ドラクエに学ぶ収益の実現主義【お詫びと訂正】
本エントリは誤った主張をしておりました。全文を取り消しとすると共に、間違いをお詫びいたします。
理由
ドラクエに例えて、企業会計原則における収益の実現主義の考え方と異なるものを「実現主義」として説明した。
経緯
(言い訳です。)
実現主義という考え方をドラクエの世界観を用いて簡易に説明できないかと着想した。収益の実現を例える材料として、「はぐれメタルはすぐ逃げる」という事実を選んだ。はぐれメタルは倒すまで経験値が入らない、ということは現金主義的な考え方であるが、それを実現主義であると説明してしまった。 はぐれメタルは逃げる、危険だ、というところから、確実に収益を認識しなくてはならない、と発想が広がり、いつの間にか現金主義の考え方を実現主義として紹介してしまった。また、発生主義で資金繰りを考えながら、そのペアでこちらのエントリを作成していったため、発生主義のエントリで間違った内容を作ったのと並列で、こちらでも発生主義・実現主義についての間違った説明を展開してしまった。
本来このエントリで主張したかった内容
ドラクエをやる上で、レベルアップやアイテムを拾う見込みがはずれて苦しい経験をした方は多いと思う。その経験を思い出しながら、資金繰りを見込みに頼りすぎると危険であることを認識してもらえないだろうかと思った。「はぐれメタルって確かによく逃げるよね」という共感から、収益を見込むことについての危険性を実感してもらえるだろうと思った。また、発生主義のエントリと合わせることで、収益は小さく(鈍感に)、費用は大きく(敏感に)という考え方の安全性を伝える事ができると思った。
参考
必要最低限の情報ではありますが、本来の発生主義と実現主義についてできるだけ誤りがないようにドラクエ風にまとめた内容はこちらになります。リンク先は極めて単純化した内容となっておりますので必要な情報を十分に網羅しておるとは言えません。正しい理論については専門書でご確認いただきたいと思います。
以下が古いエントリの内容です。
費用の発生主義に対して収益は実現主義で捉えます。収益は確かなものになって初めて計上しましょう、という考え方です。 昨日同様に、ドラクエ3の4人パーティを考えてみます。4人はレベル上げを行っています。弱いモンスターをちまちまと倒していたのでは時間がかかって大変です。そこで、経験値をたくさん持ったモンスターが出るという噂を聞いて、ネクロゴンドの洞窟にやってきました。ここには「はぐれメタル」というモンスターが出ます。倒すと42000EXPもらうことができるそうです。4人で山分けしたら1人当たり10500EXPになります。 洞窟をさまよってしばらくすると、はぐれメタルが現れました。戦闘になり、勇者に会心の一撃が出て決着がつきました。全員がたくさんの経験値を得てレベルアップに成功しました。ひき続いてはぐれメタル狩りを行っていると、はぐれメタル以外のモンスターとの戦闘などにより、ずいぶんHPやMPが消耗してしまいました。戦士も死亡してしまってます。手元に世界樹の葉はありません。
普通ならばここで退却し、教会に行って体制を立て直すところです。しかしながら魔法使いはあと13000EXPでレベルが上がり、「ザオラル」を覚えてくれるはずです。戦士が死んでしまっているため、はぐれメタルを倒した場合には1人あたり42000/3=14000EXPが獲得できます。「はぐれメタルが出るまでもう少しねばってから帰ろう」という計画を立てました。 次の敵ははぐれメタルでした。この時点ではまだレベルが上がると決まったわけではないのですが、もはやレベルが上がったも同然=ザオラル覚える=パーティが4人揃う=余裕で帰還できる、と考えてしまいました。本来ならば安全に勇者の体力を回復するのですが、ここでは全員で攻撃に回ってしまいました。運が悪いことに、はぐれメタルに攻撃は当たらず、ギラを食らって勇者が死亡、はぐれメタルは逃げるという結果になってしまいました。洞窟から抜け出すには長い道のりが残っています。このパーティでこの先どうしたら良いのやら。
