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@itの20周年を記念した振り返り記事がおもしろかった

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@itが20周年ということでおめでとうございます。

ものになるモノ、ならないモノ(@IT 20周年記念 特別編):
RSS、ライブドア、Weblio、7notes、FREETEL、神エクセル、みちびき――結局、モノになったのか? ならなかったのか?
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/2005/22/news016.html

20周年を記念したこちらの記事を読んでみると懐かしい名前がいくつも出ています。後半は会員登録が必要な記事ですが見出しのみご紹介することとしてそれぞれの技術にコメントしながら私も20年を振り返ってみたいと思います。

「Movable TypeとRSSの時代」

RSSといえば昔はtwitterもなく新着の記事はお気に入りブックマークに入れたURLを巡回してチェックしていました。Google Readerやライブドアリーダーが便利でしたがそれもいつのまにかtwitterやFacebookの公式アカウントからの更新通知に置き換わり、RSSリーダーの単体としての運用はSaaSとしてもアプリとしても難しいのかもしれません。一方でtwitter等のタイムライン最適化はそこまで正確とも言えず、1日に何度もタイムラインをチェックするほどのヘビーユーザーでなければ新着記事を見逃してしまうことも多いように思います。私は先祖帰りしてRSSがあるものは極力feederというiPhoneアプリでチェックしています。既読にしたことを自分で確認できるのも良い点ですね。SafariのタブをRSSにしている方にもおすすめです。

「ライブドア事件」以前の堀江貴文氏の無線LAN事業

無線LANといえば公衆無線LANの冬の時代はLTEによって完全に公衆無線LAN滅亡か、という予想をしていた方々もいたのです。私もその一環でした。実態としては帯域はあればあるだけ使うということで電車の中でもYoutubeを見る、FacetimeやLINEで通話しっぱなしにしてジョギングする、といった湯水のごとくパケットを流しては捨てるライフスタイルによってパケ死やギガが足りないという言葉が生まれました。公衆無線LANの再興はそれにとどまらず、インバウンドという本丸を迎えます。海外のように身元確認が緩く、また安価な旅行者向けのSIM発行サービスがなかった日本においては訪日外国人向けの公衆無線LANが一気に整備されたのでした。しかも国や自治体レベルの日本へようこそ!おもてなし!の流れですのでその勢いや留まることを知らず、

Wi2、Wi-Fiで訪日観光客行動データをクラウド分析
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1702/07/news060.html

という使われ方もしています。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う非常事態宣言下では新橋や渋谷などの人出が8割減になったかどうかをスマートフォンの位置情報によって可視化する取り組みがあり、ニュースでもアメダスのような画面を見た方もいたかと思います。そうした人流データは便利なのですが、一方でキャリア別とはいえデータが巨大すぎて分析が大変な部分も否めません。訪日外国人向けの無線LANを何時何分に誰が(言語別)どれくらい利用したか、その無線LANスポット毎に分かればインバウンド向けの観光関係者は大喜びということでその方面では便利に使われていたようです。コロナが落ち着きまた活躍する日が早く訪れますように。

辞書の「マッシュアップ」を実践

元の記事にもあるように今やAPIという時代ですのでマッシュアップという言葉は死語となりつつあります。東日本大震災の折には電力の需給に関する公式発表は勝手に使われた先でシステム障害等があった場合に発行元が責任を負えないということでグラフのみ発表されていましたが、エネルギー行政と共に本邦のITを所管する経済産業省等の表や裏から一定の働きかけが行われた結果、APIとまではいかずともCSVファイルが公開されることとなり、2011年の8月の電力需給が厳しい折にも各自が好きなデザインのスマホアプリで電力需給をチェックできる夏となりました。それがAPIというものが広く認知され始めたきっかけとなったように思います。CSVからAPIへと言うと完成してきた印象ですが、現在のREST APIもまたgRPCと比べると確かに過渡的な(HTTPの世界でできることをがんばってやっている)印象もあり、とはいえ必要十分そうでもあり、技術の進化は止まらないようです。

インディ開発者が大活躍したスマートフォンアプリビジネス

おもしろいアプリがたくさん生まれた時代もありました。それだけでなくそれまで日本の伝統的なエンジニアは会社に勤める以外ではあまりフリーっぽい働き方をすることが難しく、フリーウェアに広告を埋め込んで(そして時にそれはJword等と絡むと罵倒され心を乱されつつ)というイメージがあったと思います。アプリで一発当てて面白いサービスを立ち上げ、そこそこの暮らしができそうになったので気の合った仲間とスタートアップを始める、というようなエンジニアの生き方が可能となったのは日本のIT業界における幸運だったのではないでしょうか。DXブームの中で企業は従来型のIT企業(主にSIer)になかなか頼みにくい注文をしたくなる場面も多くなりましたが、完全にフリーランスというほどでもなく何年も黒字経営しているようなスタートアップであればコラボもしやすく、シェアオフィスやハッカソンなどを通じて人脈を形成し、提携発表というところまでたどり着いた案件も多くあったと思います。新型コロナウイルスで大企業からの発注にブレーキがかかりかねない情勢である一方なため、そういった大企業との連携を足掛かりに成長しようと考えていたスタートアップにとっては厳しい時間が続くかもしれません。ただ、ソーシャルディスタンスを実現するためにはウーバーイーツで食べ物を注文するようにこれまでの自社サービスをアプリに置き換えて店舗という接点がなくとも事業が継続できるようにしたい、というような考えを持つ大企業もあるでしょう。そうしたニーズを取り込んでいけることがスタートアップを左右するのかなと思っています。(もちろんそれ以外に独自のサービスで生きていくスタートアップもたくさんあると思いますし、中小企業でスタートアップを頼りにするところもあると思います。)そんな中では大企業ほど資金に余裕のないスタートアップはお客様への誠意としてクローズしたアプリにSorry画面を1年くらいは出しておいてくれ、という対応がなかなか難しいように思います。死んでしまったアプリを引き取ってSorry画面を出すのを代行するスタートアップというのはどうでしょう。

