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30年に渡って関わってきた米国のITの出来事、人物、技術について語る。

ITと米語と文化(HPでの英語力査定)

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今回はHP(ヒューレット・パッカード)で大規模な英語能力の査定があった話をする。もう20年以上前のことだから、現在はどうなっているのか分からないが。その時点で既にHPはアメリカ生まれでない人達をどんどん採用していたが、アメリカ人(というか英語を母国語として話す人)から、外国人の従業員と言葉が通じないとか意思疎通ができないという不平・不満が多く出て、大規模な英語力の査定を行うことになった。対象者はアメリカで生まれなかった従業員(他の英語民族はどう扱われたのかは不明)だった。当然筆者も含まれる。

確か筆記と英作と会話の試験だったと思う。その頃のHPは余裕があったのか、確か23日かけてたくさんの従業員のテストを行ったと覚えている。その結果は、外国人従業員の英語力は、英語を母国語とする人とほぼ同等、というものだった。結構たくさんの人がこのテストを受けなければならなかったと思う。アメリカの文化や慣用句などを叩き込む、ということで、週1で数週間の間、数時間のクラスに放り込まれた。そのクラスは10名程度だったと思うが、一兵卒から上はSection managerまでいた(その当時のHPは一兵卒、Project ManagerSection ManagerLab ManagerGMという構成だった)。内容は、講義や議論、それにロールプレイなどだった。

講義では何故xxxxというジョークは面白いのかという話もあった。面白いという感覚は文化に根ざしているので、あるジョークが何故面白いのか説明されても理解は困難だ。その当時既に滞米10年以上だったが、ジョークの面白さを理論的には理解できても感覚として心から面白いとは思えない、ということもあった。それは今もある。まあ、同じ日本の文化でも、関西人である筆者が東京の漫才を面白いと思えないものに通じるところがあるのかもしれない。

面白かったのは、ジョークを説明された時に口を尖らせて、その非論理性と何故面白くないのかを議論する人がいたことだ。感覚的に笑えなくてもそれが文化と思っている筆者は、それも理解できなかった。そういえば、GTEの研究所にいたとき、外国人の研究員が、論文を添削したテクニカル ライターのEに向かって、何故自分の英文は正しいかを理論的に主張して、Eを論破してしまった。Eは頭にきて、「理論もへちまもない。こういうときにはこう書くのだ」と叫んでいたのを思い出す。

またロールプレイでは、筆者が上司役になって、扱いにくい部下の非常識な要求をいかにかわすかというのがあった。有給も病欠も使える休暇すべてを既に使い果たした部下が「母親が緊急手術だから給料カットなしで1週間の休みをくれ」と言ってきたという場面だった。更に、マネージャーとしての筆者には権限がなく、筆者の上司は温情がなく絶対に特例を認めないが自分は悪者になりたくないタイプという設定であった。ここでその休暇を要求する部下の役にまわったSection Managerは中国系だったが、激しく筆者を攻め立てた。明らかに、彼は以前同様の要求を突きつけられたのだろう。(Project Managerは大体56人の部下がおり、Section Manager34Projectチームを従えている。ということは、彼は1525名の部下がいることになる。日本なら課長くらいだろうか。)彼の言葉の端々から、彼の秘書(アメリカ人の女性)が彼に対し全く尊敬の念を持っておらず、ことあるごとに嫌味を言ったり侮蔑の感情を丸出しにしてきたことが見て取れた。結局このロールプレイでは、会社の方針を厳守して給料カットなしの休みを認めなかったことで、愚直な筆者が血も涙もない人間というような結末になってしまった。ロールプレイの後、「俺に権限があれば当然認めている」と発言して皆の爆笑を買うおまけまで付いた。

管理職をやった人なら分かるだろうが、マネージャーに統率力やガッツがないと、部下は舐めてかかり、権威を無視したり非常識な要求を出してくるもんである。その上マネージャーの英語がおかしかったり発音に訛りがあれば、その傾向は強くなるだろう。

その他には英作文の添削もあった。これには未だに苦しんでいる。まあこれは英語に限らないが、書くのはあまり得意ではない。文章を話しているように書いてしまう。文法的に正しい文章でも、語法や語感の問題はなかなか乗り越えられない。30年以上アメリカにいて英語に関して学んだことは

1. 間違っていようがなんだろうが、声の大きい方がよい。

2. アメリカ人は沈黙が嫌い、つまらないことでも喋った方がよい。

3. 話す内容が大切で、英語力は二の次。

上の項目は互いに矛盾するが、12は一般論で、大切なことは3だろう。

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