マリッサ・メイヤー、シェリル・サンドバーグ、スーザン・ウォジスキー、Google出身の女性がここ3年のDreamforceで語ったダイバシティ課題を振り返り、そこから今後のあり方を考えてみる。
偶然ではありますが今年のDreamforceに参加する前にGoogleの人事担当者の出した書籍「ワーク・ルールズ」と、そこで試されている行動経済学の関連書籍を読む機会がありました。
前回も書いた通り3回目のDreamforce。
この中では、女性の社会進出であったり働き方の多様性に関する基調講演が毎回開催されており、このような方々の話を聞く機会がありました。(ヒラリーさんはちょっと話の方向性違った感ありますが)
The Honest Company 創業者 ジェシカ・アルバ氏
なぜ冒頭にGoogleの人事担当者の出した書籍の話をしたかというと、彼らは創業から15年ほどが経過している訳ですが、その中でマリッサ・メイヤー氏はー週168時間中、130時間働くような経験を披露しています。
FacebookのCOO シェリル・サンドバーグ氏はフェイスブック初の女性役員ですが、その前はグーグルにも在籍しています。そしてアメリカ社会で女性の社会進出のついて問題提起を行っているのはご存知の通り、子育てについてもここまでやるか...という頑張りをしている方。
つまりここまで、とにかくがむしゃらに働くマリッサ・メイヤー氏の時代から、シェリル・サンドバーグ氏の子育て奮闘ぶりはかなりハードルが高いものがあったと推測されます。
現在YouTube CEOであるスーザン・ウォジスキー氏は有能な女性が出産の子育てを続けるにはどうしたらよいかをGoogle経営陣に考えさせるきっかけを与えた人物。YouTubeに移籍してからも46歳で5人目の子どもの産休に入ったことはニュースにもなっていたかと思います。
そして今年は、CBS This Morningでホスト役のゲイル・キング氏、The Honest Company 創業者 ジェシカ・アルバ氏と現在YouTube CEOであるスーザン・ウォジスキー氏3人による講演が開催され、その内容はというと、
米国は有給で産休が取れる企業は一握りでしかなく、その制度を改めるべきだという主張をこれまでも続けてている人物で、今回も同様の主張と、優秀な人が出産で仕事を変える必要がないようにすることで企業にもメリットがあるとしています。
そしてジェシカ・アルバ氏は経営をするなかで子育てなど家庭のために働ける時間の制限がある人であっても採用を積極的に行っていること。そしてそういう制約がある人のほうが生産性を高める工夫をしてくれるので経営者としても助かるという趣旨の発言をしていした。
その他に写真を撮りながら、気になってメモしたワードは以下の通り
- プログラムのスキルはこれからの時代とても重要(皆が身につけるべき)
- いつも文句を言っていると思われないように。
- 才能があること
- 潜在能力も大事だけど、学び続ける
- 他の事を学べるひと
- 環境は変化する
- テクノロジーが生活をかえる
- 試してみないと分からない
この3年間にDreamforceで聞いた話しを振り返ってみると、ITの最先端で、女性の社会進出も進んでいると思われるアメリカであっても、がむしゃらに働く時代から、女性の社会進出だけでなく、子育てや産後の復職問題も含め、雇用環境の整備であったり、仕事をより効率よくしていく環境整備を必要としていることが読み取れます。
冒頭で紹介した「ワーク・ルールズ」では、Googleが創業から世界的な企業に成長するまでに、目の前の現実を踏まえながら様々な人事施策を講じてきたことを知ることができる一冊です。
Googleの人事施策の中に、プロジェクト・オキシジェンというのがあるのですが、中身として突飛なことは書かれておらず、この事についてはカレン・フェラン氏の「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」の中でも言及されています。
その施策の実行段階で、統計的な判断を重視したり、チェックリストの利用やナッジと呼ばれる行動経済学の要素を取り入れている点がGoogleらしい点でもあるかもしれませんが、
ここで見えてくるのは、旧来企業も新興企業も取り組みとしては同じことをしているにも関わらず、結果に違いがあると推測されるのが興味深いところです。
一律で8時間しか働けないというシステムは硬直化していると言えるでしょう。チクセントミハイのフローの概念からもクリエイティブな側面がある知的創造活動にはこのような時間制限は邪魔ですらあるかもしれません。
限られた時間の活用と、時間を忘れて仕事ができる環境の両立は簡単な課題ではありませんが、知的創造活動を行う組織においては解決しないといけない課題であることだけは間違いないと思います。