シリコンバレー見聞録―その8 PayPalやDropboxを輩出したPlug and Play Tech Center
Plug and Play Tech Centerは、2006年にサニーベールに開設されたスタートアップの為のインキュベーション施設です。これまでに約3000社のスタートアップを輩出してきた同イノベーションプラットフォームは、まさにシリコンバレーのエコシステム形成の立役者と言われています。
海外にも拠点を構え、日本展開も視野に入れる同社は、創業者であり自身も投資家としてDropboxやLendingClubへの投資実績を持つSaeed Amidi氏によって設立されました。
《Plug and Play Tech Center受付》
あのPayPalやDropboxを輩出
受付のバックにはeBayに買収されたPayPalやDropboxなと、EXITしたベンチャー企業のロゴやエコシステムについて紹介されています。提携する大学も多く有名大学のフラッグが多数掲げられています。
《誇らしげに掲載されるEXITしたベンチャー企業ロゴとエコシステム概念図、そして提携する大学のフラッグ》
事業開発の為の自発的なイノベーションを産みだすエコシステムを支える仕組み
一般に"Plug and Play"とは、パソコンなどに周辺機器をつないだら (Plug)、ユーザが何か特別なことをしなくても実行 (Play) できる、自動的に協調し、機器の組み込みと設定を行う仕組みを指します。
つまりインキュベーションを進めるために必要な仕組みを備えたイノベーションセンターなのです。
ベンチャー企業は、一般的にエンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)から資金を調達し、様々なステークホルダーと連携しながら成長します。その際、弁護士や会計士などのプロフェッショナルの手を借りる必要もあります。
このような事業開発ための要素をエコシステムとして効率良く実現し、ビジネスを加速するのがスタートアップ・インキュベータやシードアクセラレータの役割と言われています。
Plug and Playは、スタートアップに対してオフィスの提供やビジネス立上げの専門家によるアドバイス、直接投資や大手企業とのビジネスマッチングなど、スタートアップの成長を加速させるトータルサポートを行い、これまでに数千社のスタートアップを輩出してきました。
《日本の自治体や企業の個別ブース。IoTなどカテゴリ別のプラットフォームもある》
頻繁に開催されるイベント
二階のプレゼンスペースでは、訪問日には、"The Future of Mobility"と題したイベントが開催されていました。メルセデスベンツをはじめ、様々な企業がスポンサーを務め、MobilityとICT関連の企業が多数参加していました。
《The Future of Mobilityでのプレゼンの様子》
様々な人が集う"場(ba)"
Plug and Play Tech Centerの施設内にはこれまでの訪問者の足跡を確認することができます。あのオバマ大統領を始め、日本企業の要人(実は、当社の社長の写真もあった!) やプログラミング言語Rubyの設計者として知られるまつもとゆきひろさんの写真も掲示されていました。
《様々な訪問者たちのサインや写真》
今後、この場から旅立つ日本のスタートアップ企業も加速することを期待したいと思います。
《Plug and Play Tech Center概観》
(つづく)