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セグメンテーションというのは古い考え方なのか?

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セグメンテーションというのはマーケティングでは基本の一つです。

しかしセグメンテーションという考え方は、もしかしたら古くなりつつあるのかもしれません。

「ビューティフルカンパニー」(嶋口充輝著、ソフトバンククリエイティブ)p.104-110で、3つの商売の取引パターンが紹介されています。


---(以下、引用)---

第一の取引パターン
「刺激・反応型」取引は、供給者、つまり一般的には企業が顧客に働きかけて需要を「操作」する取引である。売り手が買い手に商品やサービスの価値観を与え、買い手の顧客反応を引き出そうというものといえる。

第二の取引パターン
「交換型」取引は、顧客の持つ需要に対して企業がうまく「適応」する取引だ。

企業がまず買い手のニーズや欲求を探し当て、それに合うサービスを提供しようとする。その意味で、マーケティングの形としては、「顧客適応型」マーケティングと言われる。....「顧客適応型」マーケティングを行う上で前提条件となるのが、顧客のセグメンテーションである。

第三の取引パターン
「関係型」取引においては、顧客と「共同」するマーケティングが必要になる。第二の取引は、売り手企業があらかじめ顧客のニーズをわかっていることが前提になる。ところが、近年は顧客ニーズの高度化によって、企業が複雑な調査技法を駆使しても正確なニーズがとらえられないことが多い。しかも、そうした対応では、改善・改良はできても、ブレークスルーも起こりにくい。

---(以上、引用)----

最近、セグメンテーションと顧客中心マーケティングの間のなんとなく違和感を感じていました。

顧客の対象を絞るためにはセグメンテーションの大切さは変わりませんが、一方で、顧客中心に考えるとニーズは一定でない訳で...。

この本で明確にその理由が分りました。

本書では、解決策も提示しています。

---(以下、引用)---

.....第一次的な関係づくりにあたっては、まず関係の場を自らの事業ドメインとして明確にすることが大事だ。一般論でいえば、現在の顧客の上位20%と強力な関係づくりを行えば、80%の安定的な収益源が可能となるため、この20%の顧客を関係の場の主な対象とする。

....そこでまず、売り手が自らの思いや理想を元に事業コンセプトを設定し、そこから仮説的な価値物をつくり上げる。

次にその価値物を顧客に投げかけることによって、顧客からの反応を引き出していく。しばしばこの反応は自律的な顧客の創造的な受け入れや拒絶によって偶発的な結果がもたらされる。その偶発的な反応を無視するのではなく、売り手は自らの思いや理想と調整しながら当初の価値物を新たな価値に再編成して再び買い手顧客に投げかける。このようにしながら、売り手、買い手双方の納得するスイートスポットを追いかけていくのである。

---(以上、引用)----

いかに顧客と関係性を構築し、「思い」や「理想」を独りよがりではなく、顧客の反応を見ながら調整していくか?そして、変更し続けるか?

将来を予測できない世の中でこそ、このような仮説検証プロセスが有効であることが分ります。

 

http://twitter.com/takahisanagai




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