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顧客サービスとITのおいしい関係を考える

続:必要なのは雇用なのか

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本日のブログはお休みの予定でしたが、CMパンチの佐々木さんの<禁煙飲み薬「チャンピックス」の効き目が凄すぎる件>を読みつつ、日経新聞で目に留まった記事がありましたので軽く書きます。

佐々木さんのエントリで、以下の引用がありました。

増田悦佐氏は著書の中で以下のような指摘をしています。

> そして、今のアメリカで本当に必要な職業訓練は

> 「昔の高賃金の根拠となっていた熟練した技術・技能を忘れて、そのころ享受していた生活水準も忘れる忘却訓練だ」

> という主張のほうがはるかに説得力がある。

と……(怖)

この中で、「そのころ享受していた生活水準も忘れる忘却訓練だ」に反応してしまいました。

今朝の日経新聞に、米国チャレンジャー社CEO ジョン・チャレンジャー氏のコメントが載っています。チャレンジャー社が毎月発表する米企業の人員解雇数は、米雇用動向の指標になっています。

「米国人にとって、出口の見えない長期不況は初めての経験だ。」

「米国の労働者の賃金は確実に下がる。同じ労働に対する時間給が米国では20ドル、海外で1ドルという不均衡が今後一世紀かけて是正される。労働者は教育を強化するとともに、借金から貯蓄へとライフスタイルを改める必要がある。今までのように大きな家や車、多くの消費財を買うことはできなくなる。」

「株安による年金の目減りで、ベビーブーム世代は生活費のために、70歳、75歳まで働き続けるだろう。労働市場に高齢者が増え『グレー・シーリング(灰色の天井)』が生まれる。若者は退職しない高齢者を相手に就職競争を勝ち抜かねばならない。」

いかがでしょうか。米国を日本に置き換えてそのまま通用しそうです。

私は、1つの企業に長く勤めれば自動的に給料が上がって、定年で退職金をもらって引退できたのは、労働力の中心である男性の人口が戦争で減ったところに、朝鮮戦争をきっかけとする高度成長がたまたま続いたからに過ぎないと考えています。このモデルはたかだか戦後60数年の話です。「百年に一度の(以下省略)」と言うのであれば、まずこのモデルを疑うべきでしょう。

正社員を対象としたワークシェアリングが始まっています。労働時間を短縮すると共に、給与を引き下げる方法がとられています。実質的な年収ダウンです。不況による一時的な措置と言われていますが、本当でしょうか。製造業では完成品の生産台数が部品を作っている企業の売上に直結します。単純に考えれば、自動車や家電がフル生産にならない限り、部品を供給している会社の稼働率は戻りません。年収ダウンは恒常的に続くと考えておくべきではないでしょうか。

今起きていることは、危機ではなく変化です。ただ待っていても、元には戻りません。変化に対応するために、まずは、過去の成功体験の忘却訓練から始めることを提案します。

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