米タイム社が好みに応じて雑誌を特別編集する試験サービス「mine」を開始
わたしが印刷業界関係者向けに講演機会多いというのはこちらのブログでも数回書かせていただいていますが、ちなみにここ1~2年ほどは講演機会があるとしつこく以下のような事を私は言ってきました。
(出版・印刷業界における)デジタル時代の常識・非常識
- 実は読まれ方を知らなかった
- クリエイティブは無駄?
- 品切れしていたこれまではユーザ軽視だったのか?
- 読者が書き手に
- 海外との連携
- 記事を情報として販売
- 1冊という概念の消滅
- デジタルに品切れは無い
- 配信した内容は保存される
1冊という概念の消滅について話を聞いてくれた方々はそれなりに理解しやすい事柄のようでして、先日カスタマイズ可能な新聞について小林さんが取り上げていらっしゃいましたが、今回のわたしのエントリでは雑誌のカスタマイズサービスがタイム社から提供されるというニュースを紹介します。
カスタマイズできる新聞について印刷関係者にとっては限定的なイメージ(新聞の印刷に関わるという観点において)だったと思うのですが、これが雑誌に波及するとなると今回のニュースの持つインパクトは業界的な受け止め方が先日の新聞の際とは違うのかな…と思っています。
米出版大手のタイム社は雑誌「タイム」や「スポーツ・イラストレーテッド」など8合計8冊の雑誌から好きな雑誌5冊を選んで、読者一人一人の好みに応じて雑誌を特別編集するという試験サービス「mine」を開始し、その受付を開始した。
10週間は購読料金は無料とした上で、最初の3万1000名までの購読登録者の元へは、実際にカスタマイズされた専用の雑誌が、また、別に20万名までの購読登録者の元ではメールにて、オンライン版の雑誌が届けられる予定。
今回の特徴として現段階では予測ですがバリアブル印刷を用いた紙媒体提供を行いつつも、記事にあるようにメールだけなのか、校了データを利用したweb用に出力したhtmlなどの形式(CMSに投入されたコンテンツのほうが可能性は高いかな…)なのか、電子書籍形式なのかは判然としませんが、
紙とオンライン版両方の提供になるというのがまず目を引きます。そして、
今回のタイム社の試み、読者の登録属性に合わせて広告を掲載することなども可能とするものとなり、出版業界では次世代出版の方法として注目を集めている。
バリアブル印刷なので当然のアプローチとなりますが、読者に合わせた記事だけでなく、広告についても読者属性にマッチしたものが掲載されることになるでしょうね。
この流れが今後もし拡大すると、雑誌編集や出版関係と印刷会社においては、オンライン入稿やバリアブル印刷など運営面においてのシステム知識のほか、CRM方面のシステムエンジニアリングの知識などを持っている人材が重用されていくでしょう。
ただ読者が欲しいのは同じ出版社だけとは限らないので、将来的には読者がこんな感じで配信されている雑誌記事を、自由にチョイスし、紙で欲しいひとはオンデマンドプリントで注文、そのデータはweb版としても電子カタログ形式のような感じでストックしていける…なんて事も可能になってくれると読者としてはもっと嬉しいのではないでしょうか?
はてさて、オンラインで雑誌ミックスサービスを立ち上げる印刷会社が早いか、出版社が連合してサービス構築するのが早いか、はたまたアマゾンが雑誌単体販売と連動してサービス提供するのか、Fujisan.co.jpなど電子書籍関連に注力している会社はどう動くのか、、、いろいろ気になることが多くなりそうです(苦笑)
さきほどエンジニアリングの知識という書き方をわたしはしたのですが、最後にオンラインメディアにはアーキテクトが必要という非常に参考になるエントリを見つけたのでご紹介しておきます。