日本と海外で異なるIT資産管理に対する意識
先日アメリカのシカゴで開催されたIBSMA主催のSAM Summitに参加してきました。SAM Summitという言葉を初めて聞く方も多いかと思いますが、SAM Summitはソフトウェア資産管理・IT資産管理に関するセッションと展示会を併せたカンファレンスになります。SAM Summitの参加者は主にアメリカの企業のソフトウェア資産管理担当者や、ソフトウェア資産管理関連サービスの提供者で、参加する日本人は私だけでした。また、主催者発表では3日間の開催を通じて170名ほどの参加者があったそうです。
SAM Summitで開催されたセッションを通じ最も強く感じたことは、日本と海外におけるIT資産管理に関する意識の違いです。
私見ではありますが、日本におけるIT資産管理の多くは「やらなければならないもの」という意識の下に行われております。「やらなければならない」というのは「セキュリティの不備に起因する事件・事故を防ぐ為」「ソフトウェアベンダーのライセンス監査が来た際に対応できるようにする為」など、外部から引き起こされる負の要因を防ぐ為に行わなければならないので、やっているというものです。IT資産管理を通じた「セキュリティ対応」「ライセンス監査対応」は組織として必要なことなので、無駄なことをやっているわけではありませんが、マネジメント層からは「出来て当たり前」「対応するシステムやソフトウェアを入れれば対応できるんじゃないの」のような感覚で見られてしまうのが現状であります。
それに対して海外の管理担当者や専門家の話を聞くと、「IT資産管理を通じて組織に貢献する為に行っている」という回答をされます。それは、「IT資産管理を通じてXX万ドルのコストの削減を実現した」「IT資産管理を通じてIT環境を最適化し本業成長に貢献した」など、IT資産管理を通じてどのように組織に貢献するかということを第一に考え、管理が行われていました。
その反面、管理の内容や使用するシステムについては日本と海外で大きな差は見られませんでした。
同じ業務を行うにしても、何の為に行っているかという考え方の違いにより実行する人のモチベーションや成果物に差が生じます。やっていることは日本と海外で大きな差もないことですから、早く日本でも「やらなければならない管理」から「組織に積極的に貢献する管理」にシフトできるよう微力ながら貢献してゆきたいと改めて感じました。