【シーズン2 第3話】横糸のグローバルWebと縦糸のランディングページ
外資系IT企業で働いていた頃、本社が作るグローバルWebにはリニューアルのたびに悩まされていました。このことは失敗研究として「グローバルWebとオム二チャネルの具体的な失敗研究」として紹介しています。
「私は日本法人の責任者だったので、当然のことながらレベニューの責任があり、自社のサイトはドメステックなデジタルマーケティングに有効に活用したいと考えていた。本社と日本法人(支社)が違う目的でグローバルWebを捉えているため、サイトのコンテンツの更新などはうまくいくが、サイトは不満でクレームを出した。このグローバルWebは見た目は多言語で美しいが、運用の失敗研究の対象となる(パッケージの実装の失敗研究でなく)。この例は、本社がアメリカで支社が日本というものだが、逆の日本が本社でアメリカやフランス、イギリス、イタリア、スペイン、トルコ、韓国、中国、オーストラリアなどに支社がある場合も、支社側と本社側の事情はそれほど差がないだろう。つまり、支社での運用の失敗研究を行わず、
グローバルWebを単なる多言語サイトだと勘違いし、Webマスター的感覚で実装したらどうなるか...。
このような事例は外部に出にくいが、日本のグローバル企業の失敗例として意外と多いのではないかと、賢明な読者の方は容易に想像がつくだろう。」
単純な話ですが、日本法人のレベニューに責任を持っている私は、日本のマーケットに対してリードジェネレーションやリードマネジメントに日本語のWebサイトを俊敏に活用したいだけなのです。アメリカのカントリーマネジャーもフランスもイタリアもドイツもニードは同じでしょう。
このことは、グローバルWebという全体最適を横糸、各国のデジタルマーケティングを縦糸とすると、全体パフォーマンスが高まる方向性で横糸と縦糸の対立(Healthy Conflict)を解消する手段があれば解決する訳です。
例えば、インバウンドマーケティングツールのHubSpotを使えば、内蔵する簡易CMSでマーケティングのためのランディングページを俊敏に作ることができます。この簡易CMSには商品情報コンテンツデータベース(PIM)を搭載することはできませんが、マーケティングファネル全体をマネジメントし、リードジェネレーションやリードマネジメントを実践することができます。もしHubSpotが多言語対応をしていて、日本のランディングページは日本で、アメリカはアメリカで、フランスはフランスで(日本国内なら支店や営業所)、と一定のテンプレートなどをベースに作成し運用することができるなら、横糸はグローバルWebで縦糸はHubSpotで強化され、全体最適(横糸)と部分最適(縦糸)の対立は雲のようにフワッと消滅します。
これをモノリシックなマーケティングクラウドで行うことを考えてみましょう。
モノシリックなマーケティングクラウドのOracle Marketing Cloudで横糸のグローバルWebをWebCenter Sitesで構築し、縦糸がB2CならResponsysでマーケティングシナリオを設計したとすると、各国のマーケティングとしてのランディングページがResponsysで作れるなら問題ないのでしょうが、もしなければHTMLページで構築するのでしょうか、各国がバラバラに外注するのでしょうか。あるいは横糸のグローバルWebの追加機能になるのでしょうか。そして、事業部の違う製品は縦割りの組織を超え、俊敏に連携できるのでしょうか。その答えはOracleに聞いていただくしかありませんが、モノリシックなOracle Marketing Cloudが横糸のグローバルWebと縦糸の各国のデジタルマーケティングの対立を解消してくれるなら問題はありません。
マイクロサービス方式として、横糸のグローバルWebをオープンソースのDrupal(with PIMモジュール)やSAP Hybris(with Drupal)などで、このSlideShare(Building a multilingual & multi-country e-commerce site with Drupal7)のようにマルチ言語&マルチカントリーでSAP連携も含め構築する。そして、縦糸はHubSpotの簡易CMS機能によるランディングページから俊敏にアウトカムを出し、必要に応じPIMとHubSpotを疎結合する。この横糸と縦糸は少なくともB2Bでは現実的です(HubSpotをMarketoに代えればB2Cにも適応可能)。
この組み合わせは「マーケティングクラウドは日本版システム工学で簡単に料理できる!」でまとめたように、日本版システム工学のシステム分析の評価ではコストパフォーマンスの高い組合せのひとつで、モノリシックなマーケティングクラウドの短所とマイクロサービス方式の長所を如実に表した例ではないでしょうか。
● 雑談のネタ【Coffee Break】
https://blogsmt.itmedia.co.jp/CMT/coffee-break/
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