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欧米では食べ物を食べられなくなったら死を意味し、必要以上の延命を行なわないらしい…

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2年ほど前にこんなエントリを書きました

思い返すと、この東京都立墨東病院を含む8病院から受け入れを断られた妊婦が脳内出血により死亡したニュースは、関連する報道から医療関係者の過酷な労働環境などいろいろな問題を表に出すことになったと記憶しています。

そのほか、高齢化社会の中で医療費の増大から政府の財政を圧迫しているという報道とか、後期高齢者医療制度に代わり70~74歳の自己負担2割にする…というような報道が今日もされていたりした訳ですが、こちらの書籍を読んでみるとこれまで紹介した例とはまったく正反対の医療現場の姿が見えてきて大変興味深い訳ですが、

その書籍は『NHK追跡!AtoZ

NHKで放映されたドキュメンタリー番組をベースにしているのでご存じの方も多いのではと思います。

昨日のエントリでも日本は頭のいい人たちが上手に安定して食べていく仕組が出来上がっているという話をさせてもらいましたが、現在の医療制度において診療報酬を「錬金術」のように活用することで、患者さえ居れば不要な診療・手術であっても無理矢理うけさせてしまえばその病院にはお金が入ってくる…という、にわかには信じられない話が出てくる訳です。

福島地裁の「大野病院事件」の判例があり、医療ミスを含む何らかの罪に問われて起訴された医療関係者の数は、

2002年が12人
2006年が3人
そして、2007年にはゼロになってしまった…

と本書には書かれており、そこには医療行為における医師の裁量権を認める判決が出ていることを踏まえると、不正請求の詐欺行為だけでなく、不要な医療行為から患者が死亡している…と疑われる事案があったとしても捜査関係者としても事件として扱うかどうかにおいて相当に苦労がある事が分かります。

お年寄りなどを対象とした悪徳商法なども困った事ですが、この書籍に出てくる病院間でトレードされる生活保護者やお年寄りを寝たきりにさせたまま診療報酬を得るために治療を続ける医者の姿には、冒頭に紹介した話となかなか同じ業界の話なのか…と思わざる得ないのですが、文中で紹介された生活保護者(特別な病人という訳ではない)の場合、3年半で2000万円の診療報酬が使われていたのだそうで、ほぼ健康な人に年間600万近くの医療費が使われていて、こういう例が他にも沢山あるのではないか?と本書は指摘します。

さらに、診療報酬規定の点数は確かに切り下げられてきて、そこに医師の団体は引き上げを求めているが、日本の医療費は増え続けていて、国民医療費の総額は、1988年には約19兆円だったのが、98年には29兆円、08年には34兆円を超え、この10年でも18%の伸びを示していて、「失われた20年」と呼ばれる不況が続くなか、これだけの成長を続けた分野があるだろうか?という指摘と、限られた資金の適正な分配をするにはどうしたらよいだろう?と最後の章には書かれています。

タチが悪いよな…と思うのは、巧妙にさもワタシは悪い事はしていません…という顔して裏であくどい事しているようなケースだと思う訳ですが、非正規労働者を住まわせて、家賃滞納したら即刻退去…というのはある意味荒っぽい手法ですけど、弁護士の過払い金返還に関してのトラブルやら、今日紹介した医療という特殊性・専門性を逆手にとって金を儲ける頭の良い人たちってほんと勘弁して欲しいと思いつつ、やはりそこには「金」という大きすぎる現実が立ちはだかる訳です。

最後に、日本は世界一の長寿国で医師会はそれを誇りにしているようだが、日本ほど延命治療をする国は他に例がない…というのをご存じでしたでしょうか?

反対意見も当然あるとは思うのですが、「人間の尊厳の問題」として、欧米では食べ物を食べられなくなったら死を意味し、必要以上の延命を行なわないが、日本は徹底的に延命をする。そこで医療費の支出が増額するし、『おいしい』と考える業者が医療とタッグを組んで利益を追求するような展開が当然ある…という大学教授の指摘が紹介されています。

今日のエントリはあまりにいろいろな方面で考えさせられる事が多すぎなので、自分でも困っているのですけど(苦笑)とりあえず、長生きしたいとかあまり考えるほうでは無い自分としては、食べ物を食べられなくなったら延命は必要ない…って家族に伝えておくべきなのかなと思ったのでした。

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