水面を自在に移動する「あめんぼ」のような書き味

PDA時代に培われた手書き文字の認識技術がタブレットへのペン入力で息を吹き返すというのは面白い話です。新型コロナウイルス感染症の拡大によって小学生から大学生まで多くの学生が影響を受け、ICT教育の活用が必要だと言われています。もともとICT教育で目指されていたことはプログラミング教育だけではなく、端末を活用して情報収集やデータ処理などを使いこなすことや情報リテラシー(一回ネットに流した情報は簡単には消えない)も含めた幅広いことを教えることです。そうした中ではキーボードを使えないといけないということはありませんのでペン入力というのも良いかもしれません。音声入力は教室の中では騒がしすぎるため難しいですね。先生がカバーしきれない英語の発音を認識技術でサポートするといったことはあるかもしれませんが。

FREETEL創業者の激動の運命を誰が予測しただろうか

まだそんなに昔ではないものの、MVNO界隈の平家物語っぽさ感じられる一件でした。そしてたまたま今日(2020年8月3日)こんなtogetterがまとめられることを考えられるとやはり責任をもって通信サービスを提供するということは大変なことなんだなと思う次第です。今もなお残る所有者不明のケーブル。誰のものなんでしょうか。

「どうして?」神田駅の電柱のケーブルに正体不明のケーブルがかけられていると貼り紙...一体誰がやったのか?
https://togetter.com/li/1570115

日本の生産性の低さを象徴する「神エクセル」問題と日本版GPS「みちびき」

神エクセル問題は本当に根深い上にストレスも大きいものです。経済産業省は「人生100年時代の社会人基礎力」と称して、社会人に必要な能力をアプリとOSと表現し、アプリの入れ替え(年次に応じて必要となるスキルを身に着けていく)はみんなできてるけどOSもアップデートしような(基本的なことを学ぶのをやめないようにしような)というようなことを言っています。

経済産業省「人生100年時代の社会人基礎力
https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html

おそらく今シニアで活躍されている方々はそもそもExcelに電卓の計算結果を打ち込むというレベルは脱しており、だからこその結合しまくりの神エクセルなのではないかと思います。一方でデータを印刷せずにそのまま加工・分析することでどれだけ効率が高まるか、はたまたメールで共有せずに共有ファイルサーバにおけばどれだけ無駄なリソースが減らせるか、もし削除されてしまっても1週間くらいはスナップショットで誰でもその場で復旧できる(昔見たいに管理者に電話してテープから戻してもらうようなものではない)ということを理解できていないのだと思います。しっかりと丁寧に説明して覚えてもらえば無理ではないので、覚える気がないというよりは「教えるのが失礼」という忖度が働いているのかもしれません。だとすると解決策としてはIT老老介護という方法がありそうです。IT老老介護とはこれまで年配の人が若い人に聞きたくないので年配の人同士で謎のスキルを広め合ってしまい手をつけられなくなる現象として否定的に使われることが多かったと思いますが、それでもFacebookなどをみればかなりスキルの高そうな方たちがまだまだ現役で活躍していらっしゃいます。そうした方にはぜひともIT老老介護を進めていただき、若者の貴重な人的ITリソースが使われるべきところに使われるようにサポートいただけると良いのではないかと思います。

そして日本版GPSの「みちびき」は既にサービスが稼働しており、誰のスマホでもGoogle Mapがセンチメーター級の精度で、なんていう誤解をはねのけて元気に運用されております。おそらくは相次いだ豪雨による被災地においても測量等で活躍していることでしょう。過去の話題ばかりでは寂しいので最後に将来の話をすると日本初の衛星データプラットフォームのTellusは本当にすごいですね。EUのeobrowserと比べると無料公開されているデータの種類が少ないのは少し寂しいですが、それでもプログラムから衛星データを取得して光や電波の波長による違いを検出するコードを書いて目的とするゾーンを特定するなんていうことがある程度は個人の技術者でもできてしまうというのは感動します。

https://www.tellusxdp.com/

https://www.sentinel-hub.com/explore/eobrowser/

おりしもオンラインイベントが開催中で2020年8月4日や8月6日にもYoutubeで講演などがあるようです。見逃し配信もあるだろうか。
「Tellus SPACE xData Fes. -Online Weeks 2020-」
https://fes.tellusxdp.com/2020/

言葉を尽くして説明するのはわかりにくいのですが、衛星画像(衛星データ)が対象というだけあってデモを見ればやれることできることが一目瞭然。これは1回見ておくとピンとくると思います。反対に、例えば日本の土地を買うのにあたって従来ながらの手法であれば不動産屋さんが現地を見て云々というステップから評価額を出すのに対して、海外の不動産事業者であっても衛星から得られる日照や植生、周辺交通量などの様々な指標でもっと正確な評価額を出せる時代が来るかもしれません。現在は株式の取引で人間よりも高速に判断を繰り返すHFTが常識となりつつありますが、土地においても衛星データから割安な土地を買い、割高な土地を売るという時代が来るのでしょうか。日本の土地の大半は不動産サイトを跳ね返してFAXとガラケーで売買されているという噂もありますが。

また次の30周年にこうした面白い企画があれば私も節目を振り返ってみたいと思います。

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