昨日の費用の発生主義の話では、HPが減って宿屋に泊まらなければならない、という費用が発生した瞬間をもって宿屋の宿泊費を認識しました。今日は同じように「はぐれメタルが現れた」という瞬間をもって、レベルが上がるという収益を認識したのですが、うまく行きませんでした。これは、費用と収益の性格の違いによるものです。会計では、費用は大きく、収益は小さく見積もるのが安全とされます。例えばHPが減って宿屋に泊まらなければならないとして宿賃を計上したところで、敵がパルプンテを唱えてこちらが完全回復することがあるかもしれません。その場合は宿賃が浮いてラッキーで済ますことができます。しかし、はぐれメタルが現れたのでレベルアップするだろうと見込んで収益を計上したところで、はぐれメタルが逃げてしまうと困る事があります。見込みで計上した収益を一足早く使ってしまった場合、資金繰りに困るからです。 #2007-09-23 モンスターを倒してお金を得る事を発生主義、実現主義、現金主義で区分することは困難です。例えが最悪でした。倒したモンスターの亡骸を現金同等物(価格変動なし)と位置づけ、ドラクエの世界に換金システムがあると仮定するならば、余裕で倒せるモンスターが出現=発生主義、倒した(換金前)=実現主義、モンスターを換金した=現金主義と捉えることができます。 例えば今日のケースでは、レベルが上がるだろうと見込んで行動した結果、その目論見がはずれて痛い目に遭いました。費用は大きく見積もるため、見込み違いで行動した場合は必要以上に慎重な行動を取る事になります。あまりに慎重すぎる行動を積み重ねれば企業経営上問題になりますが、普通は深刻な状況にはつながらないでしょう。しかし収益を大きく見積もった場合、見込み違いで行動すると必要以上に大胆な行動を取る事になります。身の丈に合わない大きな契約をしてしまったり、資金繰りに困ったりすることがあるかもしれません。 #2007-09-23 実現主義と言うのは、売っていない製品を、製品が完成したからといって○○円儲かったことに見積もる、ということを禁ずる考え方です。こういった資金繰り上の話とは関係ありません。 ドラクエでは、はぐれメタルというとよく逃げるキャラの代表的存在です。レベルが低いうちはまともに攻撃を当てることもできないうちに逃走されます。一方で現実世界の取引でも、はぐれメタルが逃げる確率よりは低いものの商売相手が倒産してしまうことがあります。「5日後に取引先から100万円の代金を受け取る予定があるので10日後に返済する約束で80万円のお金を借りよう」ということをすると、連鎖倒産になってしまうかもしれません。収益は見込みで捉えずに、現金や売掛金や受取手形が動いたタイミングで計上することが求められます。 #2007-09-23 この例えは完全に誤りです。100万円の代金の受取の約束は手形にしろ掛にしろ、現金同等物ですので実現していることになります。最後の文は現金主義で捉えましょう、という意味になっています。実現主義の利点を紹介する文としては完全に間違っています。 昨日今日で見た失敗が起きないように、費用は発生主義、収益は実現主義で計上されます。費用を発生主義で捉える事については、宿屋に泊まるお金を使ってしまうとパーティが全滅してしまう、ということから学ぶ事ができます。収益を実現主義で捉える事については、取引先をはぐれメタルだと思うくらいの気持ちでいることが必要だと思います。以上、発生主義と実現主義の話でした。 #2007-09-23 この段落も問題だらけです。はぐれメタルの逃げやすさを念頭に置いて考えたせいで、安全にやろう、慎重にやろう、という考え方から現金主義を進めてしまいました。実現主義とは異なった考え方を実現主義と紹介している点が間違っています。 (# 本エントリで紹介している「実現主義」は、企業を運営していく上で収益は確からしいものになったところで認識しようという考え方について述べたものです。企業会計原則上の「実現主義」を説明したものではありません。) #2007-09-23 上の追記は無用な混乱を広げるだけの無意味なものでした。自分では「確かな収益計上に基づけば資金繰りがやりやすいじゃないか」という点について自分一人で納得し、もっと大きな間違いに気付きませんでした。誤りを認識するのに時間がかかり、その間に誤った情報を発信し続けてしまったことをお詫びします。 |
以上、2007/9/23に追記。