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最近、米国のアパレル業界の間で、自社のウェブサイトにショッパブルビデオを導入するブランドが増えている。このショッパブルビデオ、使い方次第では、今まで長期に渡ってウェブサイトを支配してきた、写真中心の商品カタログにとって代わりそうなくらい魅力的な使い勝手をユーザに提供することが可能だ。そこで今回は、実際にショッパブルビデオを導入しているブランドの事例を紹介しながら、ショッパブルビデオの可能性について考えてみたいと思う。


【1】 ショッパブルビデオの機能と特長

ショッパブルビデオというのは、再生中に商品購入ページにリンクさせることが可能なプロダクトビデオだ。ただ、今までのリンク機能付きプロダクトビデオと違って、商品単体から商品購入ページにリンクさせるのではなく、複数の商品からそれぞれの商品購入ページにリンクさせることが可能になっている。つまり、使い方次第では、ビデオ商品カタログの実現が可能だということになる。

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上のスライドを参照してほしい。今までのプロダクトビデオは、商品単体からしか商品購入ページにリンクさせることができなかった。ところが、ショッパブルビデオを活用すれば、上のイメージのように、4人のモデルが着ているそれぞれのドレスから個別の商品ページにリンクさせることが可能になる。上の例では4人のモデルを登場させているが、一人のモデルを登場させ、モデルが着ている洋服単位でそれぞれの購入ページにリンクさせることも可能だ。

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では、このショッパブルビデオを活用して、実際のブランドはウェブサイト上でどんな機能を消費者に提供することができるのだろうか。アパレルに限っての活用方法になってしまうが、以下の2つの活用方法を考えてみた。

● ビデオ商品カタログが実現できる

真っ先に思いつくのが、冒頭でも簡単に紹介した、ショッパブルビデオを活用したビデオ商品カタログの実現だ。今までのプロダクトビデオは、1つの商品からしか購入ページにリンクさせることができなかったため、どうしてもビデオとは別に写真の商品カタログを用意しておく必要があった。しかし、ショッパブルビデオは、複数の商品からのリンクが可能になっているため、写真を使わないビデオだけの商品カタログの実現が可能だ。

ビデオ商品カタログは、消費者側から見た場合、写真だけの商品カタログと違って、商品の細かい動きを確認できるというメリットがある。写真だけでは細かいニュアンスや機能が伝えにくい商品を説明する時などに、ビデオ商品カタログは効果を発揮すると思われる。

● コーディネイト全体で販売ができる

ショッパブルビデオを使えば、今までのように商品単体を販売するのではなく、コーディネイト全体を販売することが可能になる。例えば、帽子、マフラー、セーター、スカート、コート、ブーツなどのアイテムを身にまとったモデルのショッパブルビデオを用意すれば、消費者はビデオを見ながら、自分が欲しい商品アイテムをクリックして商品を購入することができる。

応用編として、ファッションショーやコレクションのビデオを用意し、モデルが着ているそれぞれの商品アイテムをクリックさせ、そのまま直接商品を購入させることも可能だ。商品を単体ではなく、コーディネイト全体で販売する仕組みは、消費者に対して新しいショッピング体験を提供することができるという意味でも価値があると思われる

では、次にショッパブルビデオを活用した実際の事例を紹介したい。


【2】 ラルフ・ローレンの「The RL Gang」は動く絵本を実現

ラルフ・ローレンの「The RL Gang」は、動く絵本の中で買い物をしているような錯覚に陥ってしまうような空間を、ショッパブルビデオで実現している。

パステルカラーの「PLAY」ボタンをクリックするとビデオの再生が始まる。途中子供たちがたくさん出てくるので、どの子供でも構わないのでマウスを子供に移動させてみてほしい。マウスを子供に移動させた瞬間にビデオが一旦停止し、「LOOK」と書かれたイラストの吹き出しが表示され、クリックができるようになっている。そこでクリックすると、商品カタログのページに移動し、更に商品の写真をクリックすることで商品購入ページが表示され、そのまま商品が購入できるようになっている。

また、「LOOK」の吹き出しが表示された場面で、マウスのカーソルをビデオ再生プレイヤーの枠外に移動させると、停止していたビデオの再生が再び始まり、次の子供に関連した商品を見ることができる。ショッパブルビデオを活用して、まさに動く商品カタログといった動きを実現している。

音楽や語りも効果的に使われていて、今までのショッピング経験では体験することができなかった、ただ単に商品を購入するだけではない、楽しいショッピング体験が可能になっている。また、ビデオに登場してくる子供単位に複数の商品を揃えているため、ビデオでありながら、かなりの数の商品を紹介することにも成功している。是非、親子で体験してほしいウェブサイトだ。

