シリコンバレーの階層
どんな社会にも階層は付き物だ。誰もシリコンバレーの階層について書いていないので、それを幸いに愚見を述べる。と言っても、士農工商とはっきり決まっているわけではないので、独断と偏見で述べる(いつものことだ)。シリコンバレーにはたくさんの会社があり、大企業もあればベンチャー企業もある。働いている人たちもさまざまだ。大企業とベンチャー企業を渡り歩く人もいれば、大企業ばかりに職を求める人もいる。これは学術論文ではないので、実際に働く人を分類してコメントするつもりはない。ここではベンチャー企業に関わる人たちについて述べることにする。一般にベンチャー企業ではタイトルの大安売りをするので、ベンチャー企業でCEOでも、大企業に行けばタイトルはDirectorかもしれない、ということを念頭の置いて読んで欲しい。
まず一番上の層。これはシリコンバレーで成功した人たち。故人も含めるならなんといってもDavid PackardとBill Hewlettだろう。その他にはSunのファウンダーでCEOだったScott Mcnealy、OracleのファウンダーでCEOのLarry Ellison、AppleのファウンダーでCEOのSteve Jobsなんかを挙げることができる。カリフォルニアの知事選に名乗りを上げているeBayの元CEO、Meg Whitmanもこの層に含めてもいいかもしれない。忘れてはならないのは、Intelの元CEO、Andrew Grove。また、著名なVCのJohn Doerrも含まれるかもしれない。ひとつ言えることは、この層はとてつもなく遠い存在で、まあ普通なら決して到達はしないだろうということだ。
次の層は、有望なベンチャー企業が現れてきたときにそのC-レベル(CEO、COO、CFO、CTOなどCで始まるのでこういう呼び方)の役職に就くような人たちだ。筆者もCTOをやったが、有望なベンチャーだったかどうかは大いに疑わしい。その下はDirectorに就くレベルの人たちだろうか。更にその下に、上に上がりたいがコネもなく、ぱっとしない層がいる。この層は上とのコンタクトがなく、同じ層内での付き合いとなる。残念ながら、この層に属していると上に上がるのは困難だ。ベンチャーがらみの人たちの多くはここに属している。そして大部分のベンチャー企業は成功しない。この層にいるとビジネス モデル、人材、投資家、その他ベンチャー企業が成功するため要因が殆どない。インキュベーションなどでこの問題を解決しようという動きもあるが、どうもうまくいっていないのではないだろうか。
いい加減な定義でこの層を図で示すと以下となる。
一番上の層はともかく、第2および第3層に食い込むにはどうすればよいのだろうか。筆者の経験から言えば、1にコネ、2にコネ、3にコネだ。2層や3層に属する人もいろいろで、4層の人を無視する人もいるがそうでない人もいる。そうした付き合ってくれる人との交流を深めることは大事だ。ブログやその他で情報発信したり、コンファレンスやミーティングに積極的に参加するなど、そのチャンスを増やすことが必要だ。筆者は、2層および3層の人と顔見知りになれば、ともかくその人のコネを使って2層、3層の人脈を辿ることにしている。もちろんコネだけではだめで、それなりにある分野である程度の専門家になる必要がある。
誰にでも通用するわけではないかもしれないが、アナリストという商売はコネ作りには最適だ。情報が欲しいとかコネを作りたいということであちこちのベンチャー会社に連絡しても、大抵はけんもほろろの扱いだ。だがアナリストとなると情報収集が商売だから、会って欲しいと連絡すると会ってもらえ、喜んで情報を提供してくれる。
データセンターのエネルギー効率化という分野は2年程前に始めたのだが、ここにきて実を結び始めている。講演やパネルのモデレーターの依頼が舞い込むようになってきた。リサーチ レポートの発表や毎日のブログ(英語)
(日本語)も多少は貢献しているのだろう。
筆者が日系企業でSenior Directorだったとき、その企業のネーム バリューのお陰で、他の会社からはそれなりの待遇を受けた。が、かといって本当に対等な立場でその扱いを受けたわけではなかった。自前の会社を始めたら、そこから第4層に落ち込んだ。今ようやく、第3層にもぐり込んだと感じる。一番上の層は無理としても、なんとか第2層にはもぐり込みたいものだ。正攻法ではだめだ。なんか、ホームランを打たねば。。。。夕食のワインが効いてきた。でも、ここで負けてはならない。。。。