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浙江省の旅 その4(超級富豪編)

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前回の最後で私は「ドットコム企業の経営者に浙江省出身者が多い」という書き方をした。これは自分でも調べてみて驚いた事実である。まずは、以下の5名の名前を見てもらいたい。

1.丁磊  網易(ネットイーズ)     80億元=1300億円程度
2.陳天橋 盛大(シェンダー)      60億元=1000億円程度
5.江南春 分衆伝媒(フォーカスメディア)41億元=650億円程度
7.馬雲  阿里巴巴(アリババ)     40億元=650億円程度
9.馬化騰 騰迅(QQ・テンセント)    40億元=650億円程度

以上の5名は、2006年中国IT富豪上位10名の中から選んだ5名である。左端から富豪の資産の順位、名前、起業した会社名、個人資産の額となっている。富豪10名の中から私が上記5名を選んだ理由はお分かりだろうか?答えは実に単純でである。浙江省出身の起業家のみを抜き出したのである。この事実は実に驚きではないだろうか?普通は、IT企業、ネット企業の経営者といえば、北京出身、上海出身というイメージがあると思う。しかし実際には上位10名のうち、その半分にあたる5名が浙江省出身なのである。これは偶然なのであろうか?それとも、やはり浙江省出身ということが大きな理由の一つなのであろうか?

その真偽は、日本に住んで上記5名の経営者の誰とも会ったことがない自分には如何せんわかりかねるのだが、個人的にはやはり浙江省出身というのが、起業家として大成功をおさめた大きな理由の一つであると思う。現在、中国の大学生は卒業後に米国へ留学したい大学生が大量にいる。彼らの中で留学後帰国した学生は、海帰(=海亀)と呼ばれるのはご承知のとおりだと思うが、上記5名の中には海帰は1人もいないのである。日本でいうところの、米国でMBAを取って帰国後に起業、という路線とはまさに対極に位置する、実は浙江省に土着した経営者なのではないだろうか?

と思ったので上記5名の経歴をネットで調べてみた。確かに5名とも中国国内の大学を卒業している。中には文系出身の経営者もいる。ただ、阿里巴巴の馬雲を除くと、大学も浙江省ではないし、卒業後は浙江省には勤務していない。彼らが中学、高校といった青春時代に、その浙江省の起業家精神をどこまで学び取ったのかを知る術はない。

話がそれるが、中国の高校生は公式には恋愛が禁止されている。高校生は勉強だけしておけ、という最もな理屈らしい。そのため、高校生のときに付き合っている相手がいた、という人は、自分の交友範囲内の中国人では非常に少ない。となると、高校のときに、勉強だの将来の金儲けの方法などを考える学生は意外に多いのではないだろうか?

以下、続く!

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