シリコンバレー見聞録―その2 デジタル・ランチ・エクスペリエンス
短期間ではありますが、米国のシリコンバレーに行ってきました。まさにデジタルビジネスやオープン・サービス・イノベーションのメッカということもあり、ハードスケジュールでしたが刺激的かつ興味深い体験ができました。折角なのでこのコーナで少々連載したいと思います。
UBERやAirbnbなど破壊的なイノベーションを起こす企業が産まれる街が、サンフランシスコを中心とした通称"Bay Area"と呼ばれる地域です。
その中心地サンフランシスコにあるオフィス街の一角に新しいレストランがオープンしていました。
デジタル・ランチ・エクスペリエンス
Eatsa(イーツア)は、今サンフランシスコで最も有名なデジタルレストランです。一見街のファーストフードショップのようです。近くにはセールフォースのオフィスもあります。ちなみにセールフォースでは新本社を建設中で完成するとサンフランシスコ一番の高さを誇るビルになるそうです。
《Eatsaのエントランス、中央:オーダー端末、右:メニュー画面》
Eatsaでのオーダーは、スマートフォン上の専用アプリや店頭の専用端末から好きなメニューをオーダーします。支払いは、基本クレジットカードです。
メニュー表示はこんな感じです。私は、野菜がたくさん入ったヘルシーなAlohaボールを注文しました。お代は、$6.95です。
店内は、まるでAppleストアの雰囲気です。手前のオーダー端末でエントリーして奥の明るいボックス(取り出しスペース)から受け取ります。お客様以外の人、すなわち店員は、一切いません。
《Eatsaの店内の様子》
コインロッカーぐらいのスペースに透明な扉がついています。注目すべきはこの扉で自動的にお店のイメージ画像を表示していたかと思うと料理がセットアップされるとご覧のようにオーダーした人の名前が表示されます。扉を開けるには右上のエリアを2回タップすると自動的にオープンします。この開閉作業は、オーダーした人を識別している訳ではなく、取り間違いが発生する可能性があります。
《左:取り出しスペース、右:出来上がった料理》
Alohaボールのラッピングにも私の名前が個別に印字されています。妙に嬉しい気分です(笑)このあたりのユーザーエクスペリエンスの演出が憎いですね。"あなたのために作りました!"というメッセージが溢れています。
少々大味の感はありますが、野菜がたくさん入っており、ヘルシーなサラダランチという感じでしょうか、ご飯の入ったどんぶりとは異なる食べ物です。
素敵なデジタルランチ体験♪
お昼時と言うこともあり、店頭には沢山の人が注文と受け取りの列を作っていました。しかし、取り出しスペース壁面のサイネージの演出や心地よい音楽も相まって不思議なことに全く待たされた感がありませんでした。
一緒に行った駐在員は、スマートホンの専用アプリでオーダーしました。UIは、ほぼ同じですが、スマートホンのアプリではオーダーの現在のステイタスが表示されます。
《左:スマホトップ、中央:スマホメニュー、右:スマホオーダー》
ちなみにテイクアウトも可能ですが、店頭のテーブルが置かれたスペースで食べることも出来ます。
食事をしながらサービスの開発にはどのように行われたのかメンバーで議論になりました。"Bay Area"は、デザイン思考の本場ということもあり、オフィス街のランチを観察し、アイデア出しを行い、プロトタイプで試行を繰り返したのではないでしょうか?
初期の段階では、ITシステムを実装することなく、裏に隠れた人間が操作してあたかもITシステムが実行しているかのように見せる手法(いわゆるオズの魔法使い)を採用し、実験していたのではとか盛り上がりました。
《オーダーした料理を前にした後輩》
お店の情報によると、料理の調理にはロボットが活躍しているとのことでしたが、料理の取り出しスペースをよく見ているとセットする人の手が見えていました。完全自動ではないのですね(笑)
非常にユニークな店舗で料理もそこそこ美味しかったので、東京の大手町などのオフィス街にも間もなく上陸するのではないでしょうか?
(つづく)