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読めばベタに分かる、タイトルどおりのブログ

某雑誌編集長様。僭越ながら、それは違うと思います。

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一介の平社員の自分が、某有名雑誌の編集長のお言葉に異論を挟むのもどうか、と思ったが、やはり何度読んでもしっくり来ないので自分の異論と、もし同意・非同意のご意見がありましたらコメントをいただきたい、と思い、書いてみることにする。

最初は雑誌名も出そうか、と思ったが、ITmediaの雑誌では無いので止めておく。別にITmediaから頼まれて書いている訳では無いが、それで誤解されるのも嫌なので。

先般配信された公式メールマガジンにて書いてあったことである。公式サイトには今のところ記述が見当たらない。どうやら個人のサイトらしきところに転載されているのもあるようだが、あえてリンクせず、公式メールマガジンからの一部引用、としたい。

当該雑誌は、ITビジネスの営業・SE等を対象にしており、編集長のお言葉もそういった方への投げ掛けとして書かれていたものである。

全文の引用は避けたいので、かいつまんで言うと、営業活動をするのにシステム部門にシステムの話をしてもダメで、相手の課題を見つけるためにも、それを引っ張りだすような質問をしていくべきだ、ということらしい。

で、その例として書かれていた文章(以下、引用)。

 例えばこういう質問はどうでしょう。「新聞で拝見したのですが、御社には最近、
営業部門を中心に大きな機構改革がありましたね。狙いは何でしょうか
」。情報
システム部門にとって、営業は全く別の部門。気楽に話題にしやすいうえ、営業には
普段から一言いいたいことがあるかもしれません
。そこで「あれは現場の最前線の営業
力強化が狙いだね。アカウント制を敷くらしい。社長の肝いりとか聞いている」などと
いう話が出たらしめたもの。会社が何を問題視して何を変えようとしているのか、
そして自分たちが次にどんなステップを踏めばいいのかも分かるはず。また「いや、
(情報システム部門の)うちらは、何にも知らないよ
」とされたなら、その企業の
経営と情報システム部門の距離」が判明します。このようなシステム部門に社
内の意見を取りまとめることなど期待できないので、商談時には将来のコスト増を織
り込んでおく必要があるでしょう。これも利益に直結する貴重な情報です。


自分はここまで読んだ段階で「ハテ、ソウダロウカ?」と思ってしまった。

この文章、画一的には判断できない。
まず、ここに描かれている営業社員像は、既に多く取引を行っている人なのか、
取引はあるもののそれ程の回数は行っていない人なのか、
営業活動により顔見知りにはなっているがまだ取引は行えていない人なのか、全くの一見なのか。

自分はITの営業側には立ったことが無い。あくまで営業される側の立場にしかないが、確かに、全くそのとおりのケースだって存在するだろうとは思う。

でも、経営と情報システム部門の距離が近い程、より情報システム部門は機密を取り扱うことになるので、より鮮明にその狙いはわかっており、当然新聞ネタで何かが発表されたことがあったとしても、その狙いを社内の人間にすら話せないのに、ましてや外部の人に伝えることはしないのではないか?事実、うちの会社でいくつかの施策が世に発表される数年前から、ましてやその施策において直接関連するのは営業部門だったのだが、営業部門のごく一部の人しか知らない中でも情報システム部門の人間は動いていたのを自分は知っている。本当の狙いなど容易に口に出せるものではないはずだ。

但し、そこも前述したとおり、その営業と情報システム部門の関係性によるだろう。既に十分な取引がなされており、言わばその企業のシステムの内容を熟知しており、随意契約で次の仕事も取れるような状況なら教えてくれるかもしれないが、逆にそんな関係なら質問などしなくても仕事の話が来るだろう。

「じゃあ、どうしたら仕事を取り易くなるんだ?」は営業部門側でインフラやベンダー選定を行う立場には無い自分には解は無い。ただ少なく共、(自分がその方々の所属する会社を選定した訳では無いが)お付き合いをさせていただいて、もしくは声を掛けさせていただいて、次の取引も行いたい、と思うのは、具体的な狙いなど話さずともちょっとした会話の中から「よくそんなことを言ったことを覚えてましたね」というキーワードを糸口に具体的な提案を起こし、かつ、その提案が単に”売らんかな”的なものではなく、ともすればその会社にとって一番の利幅を取れるものでは無かったとしてもその提案の理由がこうだ、というのをきちんと説明できるような会社、スタッフの方だったなぁ、と感じている。

(ITに限らずどんなものを取り扱う営業でも)価格勝負では無い営業をするための近道は、やはり、相手にとって頼りになる、と思わせることができるかどうか、なのでは無いか、と個人的には思っている。

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