« 2011年11月13日

2011年11月14日の投稿

2011年11月16日 »


日本にもファンが多い自動車メーカーのアウディ。そのアウディの最近の広告が面白い。広告の内容もさることながら、アプローチの多彩さが目を引く。他の自動車メーカーを探してみても、これだけ多彩な広告戦略を展開している企業は他に見当たらない。そして、iAd、アプリ、QRコード、インタラクティブビデオと、どれを一つとってもユニークなアイディアが散りばめられているものばかりである。今回は、アウディのユニークかつ印象的な広告を4つ紹介したい。

【1】 iAd:ロックを解除して、仮想サーキットを走らせる

これは、アウディがごく最近ブラジルで展開したiAdだ。iPadの画面に、薄いサーキットが浮かび上がり、下の方にあるロック解除用のスライドボタンを左から右に動かすことでロックが解除される。そして、サーキットコースをスライドボタンを使って指でなぞりながら一周すると、「Audi Magazine アプリ」のダウンロード画面が表示されるという仕掛けだ。非常にユニークなiAdなのだが、残念ながら日本では展開されていない。よって、実際の動きは下のビデオで確認してみてほしい。

■ Audi iAd: Slide to Unlock

Audi Magazine Slide Track (Eng) from AlmapBBDO Internet on Vimeo.

このiAd、ビデオを見てもらえればわかると思うが、広告の範疇を超えた面白さがある。ビデオを見ただけで実際に体験してみたいという気持ちにさせる、そんな大人の遊び心に訴求してくる素晴らしい完成度の広告だ。このスライド式のロックボタンを使ったiAdは、今後確実に増えてくることが予想される。iPadの画面サイズと機能を十分に活かした、iPadならではの広告だと言っていいだろう。実際に、アムネスティ・インターナショナルからも同じスライド式ロックボタンを使ったiAdが公開されている。

■ Amnesty - Slide to Unlock - iPad Ad - Prison Bars

こちらは、ロックボタンをスライドさせて牢獄を開けるという、少しショッキングな内容になっている。


【2】 iPadアプリ:ビデオも視聴できる完成度の高い電子ブック

上で紹介したiAdがダウンロードを促しているアプリが、「Audi Magazine」という電子ブックだ。そして、この電子ブックの完成度がまた凄い。日本語はされていないが、写真を始めとしたデザインを見ているだけでも十分面白い。、あた、ところどこに埋め込まれているビデオも、アウディのファンなら絶対に見ておきたい内容のものばかりだ。Audi Magazineのアプリはいくつもあるが、2011年6月14日にリリースされた、アイコンが「Audi magazine Brasil」となっているものがお薦めだ。

下のアプリをダウンロードする。料金は無料。

001

電子ブックは現在3回発行されているので、全てダウンロードする。こちらも料金は無料。

002


最新の電子ブックは4つのカテゴリで構成されている。

Img_0166


アウディの写真の赤い+マークにタッチすると、解説のテキストが表示される。

Img_0167

【3】 QRコード広告:人文字ならぬ巨大な人QRコード

この巨大QRコード広告は、最近の事例ではないが、アウディの広告戦略を語る上で欠かすことができない広告の一つなので紹介しておきたい。アウディの100周年を記念して、幕張メッセで行われた、世界最大のQRコード制作にチャレンジし、成功した時の様子を収めたビデオである。ビデオからもちゃんとQRコードが読み取れることから、当時かなり話題になった広告だ。

※現在でもちゃんと読み取ることができる。

■ Audi Japan & Audi Japan Sales 世界最大のQRコードを制作

この巨大QRコード広告、広告という観点から見ても完成度が高いのはもちろんなのだが、YouTubeに公開された上のビデオの、ソーシャルビデオという観点から見た場合の完成度も負けずに高い。早送りやフラッシュモブなどのテクニックが使われていて、非常に面白いソーシャルビデオに出来上がっている。日本ではすでにピークを越えたと思われるQRコード広告だが、米国ではまだまだ人気のようで、面白いQRコード広告が数多く展開されている。

【4】 インタラクティブビデオ:キーボード操作でドライビングを体験

アウディが10月に公開したインタラクティブビデオは、PCのキーボード操作でドライビングを体験することができるという、非常にユニークなものだ。1~9の数字を選択することで、左右にハンドルを切ったり、加速したり、バーチャルなドライビングを体験することができる。

■ Closed Course: An Interactive A6 Driving Video

ウェブサイトにリンクしたり、シーンが変わったりというインタラクティブビデオは珍しくないが、ここまでゲームに近いインタラクティブビデオは珍しい。一番先に紹介したiPad向けのiAdもそうだが、アウディの場合、自動車メーカーらしく車と走りにこだわった広告が多いような気がする。また、コンセプトも女性よりも男性をターゲットとしていることがよくわかる。


【5】 今回のまとめ

11月11日の記事で紹介した紙媒体とスマートフォンを活用したインタラクティブ広告といい、今回紹介したアウディの広告といい、最近の広告は、広告を受け取る側である消費者を強く意識したものが多い。また、インタラクティブな内容の広告が多いため、消費者はその広告を受け取るかどうかを自分の意志で判断することができる。その代わり、広告の送り手である企業は、受け手の消費者に対して今まで経験したことがないユーザエクスペリエンスを与えようと必死になって考えている。

そんな中にあって、今後の広告にとって重要なポイントが3つある。それは、モバイル、アプリ、ビデオだ。この3つが主役となり、それらが既存のメディアと融合して行くことで、今後もユニークな広告が数多く生まれてくるはずである。中でも、モバイルとビデオは相性が良いこともあって、企業の広告戦略にとって欠かすことができない存在になりつつある。

映画やドラマなどのコンテンツはテレビの大型スクリーンで見て、広告はモバイルで見る。そんなライフスタイルが一般的になるのだろうか。

itoman

« 2011年11月13日

2011年11月14日の投稿

2011年11月16日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のコメント
最近のトラックバック
カレンダー
2012年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
itoman
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