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勘弁してくれよ、スマートメータ

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以前スマートメータに関して、消費者の不満が高まって一部には訴訟まで起こっていると書いた。筆者の住んでいる地域ではまだスマートメータの設置はないが、周辺でぼつぼつ設置され始めている。最近別件で会った人とその話になり、彼女の家はスマートメータに交換されたというのでどうかと聞いたところ、やはり電気代が上昇したということだった。彼女は電力会社に電話をして訊ねたそうだが、メータは正しいの一点張りだったという。

スマートメータの利点のひとつは、時間によって電気の値段が違うので、消費者は計画的に電気を使用するようになり、ピーク時の電力需要が抑えられるというものだ。値段の高いピーク時を避ければ消費者は電気代を節約でき、その結果、ピーク時の電力不足が解消される。ところが彼女によれば、彼女の住んでいる地域も含めサンフランシスコ湾岸地域(サンホゼも含む)は気候が温暖でエアコンの需要もさほどないため、時間によって電力の値段に差をつけてないということだそうだ。

待ってくれよ、それって消費者にとって一番のメリットじゃないのか。何の恩恵も受けないのに、電気代にメータの代金と設置費用を上乗せされて、高い電気料金を払わされるなんて、それはなかろう。

以前電力業界に詳しい人とスマートメータに関する意見交換をしたとき、この人は、スマートメータの設置は電力不足を解消するのが一番の目的だ、と断言した。つまり、消費者にとっては必ずしも良いとは限らないわけだ。もちろん、慢性の電力不足を解消して経済的なロスも解決できれば、まわりまわって恩恵が帰ってくるという議論もあるだろう。でも、消費者ってそんなところまで考えるだろうか。なんだか、スマートメータの設置が憂鬱になってきた。

今週は来週スマートグリッドの講演をするので、日本にいる。色々な準備の他、個人的にも問題山積で、今週の分は比較的短めで。。。。

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