シリコンバレー見聞録―その6 聖地巡礼 スタンフォード大学 d.school
SAPのビジネス大変革には、実はデザイン思考が大きく影響しているらしい。
「デザイン思考では、答え(Problem Solving)よりも問題を定義すること(Problem Finding)の方が大切なんですよ!」
SAPの小松原さんは、そう指摘してくれました。これは、要件定義が難しい事業部門や生活者を対象とした世界で、未だ世の中に存在しないデジタルシステムを考える場合には特に重要なスタンスだと思う。 そのための解決手法として今注目を集めているのがデザイン思考なのです。
世界的にも有名な名門私立大学
スタンフォード大学は、世界的にも有名な名門私立大学。あのジョン・F・ケネディやテスラのイーロン・マスク、タイガーウッズも出身者らしい。一説によると年収1,500万円以下の家庭の子息は、学費無料とか。
《広大な敷地を持つスタンフォード大学とd.school》
そのスタンフォード大学に私財を投じてデザイン思考を体系的に学ぶd.schoolを設立したのがSAPの会長のハッソ・プラットナー。彼は、デザイン思考の考え方に共感し、日本円にして30億円以上も投じたのだ。東海岸のIDEOからも人材をハンティングしたらしい。
《ハッソがd.schoolの構想をメモした紙ナプキンを象ったプレート》
聖地とはこんなもの
意外とこじんまりとしたガラスを多用した校舎に入り、少し進むと少し広い吹き抜けのスペースが出現する。ここには、イノベーション魂を揺さぶるメッセージ性溢れる垂れ幕が!!恐らくこのスペースでは様々なイベントが開かれるのだろう。
《まるで工場のようなハードな造り》
ワクワク空間が広がる
大学の敷地からすると決して巨大施設ではないが、イノベーティブな空間が広がる。
《学生たちの写真が山ほど》
この地での共通言語は、デザイン思考なのだと悟った。
《ポストイットは、世界の大発明だと思う》
アイデアのプロトも多数展示
まるで高校の理科室の展示のようにd.schoolから生まれたアイデアがガラスの小ケースの中に多数展示されていた。
発展途上国では、出産後病院へ送り届ける前に寒さで幼い命を落とす赤ちゃんが多いことに注目し、赤ちゃんを保温するための仕組みを考案した。
《このアイデアでどれだけの命が救われたのだろうか》
聖地巡礼を終えて
ある日本でお世話になっているベンチャー企業の社長さんから我々の運営するイノベーションスペースPLYに"ミラーボール"が寄贈(奉納)された。彼によるとミラーボールは未来の"神棚"とか。イケてるベンチャーには、ミラーボールや社長の顔を描いたサンドバッグが備わっているらしいw
"なんでこんなお遊びみたいなモノを置くのか!"と日本の大企業にありがちなセリフが当然聞かれたのだが、シリコンバレーのデザイン思考の聖地、しかも大学の施設内にミラーボールが鎮座しているのを見て安堵した(笑)
確か教員の部屋だったように記憶しているが、イノベーション魂を垣間見たような気がする。
《d.schoolで発見した未来の神棚》
我々のイノベーションスペースをよりイケてる空間にするには、次に設置するには誰の顔を描いたサンドバックか。
(つづく)