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俗に言う「頑張って結果を出した人が報われる社会」は聞こえは良くても、それほど甘くはない…

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誰にいつ聞いたのか?というのはハッキリ思い出せないのですが、小学校とかかなり小さい時期に、

日本人は働きすぎ、そんでもって持ち家といってもほんとに小さい家に住んでいるだけ、海外で成功者であるほど若くして引退し、その後は悠々自適な生活を送っている。

↑こんなような日本と海外比較を聞かされて、その頃は何も不思議さも感じず、そういうもんなのか~~と思ってましたけど、なんかここ10年くらいって欧米社会でも、あんたもう引退してのんびり悠々自適に暮らしてれば?って人がまだ会社を仕切っていたり、それなりのメディアに登場してその後のマーケットを左右しかねないことを情報発信していたりするような気がするのですが、欧米において「老害」って言葉とかその手の批判ってあんまり出ない体質だったりするんですかね?

なんでこの話題からスタートかというと、テクネコ加藤さんの「続:必要なのは雇用なのか」のこちらの引用

「株安による年金の目減りで、ベビーブーム世代は生活費のために、70歳、75歳まで働き続けるだろう。労働市場に高齢者が増え『グレー・シーリング(灰色の天井)』が生まれる。若者は退職しない高齢者を相手に就職競争を勝ち抜かねばならない。」

↑この辺に反応してしまった訳です。

日本でも、会社組織として65歳までの雇用維持の準備は出来ていますか?という相談に乗りますよって広告が電車の中で見かけたりすることありますが、高齢者になる前の段階として、社会人デビューとか結婚、出産、子どもの進学とかいろいろ人生にはありますよね?

どこそこ企業の生涯賃金幾らみたいな試算は時々見かけますけど、日本の国民として生まれて、家庭を持って、その後に子どもを1人か、2人残して大学まで卒業させるというのを、モデルとして必要収入必要金額を算出、

    • 中卒
    • 高卒
    • 専門卒
    • 短大卒
    • 大学卒
    • 院卒

↑このような学歴別生涯賃金との比較計算した場合どんな結果になるのでしょう?

ちなみに日本の学歴間の賃金格差は国際的にみると小さいという統計データもあったりしますけど、

学歴間の賃金格差が国際的にみると小さいというのは、高学歴エリートにとっては憂鬱な事柄であったり、低学歴で頑張っている人にとっては歓迎すべき環境であったりと、受け取る側の環境で大きくそこへの評価は分かれると思いますが、ここ最近の労働市場の流動化、能力主義、成果主義を取り入れては?という事が実現した場合、この格差が広がることを覚悟するべきですよね。

それでは次に実際の生活に必要な金額を算定したデータを覗いてみましょう。こちらに労働総研というところが出した「首都圏居住世帯に保障されるべき最低生計費はいくらか」というレポートがあり、そこにはこんなモデルが示されています。

※費目別にみた最低生計費試算(20歳代単身モデル)

若年単身世帯モデルの「最低生計費」は、月額23万3,801円(税込み)となった。その内訳は、消費支出が17万4,406円、非消費支出(税金・保険料)4万2,395円、予備費1万7,000円である。年額(税込み)にして2,805,612円となる。費目別の算定は以下のとおり(なお、算定に当たっては、小数点以下は四捨五入している)。

※費目別にみた最低生計費試算「30歳代母親と未婚子1人世帯モデル」

月額35万512円(税込み)となった。その内訳は、消費支出が27万2,044円、非消費支出(税金・保険料)5万1,468円、予備費2万7,000円である。年額(税込み)にして4,206,144円となる(小数点以下は四捨五入)。

↑これは人生においての一断面での必要金額ですから、独身者における結婚であったり、子どもの教育コストの変化は当然考慮しなければまずいですけど、昨日のエントリでも取り上げた日本型の雇用制度がもう無理で、労働市場の流動化、能力主義、成果主義にが~~っとシステムが変化した場合、上記のような最低生計費をクリアできる仕事はどんな仕事で、それに就くためにはどんな学歴、資格、能力をもっている必要があるのか?って、結構重要な情報になるのではないでしょうか?

企業はどんどん安い生産拠点を求めて海外に流出、そのおかげでモノは安くなったけれど、肝心の給料を生活できるレベルまで稼げる人間のパイがどんどん狭まっていくかもしれないという環境下において、前述の労働総研が出した別のレポート「首都圏・若年単身労働者世帯の最低生計費試算中間報告の概要」という調査報告の中には、「最低生計費」未満の割合54.0%というデータがしめされていたりします。

テクネコ加藤さんが取り上げていた、株安による年金の目減りを補うためにベビーブーム世代が70歳、75歳まで働き続けるという話は、これまた昨日のネタのキーワードになりますが、あんまり強欲にならないでね…と申し上げるしかないのかなと考えつつ、

わたし自身は高卒(専門学校卒)でそれからほとんどの期間をフリーランスで生きてきていますから、日本の社会システムとして労働市場の流動化、能力主義、成果主義を取り入れる流れが強化されても要求されてきた事の変化はそれほどないのかな…と推測しますが、20年以上フリーランスで生き残るにはそれなりに大変な事もありましたし、60歳~65歳まで働いてその後安心して貯蓄で食いつなげるのか?というと非常に危なっかしいものがあります(苦笑)

それと、これまで仕事で取引のあった会社さんで、独立~起業、それなりにお景気が良いときもあったが、経営不振から会社が倒産、個人保証の返済などが多分重くのしかかっていたと思うのですが、そのような知り合い少なくとも2名が自殺をしたという知らせを受け取った経験があります。

もし現在の日本がグローバル社会で生き残る方法として、正社員の既得権益を弱め、労働市場の流動化、能力主義、成果主義を目指すならば、国内の内需産業にも更なるコストダウンや取引上の効率化を求められるなど、どんどん環境は厳しくなると覚悟するしかなく、俗に言う、「頑張って結果を出した人が報われる社会」は聞こえは良くても、それほど甘くはない…という事と、これを唱えている人間が得する面があるからこそ、この主張を展開しているという見方もしてみるべきと思います。

わたしのような社会的に安定した地位や学歴を持たない人間としては、つべこべ言わずに、そこに対応していくしかないですが、そこに至るまでには、以前から書いているセーフティーネットの準備だけでなく、さまざまな社会システムの整備しなければいけない事は山積みなはずで、そこを準備せずにそちらの方向に舵をとるのは無謀極まりない施策とわたしは考えます。

関連エントリ

参考文献:PHP研究所「格差社会論はウソである」 著者:増田 悦佐


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