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先日、東京で、
「九州学生ネットワークWANというNPO法人で学生の指導をされているようですが、どのような指導をされているのでしょうか?」という質問をいただきました。
「経済産業省の社会人基礎力に定義されているスキル項目関連の指導です」
というのが回答にはなりますが、
具体的に言うと、ゆとり世代、携帯電話依存世代とも言われている学生の特性と、ビジネスを取り巻く環境変化に伴う社会が求めるビジネス人材像などを踏まえた上で、NPOに関係してもらっている学生スタッフにはいろいろと考えてもらって自ら成長するという道を探ってもらっています。
経済産業省の社会人基礎力の定義の部分にもありますが、
http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/
学生の学力だけでなく、社会人としての基礎力をどれくらい保持しているのかという部分もNPOで可視化できないかと考えています。そのための彼らの社会的な学外活動の評点付けなども行うことを予定しています。
例えば、私たちNPOの理事と学生スタッフの間の情報共有、プロジェクト進捗管理などの報告・連絡・相談についてはメーリングリスト(ML)システムを使って行っています。
以下は、学生に対してMLによるプロジェクト内での情報共有の必要性と社会に出てからのコミュニケーションの必要性について教えるために送ったメールの一部です。
まず、このMLを使って情報交換している意味を取り違えているかもしれませんのでフォローしますが、このMLは連絡用という意味と、WANのプロジェクト遂行と意思決定プロセスの可視化をするツールという認識でいてください。
私がWANの学生スタッフの打ち合わせなどの報告で違和感があるのが、報告書や学生スタッフの打ち合わせ議事録などで〇〇を決定しましたという言葉をよく見かけることです。周囲に助言も求めず、短時間の打ち合わせだけでモノゴトを決定してしまうという状況に、絶対にプロジェクトを成功させる、成し遂げるという意思が見えないと感じています。
理事などに時間を調整してもらって会って話をするということも重要ですが、プロジェクトに関する相談事やプロジェクトに関係することの調整プロセスもMLで行うことも重要と考えています。その過程を公開することで他の学生スタッフのメンバーのプロジェクトに対しての参加意識も高まりますし、今回のプロジェクトには参加していない学生スタッフとも情報を共有することができて、その学生スタッフのメンバーにヘルプを依頼するときや、途中からプロジェクトに参画してもらう場合にも非常にスムーズに入れるのではないかと思います。ここまで意識した行動を行ってください。
皆さんの世代は、報告・連絡・相談などのコミュニケーションがうまくないと言われています。
1つめの理由は、学生なので組織だった活動をあまりやった経験がないということ
2つめの理由は、世の中が他人の考えを尊重しなくても生きていくことができるくらい便利になった(極端ですが親やコンビニもありますので言葉を発しなくても不機嫌な顔をしておけば何年も生活することができます)
3つめの理由は、変に携帯やパソコンなどのメールを使ったコミュニケーションだけではビジネスの世界では通用しないということを知って混乱してしまって、これらのツールの使い方などがわからなくなってしまっていること
と考えています。
そのような状況にある皆さんにコミュニケーションのことを教えるには、組織だった形でプロジェクトのゴール達成の経験をしてもらうということと、他人は自分とは違う考え、価値観を持っていて、それを調整して、交渉して社会(世の中)は動いているということを認識してもらうということ、そして現代のビジネスツールになっている電子メールなどが個人的な独り言の応酬という使い方ではなく、相手の意思を引き出す、プロジェクトの意図を伝える、プロジェクトの進捗などの情報を共有するツールとしての使い方を知る必要があるということを認識してもらうことが重要だと思っています。
これらのことを学生時代から経験できていれば、社会に出てからもスムーズに仕事(プロジェクト)に対応できるようになるのではないかと思います。 世の中には仕事ができる人と仕事ができない人がいるというのは、ちょっとした気配りの違いなんです。 例えば、営業訪問の日程調整やセミナーなどの日程案内にしても、 仕事ができる人は、相手の立場に立って少しでも早く、そして、相手との関係性において優先順位が高い人、会社から順番に案内、アポイントを入れていきます。 仕事ができない人は、自分たちの都合で相手にアポイントの連絡を入れて、セミナーなどの案内もチラシやWebサイトができあがるまで連絡を入れません。もう1日早ければ、もう1時間早ければアポイント入れることができたのに、セミナーに参加できたのにという相手の気持ち、動きがイメージできていません。これが理解できない人が仕事ができない人で、仕事の成果も当然、あがるわけもありません。 WANでは、このような社会人としても必要になる知識も教えています。 個人的な相談などについては当然、直接メール送ってもらって結構ですが、WANという組織やプロジェクトに関する報告・連絡・相談については、メンバー全員で共有しておいた方が、組織としてのまとまりは出てきます。
WANに参加してもらっている学生の皆さんには社会に出てから大活躍してもらいたいと思っていますので、敢えて皆さんが難しいと感じることにもチャレンジしてもらっています。
WANを卒業していった先輩たちが社会に出てから大活躍できるのも、これらのことに素直に取り組めたという背景もあります。
企業の人事担当者や他の人材紹介会社などの担当者の方々などと話をしていると、「森戸さんが言うようなレベルまで学生に求めるというのは難しいのでは」と言われることもあります。ただ、それは教え方の問題であって、情報化時代に生きてきた学生にはそれだけのポテンシャルはあると私は感じています。インターネットがなかった時代の人材育成の考え方では対応できない部分がありますし、大学時代の4年間はしっかりと遊ぶ時間だというのもグローバル化時代にはナンセンスな古い日本の学歴社会の考え方です。大学に入った時点で将来が決まる訳はありません。大学4年間で何を学んだのかということを社会は見ていますし、そこで学校教育と社会のニーズをつなげる活動(ここではNPOとしての九州学生ネットワークWANの事業)の必要性を多くの企業の方々が認めてくれるようになりました。
大学生向けの就職支援(エントリーシートの書き方、面接指導など)についても必要とは思います。また、行政の政策や企業の戦略などの作り方やテクニカル的な部分を教えることも刺激的だと思います。ただ、私は彼らに仕事というのは社会的なものであり、社会に役に立つ活動を行うのが社会人で、今までの学校教育も決して無駄ではなく、その学んだことがどこで役に立つのか、それを実践的に使うためにはどのような考え方が必要になるのかということを教えてあげないといけないと考えています。
WANのOB・OGは、全国の企業に就職して活躍しています。
その活躍するための基礎になる考え方をNPO活動を通じて次世代を担う学生に教えることができれば、社会貢献になるのではないかと思い、ここ数年間、活動を継続しています。
今年の学生もいい感じになってきました。
このまま、活動を継続してもらいたいと思っています。
私たちも真剣に次世代リーダーの成長を望んでいます。
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