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セグメンテーションでスマートに作る

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永井さんが「セグメンテーションというのは古い考え方なのか?」というエントリを書いておられました。

http://blogs.itmedia.co.jp/mm21/2009/12/post-c801.html

セグメンテーションというのは古い考え方なのか?:永井孝尚のMM21:ITmedia オルタナティブ・ブログ via kwout

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こたつでみかんがおいしい季節となりましたが、セグメントとは英語であの「一房(ひとふさ)」を言うときに使う言葉で、部分という意味があります。ワンセグ放送のセグもセグメントの略です。人々が様々に商品を買う状況で、個人一人一人をみかんのプチプチの小さな粒に例えると、あるまとまり=ふさに分割することがセグメンテーションとなります。

マーケティングの歴史をさかのぼると、アメリカで花開いた大量生産という生産手法にたどり着きます。企業は単一商品を連続して大量に生産する方法を身に付けたわけですが、それをどこに向けて発揮すればいいかという問題に突き当たりました。例えて言えば、これまでは弓と鉄砲だけで戦争をしていたのが、大砲という武器が手に入った状態です。弓や鉄砲は自然と一人一人を狙います。しかし大砲は人の集まりを狙ってうたなくてはなりません。大量に生産するが故に、どのようなものを作るべきかよく考えて作らなくてはならない。そうしなくては誰も買わない商品が山と積み重なってしまう。このようにしてセグメンテーションという考えが生まれました。

しかし生活が豊かになるにつれて、他人とは違う商品を欲しがったり、自分が本当に必要としている商品を丁寧に探し求めたり、という消費スタイルも生まれました。これは敵が固まらないでバラバラに突撃してくるような状況です。それに対抗しては多品種少量生産であったり、エスノグラフィ、BTO(デルモデルやダイレクトモデルとも)という生産方式が生まれました。

例えば多品種少量生産ではこれまでよりも細かなセグメンテーションを行います。エスノグラフィでは市場調査が従前のセグメンテーションで行われるものよりも深く掘り下げたものになっており、特に個人に強く依存した調査が行われるなどの特徴があります。BTOでは、どのような商品が提供されるかという点においてある程度セグメントが決定されるものの、実際には顧客からの要望に応じて商品を製造して販売するというモデルになっているため事前に作られた商品というものが存在しません。

そうした中で気になるニュースがありました。低価格ジーンズについてデザイナーの方が「いい物は高いという価値観も」ということをおっしゃっています。

これは非常に深い言葉です。いい物は高いということは本当でしょうか。これは正しいと思います。この命題の数学的な「逆」はどうでしょうか。「高いものはいい?」それはありえません。高くてもダメな商品はありますし、名実ともに高級なものでも自分に似合わない場合もあります。「裏」はどうでしょう。「悪いものは安い?」これも全面的にはあてはまりません。悪いものがあえて高く売られていることはあります。ぼったくりというものですね。

では「対偶」は。「安いものは悪い?」これはおおむね当てはまることですが、マーケティングがうまく機能した場合には「安くて良いもの」が生まれます。セグメンテーションが適切に行われていれば、大量生産により商品を非常に低いコストで作ることができます。

今はこういう景気ですので品質に大きな差がなければ安い商品を選びたい人は多いでしょう。高級品を身につけることによる幸福感を「もったいない」と感じる人も増えているようです。それどころか高級ブランドを選ぶ人を「踊らされている」と認識する向きもあり、安くて良いものを見つけて身につけることにスマートな印象が抱かれることも増えてきています。そういった環境の中で企業がきっちり仕事をした。だからこそ低価格ジーンズが成功したのだと言えます。

冒頭で言いましたが、セグメンテーションは捨てることを恐れて生まれた考え方です。失敗商品を生んでしまい、それを捨てることは企業の経営状態も悪化させますが、環境にも負荷の高いことです。そして後者は今、企業にとって非常に大きなテーマとなっています。そのような意味では、永井さんのおっしゃる下の言葉はマーケティングが大量生産/大量販売/大量消費だけでなく、スマートな社会を作るための助けとなる可能性を示しているのではないかと思いました。

いかに顧客と関係性を構築し、「思い」や「理想」を独りよがりではなく、顧客の反応を見ながら調整していくか?そして、変更し続けるか?

企業が我々に向かって商品を作ってくれるならば、我々が日々環境を意識した生活ができるかどうかが非常に重要になります。もしこの協力関係がうまく回り始めれば、社会全体で環境に優しい生活を送ることができるでしょう。

Comment(2)

コメント

山口さん、
トラックバック、ありがとうございました。
引用している本の著者の嶋口先生は、「理想の恋人を獲得する現代の恋愛型競争のやり方は、昔に比べて、はるかに複雑で困難なものになってしまった」と述べておられます。
企業と顧客が恋愛関係を構築するというメタファーは、なんともロマンティックですね。

永井さん、コメントありがとうございます。
恋愛とはとてもロマンティックですね。ロマンだけでなく、その比喩する内容も素晴らしいと感じます。
企業と顧客の関係は営利を過度に追求したあまり安全を軽視したなどのいくつかの事件を経て悪化が進んでいる面が多いと思います。その結果、企業からのラブコールが「うさんくさい」と切り捨てられるところもあるように感じます。相思相愛になる方法を探るのがマーケティングの役割と言えるかもしれません。

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