SXSW2017観戦記ーその1 未来を占う世界最大規模のフェス
アメリカ合衆国テキサス州の州都であるオースティンの街全体がフェスティバル会場となるSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)をご存知でしょうか?
1987年に音楽祭からスタートして1994年にはインターネットやデジタルを取り入れ、ITの未来を占うショーケースともいわれています。そのIT業界における影響力はファッション業界で言えばパリコレに相当する存在といっても過言ではないともいわれています。
SXSWはもともと音楽が主体で、あのピアノ弾き語りジャズ歌手のノラ・ジョーンズがメジャーになったのもここがきっかけだというのは有名な話です。94年には「Music」に加えて、「Film」と「Interactive」を加えて現在のスタイルになったといわれています。
《街全体がイベント会場となるSXSWの中心はオースティン・コンベンションセンター》
テクノロジーの"いま"と"未来"を紹介(SXSW CONFERENCE)
今年もっとも注目を集めていたのは、人工知能の世界的権威でGoogleでAI開発の総指揮を取るレイ・カーツワイルの「シンギュラリティーは、着実に近づいている」というカンファレンス。
《娘のエイミー・カーツワイルと親子の対談形式でカンファレンスは進められた》
対談では、絵本作家でもある娘のエイミー・カーツワイルさんからの問いかけとしてアーティストが産み出した世界の絵やアニメーションは、AIで解読できるのか?という議論にもなったようです。
《素敵なイラストでシンギュラリティーの世界を紹介(写真提供:hisumy》
あのtwitterがメジャーになったイベント(SXSW INTERACTIVE)
ソーシャルメディアの転機となった2008年、SXSWの数ヶ月前に始まったばかりの無名のサービスであったtwitterがSXSW Interactive Award大賞を受賞して世界にデビューしました。
あるコンサルタントの方が、Gartnerのハイプ・サイクル(テクノロジーとアプリケーションの成熟度と採用率をグラフィカルに表示)における黎明期から過度の期待期におけるテーマに関する出展が多いイベントだと言われていました。なるほど、CESなど他のイベントはどちらかと言うと啓蒙普及期の技術やサービスが多いような気もします。
最近では、当社をはじめ日本の大企業の参加も拡大していますが、今年参加したPanasonicでは、アプライアンス事業部でまだ商品化前のアイデアレベルの商品やサービスをテストマーケティング的に出展していたことが印象的でした。
《IBMだけでなく今年は、SONYやPanasonicも単独施設で開催》
《身体能力の増強(Augmentation)やVR、ロボティクスが花盛り》
一昨年は、あのPafumeが脚光を浴びる(SXSW MUSIC)
人気テクノポップユニット・Perfumeがライゾマティクス・真鍋大度氏と一緒に2015年に行われたPerfumeのパフォーマンスは、印象に残るものでした。当日の様子はライブ配信もされ、世界中の人々が現実とバーチャルの世界の融合したパフォーマンスに驚嘆したものです。
実は、このパフォーマンスは、当時日本から"観戦"していましたが、デジタルとアートの融合をまさに予感させるものでした。ライゾマティクス・真鍋大度氏によるとPerfume自身がスクリーンを動かし、スクリーンの上にはセンサーがついていて上からカメラでスクリーンの位置を観測しつつ、スクリーンの動きに合わせて映像を投射していた模様。カメラワークにはAR技術を使い、マーカーがついた対象物に映像がついてくる仕掛けだったらしい。
《音楽の町。空港にはギターのオブジェも。展示会場には音楽関係の出展も多い》
世界各国から参戦
世界各地から参加をしており、ヨーロッパからもドイツやフランスに加えてEUが欧州連合としてイベントを開催していた。
《EU@SXSWと題してスペシャルなイベントも実施》
数年前には、「SXSWって何?」という感じであった我が国も日本ブースを構えるまでに成長。同じアジアからは大韓民国もブースを構えていた。
《日本や韓国に加えて各国のブースがつづく》
さまざまな企業がスポンサード
有名どころでは、自動車のマツダやマクドナルドにバドワイザーがスポンサードしていた。マツダは試乗体験を提供し、バドワイザーは売り出し中のBUDLIGHTを露出。毎日参加者にはBUDLIGHTを1本提供する大盤振る舞いの対応であった。
《冷えたBUDLIGHTだけでなくシルクスクリーンのノベルティや名物の三輪自転車まで》
これから数回にわたってSXSW観戦記と題してレポートしていきたい。
(つづく)