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DX見聞録 -その8 「人を育てる、チームの作り方を学ぶ」には何をすればよいか?

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 デジタルトランスフォーメーション(DX)の実態について既知の話からあまり知られていないコトまで。このコーナーで連載をしています。

 これまでこのブログでは、既に世の中で実施されているデジタル変革に関連した取り組みやリサーチ結果(攻めのIT銘柄、IT人材白書、DXレポート)について紹介してきましたが、具体的にDXをどのように進めていけばよいのか?を5つのポイントとして紹介していきたいと思います。本内容は、今春開催された富士通フォーラムにて大変好評だった内容をシリーズ化してご紹介するものです。

 DXのステージを乗り越えてデジタル変革を企業や組織、そして個人で実践していくにはどのようなスタンスで取り組めば良いでしょうか?今回は4番目のポイントとして「人を育てる、チームの作り方を学ぶ」ことについて考えてみたいと思います。

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(図1.デジタルビジネス実践の5つのポイント)

グループとチームの違いは?

 グループとチームの違いを考えてことはありますか?どちらも似たような組織に関する概念ですが、DXやイノベーションを考える上で違いを理解しておくことはとても重要だと考えています。

 グループは、タイプの同じ人材が並んでいます。同じような育ちで思考や発想が近いしい人材の集団であることがわかります。このような組織は、上位下達で仕事を進めるやり方、そう立て板に水を流すようなウォーターフォール型のビジネスが向いています。

 一方、チームは、タイプの異なる人材が並んでいます。男性だけでなく女性もいますし、デザイナーやデイベロッパータイプの人材もおり、非常に多様性のあるまさに"チーム"です。

 これはあるコンサルタントの方の意見なのですが、従来システムからDXへの変革を考える上でとても重要な視点だと感じています。どちらかが正しいというのではなく、従来システムの開発(SoR、モード1)には、グループが適しており、イノベーションに関わる新たなシステムやサービスの開発(SoE、モード2)には、チームが適しているように使い分けていかなければなりません。

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(図2.グループとチームの違いは?)

七人の侍

 チームの概念を紹介する上でいつも紹介しているのがこの写真です。東京・世田谷の東宝スタジオにはあのゴジラに加えてこの「七人の侍」の壁画があります。この「七人の侍」は、日本を代表する映画監督の黒沢明監督の代表作なのですが、スターウォーズのジェダイの騎士のモチーフになったことを知る人は意外と少ないと思います。

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(図3.七人の侍)

そしてこの「七人の侍」を組織論の観点で興味深い分析をしている研究者が神戸います。神戸女学院大学の名誉教授の内田樹先生は、この7人を高機能集団として組織論の観点から分析しています(「七人の侍」の組織論)。

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(図4.七人の侍の組織論 高機能集団)

共創のための手法ハッカソン

 「ハッカソン」という言葉を初めて聞いたのは、今から五年ほど前になります。若手のエンジニアから教えてもらったのですが、なるほどそんなやり方があるのか!といった印象を持ちました。

 "これはハッキングのマラソンなの?"

という私の問いかけに対して、

"柴崎さん、違いますよ。「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」を組み合わせて作られた造語でソフトウェア技術者などが短期間でソフトウェアやサービスを開発するというイベントとして世界中で開催されていますよ。私も会社名を隠して私も参加しているのですが、とても刺激的ですよ"

と言われ、

"富士通でも開催したら参加してくれる?"

という問いかけに対して、

"もちろんですよ!でも、保守的なわが社では難しいでしょうね(笑)。"

と一蹴されました。

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(図5.共創のための手法ハッカソン)

ハッカソン戦士ぞくぞく実践投入中

 この若手のエンジニアの言葉に発奮した私は、社内のSEの役員を説得して「ハッカソン」をスタートさせました。いまではハッカソンはごく普通にイノベーションを起こすための手法として根付いたと感じています。社内から始めてオープンに社外の方々を交えた取り組みは、現在では我々のハッカソンの代名詞ともいえる「FUJIHACK」はもちろん、東北復興支援をテーマにしたハッカソンやお客様とのハッカソン、そしてデジタルネイティブ世代である大学生とのハッカソンにまで拡大しています。

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(図6.ハッカソン戦士ぞくぞく実践投入中)

ハッカソンの効果

 この「ハッカソン」の効果はどのようなところにあるのでしょうか?日経BPさんのクロステックでの連載「受託型SEを"共創人材"へ、ハッカソンを推進する富士通」で以下のような整理をしています。

 まず当初想定していた効果は、人材育成やビジネスチャンスの拡大、技術やサービスの用途開発といった、言ってみれば会社にとっての効果でした。

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(図7.ハッカソンの効果)

 しかし、実際に実施して強く感じたのは参加したメンバーが強く動機づけられることや客観的な評価、そしてチームビルディングの極意を学べるといった個人としての効果の方が大きいということです。単にビジネス面ではなく、人材育成や従業員満足度などの観点でこの手法が有効であることを気づいた瞬間でした。

(つづく)

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