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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

なぜ偉い人のいうことは「ありきたり」なのか?

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社長や役員のいうことってありきたりに聞こえませんか?

講演などでも、世間で偉いと言われている人の言うことほどありきたりに聞こえます。

ぼくなんかでも、若い頃は松下幸之助さんなど偉い人の著書や講演録を見て、なんでこんなありきたりなことが誉めそやされているのかまったく分かりませんでした。

正直、若い頃に実績をあげて功成り遂げれば、年をとってからありきたりなことを言っても、周囲がフォローしてくれるようになるのだ、ぐらいに思っていました。

●ありきたりと抽象的は違う

抽象的なことを言う「偉い人」は、たしかにバカだと思っても構わないと思います。

人事は適材適所でとか、自分の頭で考えようなどと言われても困ります。具体的に何から手をつけていいか、さっぱり分かりません。

ありきたりと言うのは、抽象的とは違います

たとえば、

  やると決めたことは、あきらめずに続ける

というようなことは、抽象的ではありません。

個別の適用はもちろん必要ですが、やることははっきりしています。

ただ、正直誰にでも言えることだと思ってしまうんですね。

●成功者による本を検証

たとえば、手元に楽天の三木谷浩史さんの書いた『成功の法則92ヶ条』という本があります。

いくつかタイトルをピックアップしてみましょう。

  • あらゆる情報に敏感であれ。
  • 付加価値のないサービスには意味がない。
  • 他人の立場になって考える。
  • リスクの『種類』と『大きさ』を見極める。
  • 社内での信頼を勝ち取れ。

その辺の酔っ払いでも同じことを言えそうです。

見出しレベルなので、やや抽象的ですが、実は内容も「ありきたり」です。

目からウロコというようなものは、ほとんどありません。

もう一人見てみましょう。

さらに大物です。京セラの稲盛和夫さん。

成功への情熱―PASSION―』という本です。

また見出しを5つほど。

  • 年長者から学ぶ
  • 自分に打ち克つ
  • 読書で視野を広める
  • 安易な道を避ける
  • 公明正大に利益を追求する

あなたがダメだと思っている上司でも言いそうですね。

しかし、ぼくは、これらの本が大好きです。

なぜでしょうか?

●ありきたりと思うことほど難しい

こんなことで成功するなら誰でもできるだろうと短絡しますよね?

誰にでも言えることなら、誰にでもできるだろうと考えてしまいがち。

しかし、実際は「ありきたりだ」と思うことこそ難しい

たとえば、あきらめずに続ける。これ自体に才能は必要ありません

しかし、実際にできる人は実に少ない

目標にもよるのではないか?

その意見は正しいと思います。

ぼく自身は、そもそもフルマラソンで3時間を切るなんて目標は立てません。みなさんも同様でしょう。

それは、それでいいと思います。

ただ企画を通すというような話はどうでしょうか?

福島正伸先生のお話では、100回出し直して通らなかった企画はないそうです。今までの最高記録は70数回。

ということは、ほとんどの人が70回も企画を出しなおせば通るということです。しかし、そこまでやる人は少ない。根性があると自負している人でも3回ぐらいではないでしょうか?

そして、何をや言わんか、会社はオレの意見を採用してくれない、などとのたまうわけです。

67回早いって(笑)。

●成功するにはありきたりなことを続ける以外にない

まあ、若いうちはそれでいいんだと思います。

そうやって文句を言いながら、でも周囲にたしなめられたりして、だんだん覚えていく。

しかし、40歳を過ぎても、「そんなありきたりなことは知っている、もっと本当のコツを教えろ」などと言っている人は、早く変わらないと不幸な晩年しかこないと断言できます。

世の中のありとあらゆる本物の成功者が、揃いも揃って「ありきたり」なことを言っているのです。そこに真実がなければどこにあるのでしょうか?

それとも、世界には成功者しか入れない300人委員会というものがあって、本当の成功法則を教えると組織から消されるとでも思っているのか・・・。

いい年して気付け、という感じです(と偉そうに言うぼく自身、つい最近気付いたので、結構切実に叫んでいるつもりです)。

ぼくが、前掲の二冊の本が好きな理由は、ここにあります。成功者が何を選択してきたのかが分かるからです。

要するに、成功するには、ありきたりなことを続けるしかないということなのです。

ちょっとしたコツは確かにあるとしても、そのコツはありきたりなことを続けてきた人にしか微笑まなかったりもします。

では、ありきたりなことを続けるとなぜ成功するのか?

それは、ありきたりなことを続けられる人が、世の中にほとんどいないからです。

続けることはおろか、着手する人が半分もいないというのが現実です。継続できる人は5%以下

世の中の成功者の数とほぼ一致しています。

まあ、成功の定義はご自分で考えてください。ただ、どのように定義しても、その定義で成功している人は5%ぐらいではないでしょうか?

●続けるためには

で、結局自分軸に戻っていきます。

ありきたりなことを続けるには、自分軸が必要だとやっぱりぼくは思うのです。

ありきたりなことを続けるためには、下記の質問が有効です。

  • あなたは「誰に」一番喜んでもらいたいのか?
  • あなたは「何を」して喜んでもらいたいのか?
  • あなたは「なぜ」これらの人にこのようなことをして喜んでもらいたいのか?

以上三つが明確であれば、ありきたりなことが続けられるはずです。

ん?「自分軸もありきたりだなあ」って?

ありがとうございます。最高の誉め言葉です。

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