モノづくりのイノベーション 〜ジェスチャー・コントロールが熱い!〜
ジェスチャー・コントロールという分野が最近注目されている。いま、この世界で最も注目される会社がアメリカのLeap Motionだろう。
YouTube: Introducing the Leap Motion
ジェスチャーによって操作ができるデバイスは、2010年にマイクロソフトから販売されたXbox 360向けの「Kinect」が有名だ。カメラセンサーで人の動きを検知してデバイスに触れることなく操作を可能にする。YouTubeを見る限り、このLeapにはカメラらしきものは確認できないが、実は極小カメラが内蔵されていて1/100mmの空中の動きも捉えることができるらしい。
では、このKinectとLeapは何が違うのか。
先行開発者からの情報によるとKinectは、2つのカメラを使って動きをとらえ、3つのLEDで赤外線を照射し、距離を測定しているらしい。Leapもカメラと赤外線を使用していると思われるが、Kinectに対してLeapが認識できる空間領域は狭く、デスクトップの上くらいの範囲しか認識できない。しかし、認識できる精度は非常に細かく、数ミクロン単位での細かい認識が可能とのことだ。
Leapでは、以下を認識可能らしい。
- 10本の指
- それぞれの指の場所
- それぞれの指がどの方向を向いているか
- 手のひらの場所と向き
このiPod程度のデバイスの中に一体どれだけのテクノロジーが詰まっているのか。まだまだ秘密のベールに隠されている部分も多い。
実は、弊社のパソコンでも2010年からカメラ内蔵機種では、手の動きでソフトウェアをコントロールできる「ジェスチャーコントロール」機能が搭載されている。手をカメラにかざすとオンスクリーンで操作アイコンが表示され、そのアイコンを触るように手を動かすことで操作が可能となる。これは、PCの単眼カメラでとらえた画像だけを利用して、画像処理によりジェスチャーをとらえている。1台のカメラを利用しているため奥行きの情報は使えない。
先日ご紹介した次世代ユーザインターフェースでは、複眼(二台のカメラ)のため、カメラのみでも奥行きを測定することができる。
また、ちょうど5月20日に富士通研究所が単眼カメラで奥行きをとらえる技術を発表しており(PCやタブレットに搭載の単眼カメラで、より複雑な操作が可能な3次元ジェスチャー認識技術を開発)、今後の製品への適用も期待されている。
報道によるとLeapは出荷予定は7月22日。販売価格も当初より10ドル高くなり、現在79.99ドルで予約を受け付けている(2月27日までに予約した顧客に対しては、69.99ドルで提供する)。
これは、先週公開されたWindows 8を操作しているデモ動画。
YouTube: Leap Motion With Windows
Leap Motion社は、専用アプリストア「Airspace」の開設も発表している。開始時点で、ゲームの「Cut the Rope」、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズの3Dアニメーション『シュガー・ラッシュ』、ウェザーチャンネルのアプリ、Autodesk社とCorel社のアプリ向けプラグイン等を取り扱う予定とのこと。これらのアプリとアプリストアは、開始時点で利用可能になるという。
これは、まさにコトづくりの事例。
イノベーティブなモノ(Leap)とサービス(専用アプリストア)を組み合わせた例で、iPodとiTunesの組み合わせでご紹介した”シームレスな音楽体験”と全く同じだ(「モノ」から「コト」へ)。
引き続き、この先進的な技術とサービスによるコトづくりに注目していきたい。