好きこそ物の、ビジョンあれ
昨日マリコさんがこんなことをおっしゃっていました。
なぜなら私は「なんでも好き」な性格だからだ。(中略)嫌いなことをやるハードルは普通の人に比べたらはるかに低いのであろうと想像する。
このエントリが投稿された少し後に、私も似た文章を投稿しました。
自分と会社について思っていることは、他の仕事についていたとしても仕事も会社も好きと感じていたんじゃないかということです。よく言えば適応性が高い、逆に言えば悪食(あくじき)です。
私の投稿時間は20分遅いのですが、マリコさんのエントリに気付かないまま投稿しました。が、なんだかマリコさんのこと悪食と言ってしまったかのようで大変恐縮です。狙ったわけでもないのにTOPページでエントリが並んでしまいました。(決してそんなつもりはありません。悪食は自分自身へ向けた一言です。)
それはさておき、どんな仕事が一番好きかという問題は難しいと思います。かなり多くの仕事を経験しなければ「あれが一番だった」ということを言えないんではないでしょうか。そうした経験がない状態で「今の仕事より好きな仕事はありますか」と聞かれたら何と答えていいかわかりません。あるかもしれないし、ないかもしれません。
そのように一番かどうかを考えるのは難しいことですが、「かなり好き」かどうか見分けられます。ビジョンを持っている人ならその仕事をかなり好きであるはずです。自分がその仕事を好きであればあるほど、将来どのようにしていきたいか、そのためには何が必要かという点を考えるものだからです。
今の自分の仕事を好きだと思っている人で、将来どうあるべきか、どうなったらすばらしいか、ということを考えられないというのであれば、それは「嫌いじゃない」というレベルなのではないかと思います。将来を考え、明日はこうしたい、来年はこうしたい、それによってこういう未来を引き寄せたい、というプロアクティブさは「好き」を構成する大切な要素のひとつであるように思います。それがシャドウワークやアンダーテーブル研究などの有形に結実しているとしたら、それはもう相当好きと言えます。会社の宝ですね。
具体的に表すとすれば、将来のあるべき姿を自分の言葉で他人に語れる人はその仕事が「好き」と言えるでしょう。好き度が強い人は、普段から、細かいところまで、遠い未来に渡って考えているように思います。その点オルタナブロガーには、ひょいとマイクを渡しても30分くらいビジョンを語れそうな人がわんさかいるように思います。(経営者の方はそれが普通と思いますが)
そういった人が集まるとどうなるでしょうか。前のエントリのコメントで小俣さんからご意見をいただきましたように、仕事を好きな人同士が集まると意見が衝突しがちです。
ビジョンが無い人×無い人の場合
「ああしたい」「こうしたい」という議論が生まれることがありますが、なかなか前に進みません。遠くを見据えていない議論では目先の利益を自分に誘導してくることに終始してしまいがちでしょう。
ビジョンのある人×ある人の場合
(Case:異なるビジョン)
互いのビジョンが異なるのであれば、自分はこっちに行きたい、いや、俺はこっちに行きたい、というような議論が生まれます。そこでは互いのビジョンの似ている点、異なる点について話し合うことができ、時に自分のビジョンをバージョンアップする機会を得られるかもしれません。他人のビジョンに影響を与えられるかもしれないところがおもしろい点であると思います。
(Case:ビジョンが同じ)
互いのビジョンが同じであれば、その実現のためのステップについて議論が生まれます。こうしたほうがいい、いやああしたほうがいい、というように議論になると思いますが、ゴールが同じであるだけに個人の「思い」の部分に固執せず優れた考えを尊重し、目的意識を共有しやすいように思います。この議論で熱意をこめ過ぎると、ひょっとすると客観的に正しいと思われる選択肢でないものが採用されてしまうかもしれません。夢を語るのは熱く、実現は冷静に、というのが望ましいでしょう。
ビジョンのある人×ない人の場合
これは場合によっては喧嘩になると思います(笑)でもかっこいい先輩が語る夢に共感した、という話はよく聞きますね。
しかしこのように意見を衝突させる機会を持たずにビジョンだけ抱いていると、人は機関車トーマス的に突っ走ってしまいがちです。ですので仕事が好きなもの同士でビジョンやその実現のためのステップについて語り合える機会というのは非常に重要であり、欠かせないものであるように思います。
普段の会社のメンバーですと気恥ずかしさがあったり、また上司相手ですと有言実行できなかった場合に評価に影響するかなというような邪念がちらついたりして、自由にビジョンを語る場面は多くないように思います。また一般論として同じ会社の人間は性質が似てきてしまうところがあり、「俺もそう思う」ばかりで議論が生まれにくくなる可能性もあります。
その点、オルタナティブブログでは同じ業界にいるものの、違う会社、違う立場(企業経営者側、個人プレイヤー寄り、会社員)、違う年齢の人が集まっていて、しかも増加傾向ですのでビジョンを語るにはもってこいの場所です。私の経験からすると、知らなかったことを教えていただくこともかなり多いですが、異なる考え方に触れられることが本当に多いです。こういった場面は探してもなかなか見つかるものでなく、良い機会に恵まれていることを幸運に思います。(twitterは同じような可能性を秘めているように思います)
ブログやミーティングの刺激により自分のビジョンをより鮮明にすることが、オルタナでブログを続けていく動機のひとつになっている人は多いかもしれません。とすれば仕事に積極的な人だらけになるわけで、仕事が好きな人が多いと感じるのも当然ですね。