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新聞の書評欄を見ていて、ちょっと目についた本があります。
世界は仕事で満ちている
誰もが知っている、でも誰も覗いたことのない38の仕事案内
降籏学著
単行本(ソフトカバー): 372ページ
出版社: 日経BP社 (2008/6/12)
発売日: 2008/6/12
内容紹介
本書は、シゴト案内の本です。ただし、昨今巷にあふれる就職本や仕事案内本、あるいは雇用問題に関するビジネス書とはちょいと違う。こうした書籍の多くは、90年代後半から2000年代の「失われた10年」で、大卒の正規就職がままならず、フリーター問題やワーキングプア問題を起こしている、という「お話」を前提としております。
けれども、実際はどうでしょう。たくさんの商品、たくさんのサービスにあふれかえる現代社会は、あらゆるところに実は「仕事が満ちている」のです。そして、こうした仕事の大半は、大学→就職活動→内定→就職、という「正規ルート」とは必ずしも関係ないかたちで、シゴト人が集まっているのです。
本書は、そんな人々の「仕事」にスポットを当てました。 「あなたの日常と仕事を支える人々」として、ゴキブリ駆除研究者、カイロプラクター、タバコブレンダーなどなど。「あなたの食を支える人々」として、レストラン覆面調査員、養豚場長、脱サラ農家などなど。「あなたの娯楽を支える人々」として、プロ野球スカウト、お笑い芸人、オルゴールアレンジャーなどなど。「あなたの死を支える人々」として、霊柩車製作者、死化粧師、剥製師などなど。「あなたの性を支える人々」として、AVモザイク職人、ダッチワイフメーカー、コンドーム開発者などなど。「あなたの街を支える人々」として、焼きイモ屋、幽霊製作者、映画館主などなど。計38人のシゴト人のシゴトぶりと人生を、ウィットとペーソスに富んだ文で紹介します。 本書に出てくる人々の多くは、進んでいまの仕事を選んだわけじゃない。偶然だったり、失職の果てだったり。バイトの延長だったり。けれど、彼ら彼女らは、いまの仕事を「天職」として、楽しんでいます。就いたシゴトが転職さ。シゴトは選ぶな、選ばれろ。仕事に悩むあらゆる人々に読んでいただきたい本です。
自分さがし
ではなく
自分活かし
を考えて、自分の就職観を考えてもらいたい。
そんな気持ちで、学生の就職支援をしています。
就職したくても本当に仕事が無くて困っている国はたくさんあります。その点、日本はまだ仕事に溢れています。縁があって自分を選んでくれた仕事(自分で選んだのではなく仕事に選んでもらっているという概念です)に対して、自分はどのように向き合うかということを真剣に考えるのが就職ではないかというのが本書の切り口のようです。
仕事がお金を得る手段、名前が通っている会社に入るという名誉(?)を得る手段であれば、今の日本で行われている就職活動と企業の採用活動で問題ないと思います。ただ、仕事を通じて今よりも将来を良い社会にしたいと思っている人間にとっては非常に違和感があるものになっています。
佐賀県の農業に従事する若者に経営について教えるという仕事を3年ほど行ったときに感じたことがあります。
農業をやっているということに、彼らは誇りをもっている反面、福岡などで一緒に飲んでいたりすると農業をやっているということを胸を張って話せないような空気もあるという事実もあるということです。
学生などを見ていても、その仕事をしたいと言っている仕事が本当にできる状況にその会社があるのかどうかはさておき、最終的には「自分としてはこのような仕事をしたい」という希望だけで仕事というよりも会社を選んでいるような現実はあります。
それを指摘すると、
「しかたないじゃないですか」
という回答が確実に返ってきます。
自分たちは、まだ仕事をしたわけでもない
自分たちでは、どうしようもない
最終的に、そのような仕事ができない場合には、また就職活動しますよ。
自分が仕事を選んだという感覚だけでは、自分が選んだ仕事のイメージと、実際に目の前に登場した仕事が違ったということはよくあります。ただ、その目の前に見える仕事の本質的な意味、その仕事が自分を選んでくれたという感覚はわかりません。
人生には限りがありますので、仕事に費やせる時間も限られています。
ただ、社会に必要とされている仕事がどれくらいのパワーを費やせば実現できるかということも最初からある程度は決まっています。だから、その仕事に選ばれた人は必死にその仕事に関わらないといけないという理屈もあります。
当社の社員には、社会で働く人材の採用と育成に関する部分で、
これからの社会・企業で必要となる人材とは?
これからの地域社会で必要となる人材とは、それを確保するためには?
これからの時代を担う人材を創造できる人材とは?
などを徹底的に考えて、既存の首都圏一極集中、大手企業主導、学歴偏重などにならない、人材の採用形態や人材の育成について、お客さまと膝詰めで話をして新しいサービスを創造して、地域にとって最高の価値を提供するように指示しています。
それが、今の日本を変革することにつながります。
当社の社員は、そのような社会的意義がある仕事から選ばれた人材です。
その仕事に縁があった(選ばれた)ということを「ありがたい」と考えることで、時間を提供してお金をもらうという虚しい仕事観からは解放されます。自分の人生の一部を使って、社会を創るという仕事に従事することができます。
今の就職活動の形態を大きく変えることで、様々な就職に関する矛盾が見えるようになると考えています。
昨日、佐賀県の武雄市長のブログに私からのメールが大きく掲載されていました。(笑)
樋渡市長は、市民病院の民間移譲の件でリコール運動なども起きているようで大変な時期ではあるようです。
私は政治に関しては詳しくないので、細かいコメントはつけることはできないのですが、日本では今まで普通にあったものを変える、無くすということには大きなパワーを要すると感じています。それを継続して保持することが自分の子供や孫に大きな負担を強いることになっても、変化したくない、今まであったものでなんとかしたいという気持ちが強くなってしまいます。
ただ、現実で考えると、日本の借金時計、
が物語るように、国民全員で問題を先延ばしにしているような感覚を持っています。
地方に行くと、地方をこのような状況にしてしまったのは国の施策の責任だという論調が増えてきます。
国会議員など政治家の力が足りない、中央からお金を引っ張ってくることができない
という話も沢山聞きました。
ただ、そのお金を口を開けて待っているだけで、何の変化もしなくて、自分たちがこれから市場から必要とされる仕事ができるようになるという努力が先延ばしになっているということに気づいていません。
誰が悪いという魔女狩りのような議論を延々と続けるのが地方都市であれば、その地方都市は自分たちで自分たちの住んでいる地区をよくしていくという力がないと言わざるをえません。
自分たちで何とかしようという力は、目の前の仕事に、目の前の環境に自分たちが選ばれて、それにどのように立ち向かうかということを試されているという感覚から生まれます。
さて、来週の月曜日は佐賀県主催の「さが経革広場」のキックオフセミナーで講演です。
http://saga.keikakuhiroba.net/seminar0811.aspx
まずは、どれくらいの人が参加してくれるかです。
私の予想では、佐賀県の今の状況では、どれくらいの準備期間を取っても参加者は少ないと思います。
これが大入りだったら、佐賀も本格的に変わってきたのではないかと思っています。
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