技術革新と価格競争とデフレに関する私的考察。
過去、書かせてもらったエントリーをご覧いただいた方なら既にご存知かもしれませんが、自分は相当雑誌が好きです。で、自分がお金を費やした書籍はほとんどが雑誌、と言ってもいいです。過去を含めて。
で、昔から、雑誌をスクラップすることに生き甲斐を感じてたりしたのですが、自分の高校時代なんかでは、当然スキャナーなんて存在もなく、そもそもコピー機すら、B4一枚、モノクロで下手すると1枚100円ぐらいする世界だったりしました。雑誌のページを切り抜くとします。切り抜いたページはやはり整理をしたい、訳なんですが、確か当時のレートで、B5版が収まる10枚のクリアファイルが、コクヨの製品で、ルーズリーフタイプで300円ぐらいした、と思います。A4になると当然もっと高くて。
で、その当時で身近で一番安かったのは、それは偶然見つけたのですが、大阪駅前第三ビルの地下1階にある、確かカバン屋の店頭に置いてあったワゴンの中に、A4のクリアファイル、14枚ポケットで、1つ250円、5つ買えば、1,000円にしてくれる、っていうのを大学二年生ぐらいの時に見つけまして、それはもう、コクヨやキングジムのA4のクリアファイルが20枚ポケットではあったものの600円とか700円とかしていたのに比べれば格段に安くて、(今も変わりませんが)なけなしの持ち合わせで購入して、雑誌の整理にあてたりしていました。
話は変わって。
自分は同級生等に比べると、お酒を飲み始めるのが相当遅かったように思います。もちろん法律違反なのですが、高校の文化祭の打ち上げ等で周りで飲んでる奴が居たとして、自分も一口、口に付けてみるものの、「こんなものの何が旨いんですか?」と、ほぼ、戻すぐらいの勢いで止め、普通のジュースやお茶を飲んでいました。お酒の味がわかる、・・・というか、まずく感じない、自分にとっておいしく感じるようになったのは、相当後です。今では信じられないことですが(苦笑)
その後、合法的に飲めるようになっても、例えば知人と合コンをやる、と言っても(そんな時代もあったね、と・・・(苦笑))、バンドの打ち上げをやる、と言っても、今、自分が飲み会に行った時に飲む量と比べると相当少なかったように思います。それは、昔、ただ苦手だった、という訳じゃなくて、大抵の飲み会が、個人負担=飲み放題では無いからだった、と思います。セコいんです。自分。飲めば飲むだけ自分の負担が加算するのであれば、そもそも飲むことを止めておきましょう、と。まぁ、それで済むぐらい、自分は当時、飲むことがそれほど好きでは無かった、ということもあるのですが。なんにせよ、今のように、飲み会=飲み放題がセッティングできる、というような環境では無かったような覚えがあります。
自分の趣味としてシンセサイザーを弾く、というのがあります。自分が一番最初に触れたシンセサイザーは、小学校五年生の時、当時、大阪の大阪駅前第二ビルの二階にあった、ローランドのショールームで触ったJUNO-60でした。鍵盤楽器と言えば、ピアニカかピアノか足踏み式オルガンかエレクトーンしか無かった自分には、その「シャラシャラ」した音だけで十分新鮮でした。その後、習っていたピアノを止め、どっぷりとシンセサイザーに興味を持ち始めた自分は、雑誌の広告やカタログを見て、自分の理想のキーボードセッティングを妄想する高校生、となりました。
手に入れたもの、既に手放したもの、未だに手に入っていないもの、色々ありますが、自分が候補に挙げたシンセサイザーは次のようなものです。
YAMAHA DX-7、DX-7II、Roland JUNO-60、JUNO-106、JX-8P、JX-10、D-50、JD-800、KORG Poly-6、M1、WAVESTATION、01W/FD・・・。ほぼいずれも実売20数万円前後から30万円弱で手に入るものです。
それから約10数年経ちましたが、各シンセサイザーメーカーのほぼフラッグシップと言える商品は、未だに実売20数万円前後から30万円弱で手に入るものが多いです。それこそ、性能比で言えば、約20年前に、数千万円していたシンセサイザーよりも格段に性能が上がっているものだとしても・・・。
シンセサイザーのことだけ、先に書き過ぎてしまいました。
A4のクリアファイル、今では100円ショップで(一時期は原油高騰に付き品薄な時期がありましたが)、40~48ポケットで、1冊100円で手に入ります。コピーは白黒なら10円が当たり前ですね。所によっては、5円なんていうのもありますね。
居酒屋の宴会で飲み放題は当たり前。料理のセットに付けずとも、お酒だけの単品飲み放題、というプランも横行していて、曜日等は問うものの、2時間(正確には注文可能時間は1時間半だったりしますが)プランによっては、800円というのもあったりします。
そもそも、外で飲む、ということよりも前に、ただ酔えればいい、という場合は、プライベートブランドの酎ハイや発泡酒で、350mlにて90円前後のものがざらにあります。
前述で書きましたが、シンセサイザーで言えば、格段の技術進化はあるにも関わらず、それが価格への転嫁がされず、昔と変わらぬ価格を維持しています。
もっと言えば、食料品のようなものを除けば、中古市場がかなり確立されています。昨日も行きつけの中古リサイクルショップに行っていたのですが、相当な客の入りでした。そして、そこには、「最新で無くても、自分が良いと思えば良い」と判断する人の群れがたくさんありました。その中の一人、として、うちの妻も洋服を買いました。
さんざんっぱら、自分も、価格の享受を得て、生活の潤いの一つにさせていただいている身ではありながら、正直疑問に思っていることがあります。
・何故、これがこの値段で良いのか?
・人の努力、企業の努力、と言えば、それはそうかもしれないが、本来、あるべき価格を大幅に下回るべき必要が本当にあるのだろうか?
・その努力の背景に、結局、自分達の身を削る、という苦しみが無いだろうか?
・自分達の身を削る=自分達が苦しくなる、よって、他に回すお金が少なくなる
・それが堂々巡り、として、それぞれの業種において、同様のことが起き、デフレにつながる
ということを。
テレビを見ていると、小学生の好きな食べ物のランキングで、上位に「お寿司」がよく上がります。
自分の子供の時で言えば、「お寿司」は、お寿司屋さんでしか食べられない、ハレの食べ物で、イコール、きっと(自分が支払いしたことは無いものの)それなりに値が張る物だったに違いありません。
今ではどうでしょう。
閉店間近のスーパーに行けば、(うちの近所調べですが)10巻程度が300円程度で買えることもあります。そもそも回転寿司のセールで、2巻一皿80円程度で販売されていることも多いです。
前述に書きましたが、自分は、このデフレ価格の享受を存分に受けて、また楽しんでいる方だと思います。
でも、一方で、本来、それがあるべき価値を、必要以上に貶められた結果、現状のデフレが起きえているようにも思います。
解決策は・・・あり得る、としたらカルテルだけでしょう。でも、それはやってはいけないことであり・・・。
という意味では、政府に言われるまでもなく、デフレが進行し、デフレ自身を自分達は受け入れながら、イコールデフレが対岸の火事ではなく、遠因的にも身に降りかかってきている、イコール自分達はどう生活を守るか、を考えなくてはいけないのでは無いか?と思っています。