを感じることが数多くあります。

 先日、ある学会で文部科学省の専門官からレクチャーを受けましたが、これはまさに典型でした。どこが典型的かといえば、

  •  部屋は照明が落とされ、スクリーンにはPowerPointの画面
  •  話者はスクリーンの脇でノートPCの前に着席
  •  会場にはマイクの音声が聞こえるが、誰がどこで話しているかもわからない
  •  手元にはPowerPointの縮小プリントアウト
  •  画面は文字がぎっしりで、懇切丁寧
  •  聞こえてくるのは、画面に書かれた文字を読み上げている音声

 専門官の名誉のためにも書いておきますが、話の中身はとてもためになり、貴重なものでした。配布された資料(=プレゼンの内容)も、資料としてはよくまとまっています。残念なのは、誰が話しているのかわからないということです。だから、感情が伝わってこないというか、人が話している気がしないというか。これなら最初からプレゼンを受ける必要などなくて、資料配って、どうぞお読み下さい、でいいんです。

 専門官は、「私はこう考えます」とは言わず、「文科省としては」という言い方を多用されていたので、その意味では話者は重要じゃないと自覚されていたのかもしれません。でも、これって、相手の心に届くプレゼンのコアをはずしている。資料をリフレインするだけのプレゼンなら、プレゼンを聞く価値がありません。聞きたいのは、アナタの意見なのです。資料の背景にある経緯や理由であり、アナタの本音なんです…そう考えるのは私だけかもしれませんが。

 これはプレゼンじゃないよ、講義だよとおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、私は講義もいっしょだと思います。プレゼンも講義も、相手に何かを伝える、という典型的な行為であることに違いは無いんです。相手に届くには、情報の価値はもちろん大事ですが、それ以前に、話者の気持ちというか、意志というか、メッセージ性が大事じゃないかと。そこが欠落しているプレゼン(講義)は、相手を動かす力に欠けるんじゃないでしょうか。

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 再び、ジャパネットたかたの高田社長のお話。ある講演会で、こんなことをお話されています。

  •  「ショッピングもビジネスも、恋愛と同じ」
  •  「ショッピングも恋愛も、思いを伝えるためにチャレンジし続けること」

 ※アフィリエイトシステム「リンクシェア」のユーザーイベントにて~2006年4月19日付け ITmedia Newsより引用

 やっぱりメッセージが伝わるかどうかは、話者の気持ち次第じゃないかと。あらためて高田社長の強さを感じます。。。

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