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本人確認の仕方

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コールセンター業務や、窓口業務等で、本人を確認する場合に何をどこまで尋ねたら本人が確認できたとみなせるか?という話をすることがある。

もちろん、顔写真付の身分証明書等があり、それを目視し、ご本人の顔と照らし合わせつつ内容確認、とすれば誤りは無いのだろうけど、余程センシティブなものを取り扱うような現場ならともかく、通常のビジネスシチュエーションでそこまでの確認を行うことは難しい。コールセンター業務の場合は(消費者金融等の無人契約機のようなシステムを除けば)相手の姿を確認することも難しい。

だから、大抵の場合は、
・氏名
・住所(一部のみを含む)
・生年月日
・電話番号
等いくつかの情報項目をお伺いすることで本人確認をしていることが事実として多いし、実際自社以外でもそういう形で本人確認をされているケースが多いのではないか、と思う。

あくまで確率論の話であるが、氏名と生年月日が一致するだけでもかなりのレアケース(月日ではない、年月日である)であり、その二つのみで事実上確認を行っている、というのも多かったりするのではないか、と推測するのだがいかがだろうか?

先般、読売新聞サイトに掲載された記事はある意味衝撃的だった。

同姓同名でうっかり、横浜市旭区が別人の財産差し押さえ

(以下、一部抜粋)

 区税務課によると、区民の男性は2001年7月~05年6月分の市県民税を滞
納していた。区の担当者は、延滞金を含め38万円を徴収するため05年6月に財
産調査を行い、生命保険会社に照会して、同姓同名で生年月日も同じ男性

保険契約があると回答を受けた。

(2007年9月28日22時51分 読売新聞)

この場合は、同じ男性とはいえ、差し押さえされてしまった別人は県外に住む人だったという。
差し押さえ後も滞納が続いたことからあらためて住民票等を取得して別人であることが発覚した
というが、この区の担当者にしても、「同姓同名で生年月日が同じだったら同一人物だろう」
という思い込みがあったのではないか?と勝手に思う。

正直あまりこういう話に自分はお目にかかったことが無かった(もしくは気付かなかった)が、その他のケースが無いか改めて捜してみた。

すると、同じ読売新聞サイトでこのようなものがあった。

土岐の郵便局 同姓同名の別人に誤送

(以下、一部抜粋)

 本来の名義人は名古屋市港区の男子高校1年生(15)。以前、一緒に住んで
いた土岐市の祖父母が男子高校生名義で10万円の定額貯金をし、昨年11月
に10年の満期を迎えた。
 高校生の父親が5月中旬、自宅近くの郵便局で解約しようとしたが、すでに解約
されていたため、郵便局に調査を依頼した。その結果、満期通知は土岐市内の祖
父母方の近くに住んでいた同姓同名の男性(27)に送付されていたことが分かった。
 通知を受け取った男性は、土岐市の特定局とは別の郵便局を訪れ、運転免許
証で本人確認後、10万円の払い戻しを受けていた。同支社から配達ミスと通知さ
れた男性は、解約金を返した。
 同支社は「住所の番地が違っていたが、そこまでチェックしていなかった

(2007年6月9日 読売新聞)

今度は(というか正確にはこちらの方が以前のニュースだが)、住所が近いケース。
自分が自動車営業をしていた際でも、実家から程近い所に新たに居を構えて住まれるようになったお客様は結構居た。「ああ、近所に同じ名前の人が居るから、きっと独立したんだよ」ぐらいの感覚で配達されたのでは無いか?と自分は勝手に思う。

お客様にお手間をかける、面倒に思われる、という点から、極力本人確認項目は少ない方が良い、と言われるが、それによりかえってお客様に大きなご迷惑をおかけするようなことがあったら本末転倒である。また、業務ルールとして定めてはいた、としても、確率をつい思い浮かべ「まぁ、まさかそんなことは無いだろう」ぐらいの現場判断をしてしまいがちになることもあるのではないか?とつい危惧する。

所詮確率は確率。事実は小説よりも奇なのだ。本人確認を行うような業務設計をする際にはあらためて注意を払っておきたい、と思う。

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