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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

リモート研修で講師が映るカメラ映像にどれだけ気を配るか

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「人は見た目が9割」という本もあるぐらい、見た目って大切です。
  ↑おお、珍しくリンクが貼ってない。

というのはですね。この本でも引用していると思われる「メラビアンの法則」は、多くの人が誤解しているから、なんです。

間違った「メラビアンの法則」

4071308_s.jpg話し手が聴き手に与える影響は、

  • 55%=Visual 視覚情報
    (見た目・表情・しぐさ・視線)
  • 38%=Vocal 聴覚情報
    (声の質・速さ・大きさ・口調)
  •  7%=Verbal 言語情報
    (言葉そのものの意味)

の割合である。見た目(55%)や 声質(38%)が重要なのであって、話の中身(7%)がさほど重要ではないのだ。

なんてこと、メラビアンは一言も言ってません

正しい「メラビアンの法則」

アルバート・メラビアンが1971年に記した「Silent Messages: Implicit Communication of Emotions and Attitudes」において、彼は「3つの V が矛盾した場合、人はどの要素に一番引っ張られるか」という実験をしました。

被験者に、3つの情報が矛盾しているメッセージを送ったのです。

例えば、

  • 怒っているような表情(Visual)で、
  • 悲しそう(Vocal)に、
  • 「ありがとう」と伝える(Verbal)

というような具合です。で、「この人は怒っている?悲しんでいる?それとも、感謝している?」と尋ねると、

  • 怒っている(Visual)、と感じた人が 55%
  • 悲しんでいる(Vocal)、と感じた人が 38%
  • 感謝している(Verbal)、と感じた人が 7%

いた、という話です。矛盾した情報の、どこに一番影響を受けるかって話ですよ。

カンカンに怒っているように見える人が、声を荒げて「怒ってないよ!」と言っている。
この人、絶対に怒ってますよね・・・。

しかも、現実に「怒りながら『ありがとう』と言っている」シチュエーションを想像してみてください。「どうしてこの人はこんな作為的な行動をとるんだろう。本当は怒っているのに『ありがとう』と言うなんて、皮肉かしら。」と感じ、相手が言っていることを素直に受け入れられなくなります。だから、この 3つのV は矛盾させてはいけないのです。

とはいえ、見た目が大事なのは事実

とはいえ、人が見た目に左右されてしまうのもまた事実。

例えばAさんは、ボロボロの、匂ってきそうな服を着ていて、「実は私、お金持ちなんです」と言っています。
一方でBさんは、パリッとした立派なスーツに身を包み、「実は私、借金まみれの貧乏人なんです」と言っています。

さて、AさんとBさん、みなさんならどっちが本当のお金持ちだと思いますか?

同じことは、研修業界にも言えることです。研修屋はサービス業です。教える中身が大切、講師の見た目なんて二の次、なんていうわけにはいきません。値段の張るスーツに身を包む必要はないけれど、少なくとも多少は見栄えのいい、パブリックな場所に着て行っても差し支えない服装をしている必要があります。

リモート研修でもそうです。緊急事態で他に何もないなら、スリーコインズ(3COINS)のWebカメラでも仕方ないかもしれませんが、定期的に配信することが前もってわかっているような場合は、やはりそれなりの準備をしたいところです。
服装も然り。絶対にスーツ姿じゃないとダメ、なんてことはありませんが、少なくともそのままリアルにお客様先に出向いてもおかしくない服装はしましょうね。

実は見せたいだけでしょ

さて、実はここからが本題。私は昨年の夏頃から、ある野望がありました。

NHKのニュースや天気予報のような見た目でリモート研修がしたい

目的は次の3つです。

  • 画面に変化やメリハリを持たせることによって、受講者が飽きることなく研修に参加していただけるようにしたい。
  • 地味にPCリソースを消費する「画面共有」を使うことなく、スライドやPC操作の様子を見せたい。
  • スライドを表示しているときにも講師がリアルタイムに画面に登場することで、受講者に疑似的な双方向コミュニケーションの感覚や「見られている」という適度な緊張感を与えたい。

で、どうやってそれを「できるだけおお金をかけずに」「今の弊社の事務所で」「必要に応じてスライドやPC画面のみを大写しにする、という通常の見せ方にも戻れる形で」実現するか、頭を悩ませていました。

そして今日、ついに私のほぼ理想とする見た目(リモート研修で私のカメラ映像として表示されるもの)が完成しました。

それが、これです。

やっと2.PNG

もちろん、本物のディスプレイを使っているわけではありません。仮想背景です。

今流行のビデオスイッチャーを2つ多段接続して、

壁に壁掛けテレビを設置しているような画像にPCの画面を合成し、

その合成映像に さらに 私の姿を合成しています。

背景のデスクトップ画面はリアルな本物のPC画面ですから、ここに PowerPoint のスライドや Webブラウザや Youtube の動画やらを映すことができます。

なーんだ。結局、これを見せたいだけじゃないか。^_^

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