下にスライドも用意したので、是非アクセスしてみてほしい。

※ 「The RL Gang」にはこちらから 

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【3】 ゴージャス感溢れるグッチの「Gucci catalog comes to life」

グッチの「Gucci catalog comes to life」は、ラルフ・ローレンの「The RL Gang」と違って、グッチらしいゴージャスなビデオ商品カタログと言いたくなるようなインターフェースを実現している。

グッチが「Gucci catalog comes to life」の中で実装しているショッパブルビデオは、マウスのカーソルを商品の部分に持って行くことによって停止するわけではなく、商品の部分をクリックした時点で停止する仕組みになっている。そして、ビデオが停止すると同時に商品の写真が表示され、下にある「buy it now」をクリックすると商品購入ページに移動する。後は、そのまま商品を購入するだけだ。

商品数は、カバン、ベルト、財布などの10点。洋服などが対象になっていないため、マウスを持って行っても商品をクリックできないケースが多いのがちょっと気になる。もう少し商品数が多い方が、利用する側から見れば嬉しい。また、商品をクリックしないとビデオが停止しないため、マウスで追いかけるカタチになってしまう点も多少気になった。そのため、ゆっくりショッピングを楽しむというウェブサイトにはなっていない。

しかし、全体としては、グッチらしいゴージャスなトーンでまとめられたインターフェースになっていて、今までにないショッピング経験を体験することができる。また、モデルが身に付けている商品を、ビデオという動きのある中から選んで購入できるという点が、何よりもグッチが実現しているショッパブルビデオの面白い点ではないだろうか。

※ 「Gucci catalog comes to life」はこちらから 

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【4】 シーンが切り替わるミッソーニの「Shop by Scene section of the Target Missoni website」

ミッソーニの「Shop by Scene section of the Target Missoni website」は、ラルフ・ローレンの「The RL Gang」とグッチの「Gucci catalog comes to life」のちょうど中間に位置するインターフェースを実現している。

何と言っても印象的なのが、画面いっぱいに広がるフルサイズのショッパブルビデオだ。ラルフ・ローレンもグッチも、さすがにこのサイズでは提供していなかったこともあり、見た目に関して言えば嫌でも印象に残る。もう1つ特長的なのが、5つのシチュエーションを用意していて、それぞれのシチュエーション別にショッピングが楽しめる点。ラルフ・ローレンもグッチも、用意されていたシチュエーションは1つだけだったので、ミッソーニが提供する5つのシチュエーションは、利用する側からすると嬉しいサービスだ。

トップページの右側にある黒い枠の最上段「SHOP BY SCENE」をクリックすると、ビデオの再生が始まる。映画の007を思わせるラテン調の音楽に乗ってビデオは進み、商品のクリックできるシーンになると自動的にビデオが停止する。ラルフ・ローレンとグッチとの違いは、この自動的に停止する機能にもある。ラルフ・ローレンもグッチも、希望する商品の部分で意図的にクリックしない限り、ビデオは停止しない仕組みになっていた。ミッソーニの場合、用意してある商品を必ずクリックさせたいという狙いがあるのだと思われる。

ビデオが停止したシーンで、商品を部分をクリックすると、商品の購入ページに移動しそのまま商品を購入することができる。また、そのシーンに欲しい商品がない場合は、右下にある「NEXT SCENE」のボタンをクリックすることで次のシーンが始まる。この、一度ビデが自動停止して、クリックできる商品が確認できるという機能は、ショッピングする側からすれば、落ち着いてゆっくり考えることができるので非常に便利だ。

ミッソーニの「Shop by Scene section of the Target Missoni website」は、ショッピングする消費者の気持ちを考えたウェブサイトだと言っていいだろう。

※ 「Shop by Scene section of the Target Missoni website」はこちらから 

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【5】 今回のまとめ

以上、ショッパブルビデオを活用した3つの事例について、特長と機能を詳しく説明してきたわけだが、同じショッパブルビデオでも、それぞれ細かい部分で違いがあることが理解できたのではないかと思う。特に、商品の購入を検討している消費者に商品をクリックさせる部分の仕様について言えば、3者3様であることがわかる。

このショッパブルビデオ、消費者に今までにないショッピング体験を提供できることから、今後も導入するブランドが増えてくるのではないだろうか。面白いショッパブルビデオの事例を見つけたら、また紹介したいと思う。

※ スライドもこちらからダウンロードしてお使い下さい。

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伊藤 靖

伊藤 靖

株式会社リトルウイングス代表取締役。
青森県弘前市出身。大田区蒲田在住。
企業のメディア戦略、コンテンツ戦略、モバイル戦略の構築と実行をサポートするサービスを提供しています。

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