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【シーズン2 第1話】モノリシックなマーケティングクラウド vs マイクロサービス方式

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 今回はERPの導入を成功に導くための記事「なぜ多くの日本企業がERP導入に失敗したのか 失敗から学ぶ成功のポイント」から、ERPの失敗研究を通じてマーケティングクラウド導入の失敗研究をしてみましょう。

 今までのERPは「統合基幹業務パッケージ」と呼ばれ、モノリシック(一枚岩)に業務システムを統合化したものですが、第7回では「例えば、Sapiensには、一般的な業務システムで用いる業務処理ルーチンがあらかじめ組み込まれており、利用者はSapiensの知識ベースに処理方法を設定する形でシステムを構築していきます。実装した内容はプロトタイプとしてすぐに確認できますので、要件定義の検証も簡単にできます。」とあるように、自律的で可変的に組み合わせられる個別のコンポーネントへとERPが移行しつつあります。こうなることで、少なくともこの連載で指摘された失敗例のうち第1回、第2回、第3回までは解決する方向に向きそうです。第4回、第5回、第6回はERPそのもの問題でなく、第7回、第8回は今後を見据えた提案的なものなので、ERPの導入に失敗するERP側の大きな問題は以下に集約されるのではないでしょうか。

「モノリシックなERPに業務を合わせることができないため、必要悪のカスタマイズを行わざるを得ない」

 そして、ERPとしての解決策は以下に集約されます。

「自律的で可変的に組み合わせられる個別のコンポーネント(クラウドサービス連携)へと移行」

 デジタルマーケティングの分野は買収によってモノリシック(一枚岩)にまとめあげたマーケティングクラウドがOracle、Adobe、Salesforceなどから発売されています。統合基幹業務パッケージとマーケティングクラウドは対象業務が違いますが、基本思想としてモノリシックであることは確かです。ERPがモノリシックであることから前述の失敗例がありますが、マーケティングクラウドがモノリシックだとどんな失敗に結び付くのでしょう。

 例えば、モノリシックのひとつであるAdobe Marketing Cloudの一部のAdobe Experience Manager(AEM)で、現在のビジネスを前提にサイトを構築したとします。環境変化により事業そのものがB2CからB2Bに変容してしまったとすると、マーケティングオートメーションの検討はB2B企業として行った方がいい、ということになります。しかし、Adobe Marketing Cloudの一部のAdobe Campaign(Neolane)はB2C用キャンペーンツール(CCCM)なので、このモノリシックではいずれニードを満たすことができなくなってしまい、別にAdobeのモノリシックから外れたB2B向けのMAツール(インバウンドマーケティングなど)を必要としてしまいます。

 従来のERPの対極にある「自律的で可変的に組み合わせられる個別のコンポーネント」と同じ考えで、「1つのシステムを複数の小さなサービスを組み合わせて実現する方法」というマイクロサービス方式があります。マイクロサービス方式だと、Drupal(エンタープライズCMSをオープンソースCMSに置き換えれるか!?)で現在の事業に合わせB2Cサイトを構築し、そしてB2Bに対応するため企業IDなどをビルトインし、次にMAはB2BのMarketoやHubSpotなどで行い、必要になったらインバウンドマーケティング(MA)とDrupalを疎結合する。さらに必要に応じ、Agility MultichannelやSAP HybrisなどのPIMを組み合わせたり、データディスカバリ(セルフサービスBI)と組み合わせたり、SDL WorldServerやeBASE(DAM)と組み合わせたり、と様々なクラウドサービスを疎結合で組み合わせることができ、拡張も自在で変化するニードにも俊敏に適応できる、モノリシックの対極にある考え方です。

 少なくとも、基幹業務より俊敏さが求められるマーケティング領域には、マイクロサービス方式が適するのではないでしょうか。

● 雑談のネタ【Coffee Break】
https://blogsmt.itmedia.co.jp/CMT/coffee-break/

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