ドラクエに学ぶ費用の発生主義【お詫びと訂正】
本エントリは誤った主張をしておりました。全文を取り消しとすると共に、間違いをお詫びいたします。
理由
ドラクエに例えて、企業会計原則における費用の発生主義の考え方と異なるものを「発生主義」として説明した。
経緯
(言い訳です。)
発生主義という考え方をドラクエの世界観を用いて簡易に説明できないかと着想した。構想してみたものの、ドラクエでは会計期間の概念を上手に例える対象が見当たらなかった。そのため費用の発生主義から発想を広げて、企業(少人数を想定)を経営していく上で支出をいつ認識するかというタイミングを扱うことにした。その時点で、内容は発生主義とまったく関係のないものになっていた。しかし私の頭の中では当初発生主義から着想を得た事から、発生主義と関連するテーマであるという認識があったため、タイトルや文中に「発生主義」という言葉をこじつけで用いてしまった。このことにより、「発生主義とは支払が発生しそうになったらそれを早めに見積もることです」という旨の誤った主張をしてしまった。
本来このエントリで主張したかった内容
ドラクエをやる上で、ゲーム内のお金が無くて困ったという経験は誰もがした事だと思う。支払が発生しそうだという事実を早め早めに認識していくことで、資金がショートすることを防ぐことができる。例えば、HPやMPが規定値よりも下回ったタイミングで宿屋代をを積み立てれば、無計画にアイテムを購入して宿屋代が不足する事を防止できる。各人のそういった記憶を思い出してもらった上で、会計の世界にも同様の考え方があるんですよ、ということを啓蒙できれば、会計について興味を抱く人が増えると思料した。
参考
必要最低限の情報ではありますが、本来の発生主義と実現主義についてできるだけ誤りがないようにドラクエ風にまとめた内容はこちらになります。リンク先は極めて単純化した内容となっておりますので必要な情報を十分に網羅しておるとは言えません。正しい理論については専門書でご確認いただきたいと思います。
以下が古いエントリの内容です。
企業会計には「費用の発生主義」という考え方があります。企業を運営していく上で発生する費用を「発生主義」という考え方で捉える事にはどのようなメリットがあるのでしょうか。 ドラクエ3の4人パーティーを考えてみます。セオリー通りで勇者、戦士、僧侶、魔法使いを想定します。今回の想定では話を簡単にするために、ザオリク・ザオラル・世界樹の葉による生き返りを考慮しません。すなわち、死亡した仲間を生き返らせるには教会に行かなければならないという状況です。また、ホイミ系呪文と薬草による回復も考慮しません。回復するには宿屋に行かなければならないとう状況です。ちょっと特殊な条件ですが、これに従って昔を思い出してみましょう。 ゲームも終盤に差し掛かり、オリハルコンを手に入れました。あとはお金を貯めて王者の剣を買うだけです。現在、オリハルコンを売却した代金で22500ゴールドの所持金があるとします。王者の剣は35000ゴールドですので差し引き12500ゴールドを貯めなければなりません。そのへんの草原を徘徊してモンスター倒しを続けます。 順調にモンスターを倒し続けました。現在の所持金は36000ゴールドまで貯まっています。これで王者の剣を買うことができます。その前にステータスを確認してみますと、全員の体力が減りまくっています。最寄の宿屋で回復するには1500ゴールドの費用が必要とわかりました。この場合皆さんはどのように行動するでしょうか。恐らくは宿屋に行って回復を優先し、再度モンスター倒しを行ってから王者の剣を買うと思います。 これは、宿屋に1500Gを支払うという費用を避けられないものとして認識しているからです。簡単に言えば、先に宿屋に泊まらないとHP切れでパーティ全滅になって王者の剣どころじゃないということです。 上の図のような状態になったところを想像してみましょう。確かにバギクロス使い放題は魅力的なのですが、敵と戦ってお金を稼ぐにもHPが足りないし、町に戻って宿屋に入るにもお金が足りないしで八方塞がりになってしまいます。たった500Gなのですが、それを稼ぐために敵と遭遇すると全滅してしまう可能性があるからです。現実の企業でも「黒字倒産」というのがあるくらいですので、資金のショートは致命傷になります。子供時代に「道具を買って生きるに困る」という貴重な経験を得た方も少なくないのではないでしょうか? なお、大手が作るRPGというのはこのような状態に陥りにくくなっていますが、特定の条件でこのような罠に落ち込んでしまうとニッチもサッチも行きません。嫌いな友達からドラクエ3を借りて4人パーティで3人死亡(装備なし)、本人は毒+呪い、道具ゼロ、HP一桁、MPゼロ、周りの敵最強という状態で冒険の書1から3までセーブして返却したということはないでしょうか?普通は無いですよね。 このように、避けられない費用負担が発生した時点で、それを財布から別にして支払に備えておくことを費用の発生主義と言います。費用を支払う必要が生じたら、その時点でそれを記帳しておきなさい、ということです。反対に、所持金だけを考える事を現金主義と言います。 #2007-09-23 上の段落は致命的に間違っています。これは費用の発生主義と現金主義の違いを説明する文章として適切ではありません。 皆さんも子供の時にはその必要性を体で実感していたはずです。体力が尽きそうになったときには頭の中で下のような意思決定が行われていたはずです。
最後に、仲間が死亡したケースでおさらいをしてみましょう。無理が災いして3人が死んでしまいました。自分がやられたら「おお、ようへいよ、しんでしまうとはなさけない」と言われますので復活させなければなりません。無理したおかげで50000Gが貯まりましたが、教会で1人復活させるのに6000Gが必要になるとします。 ドラクエのステータス画面上の所持金の表示は50000Gになっていますが、実質的には仲間3人を生き返らせるための費用が6000×3で18000G発生しています。差し引きした所持金はたった32000Gです。ここで「50000Gあるんだったら王者の剣買えるじゃん。余裕っスよ。」と思うか「所持金は実質32000Gしかないから、王者の剣は買えない。まずは仲間を復活させよう。」と考えるかが現金主義と発生主義の違いになります。 #2007-09-23 上の段落は致命的に間違っています。これは費用の発生主義と現金主義の違いを説明する文章として適切ではありません。 以上、こうしてまとめてみるとそのへんの小学生でもやっている費用の発生主義の話でした。 (# 本エントリで紹介している「発生主義」は、企業を運営していく上で費用は避けられなさそうになったところで認識しようという考え方について述べたものです。企業会計原則上の「発生主義」を指しているものではありません。) #2007-09-23 上の追記は無用な混乱を広げるだけの無意味なものでした。自分では「資金繰りについて正しい事を言っているじゃないか」という気持ちになっており、誤りを認識するのに時間がかかりました。その間に誤った情報を発信し続けてしまったことをお詫びします。 |
以上、2007/9/23に追記。