家族が深夜救急で「今は診療出来ません」と言われ、学んだ事。
東京都立墨東病院を含む8病院から受け入れを断られた妊婦が脳内出血により死亡したニュースを最初に知った時には、国立・公立病院が経営効率を求められている中で医師の配置を経営効率化をしようとすれば、こういう不運に遭ってしまうのか、、、という、ある意味当事者の方の気持ちを考えない不謹慎な感想を持ったことを最初に告白しておきます。
その上で、自分が体験したことを書かせていただきます。
つい最近、家人を救急で深夜に病院に連れて行く事態が発生、結果として家人に大事はなかったのですが、日曜の深夜2時に救急窓口での対応は、
まず電話をしてから診療に来ているか?
そして、
現在当直の医師は別な患者を診ており、すぐ診療できないので、他の病院に行って欲しい。救急対応のコールセンターの番号を教えるので自分で電話するように。
というものでした。
わたしはすぐその場で電話をしたのですが、残念ながら電話は繋がらず困っている所で、救急病棟の入り口に患者の搬送を終えた救急車が止まっていたので、救急隊員の方に、どこか診療してくれる病院への搬送をお願いしましたが、この救急車は今搬送を終えた時点の事務処理をしているところなので、自分で電話をしてまず病院の空き状況を確認してくださいというものでした。
コールセンターが電話に出ないという事を救急隊員の方に告げると、この近所であれば、こことここが救急対応してくれるはずとのことで電話番号を教えていただき、直接病院に電話をして医師の方に状態を告げ、診療してもらえることを確認してから、そちらの病院に向かったのでした。
日曜深夜の救急病棟は、必要最小限だけの照明で閑散としており、昼間に見る高度医療を提供できる大きな病院とはまったく別な印象であり、目の前に最新鋭の機器が並んでいる様子が、「現在は診療できません」という言葉を聞いたとたんに、自分には単なるガラクタにしか見えなくなったような気がしました。
今回の件で学んだこと、それは
まず家族に異常があった場合、近所の救急医療を提供している病院の状況を電話確認することが非常に重要ということです。
病人である家族は当然普通の状態ではありませんし、付き添っている自分も焦っている状態で、受け入れできないという言葉は本当に脱力し不安を巻き起こしてしまいますから、複数の病院を当たって、受け入れ先を確保してあるということを救急隊員の方に告げるう事ができれば、搬送までの時間などを考慮して、適切な対処をしてもらえる確率も増すはずと思います。
増え続ける医療費にやはり予防が有効ということで麻生さんはこれまた失言騒動を起しているようですが、小さい政府、何でも民営化、効率化、採算重視、、、、大義名分としてはごもっともなんですが、大震災などの災害時に膨大な数の被災者がいて、医師の手が回らないという事態であれば、それなりに納得のしようもあるかもしれませんが、日曜深夜に診療してもらえないという状態って、言葉に表すことが出来ない不安感に襲われました…
人間って自分が体験しないと判らない生き物なんだって、当たり前な事を痛感しつつ、先日の奥さんを亡くした旦那さんが、
「(妻が)苦しんでいる横で、医師が連絡をとった病院から次々と受け入れを断られた。なんでこの都会で、死にそうに痛がっている人間を誰も助けてくれないのかやり切れない気持ちだった」と打ち明けた。一方、「誰かを責めるとかではなく、妻の死が浮き彫りにした問題を、国や都などが力を合わせて改善してほしい」と話した。
こういう冷静な態度で会見に臨まれたということが、8つもの病院から診療拒否されたときの想像を絶する落胆を感じたであろうことや、家族を亡くした立場として気持ちを押し殺していた事を今回の経験から推測するに、この旦那さんが訴えられている、妻の死が浮き彫りにした問題を、国や都などが力を合わせて改善してほしいという点については、現実問題として全員を救うということは無理としても当事者の方々には真剣に取り組んでいただきたいと思ったのでした。
最後に、今回の経験を通じて、この事件についてニュースを見た家内の意見、「妊婦は2つの命なんだから」という言葉がまた別な意味をもって自分には聞こえるようになりました。