成果が出る職場環境に最低限必要なもの その2
前回の投稿では、どちらかというと物理的な環境を「遊び心」で整えましょう、というお話をしました。物理的な環境を整えるのって、結構大事です。
で、今日は精神的な環境を整えましょう、というお話。久しぶりに私の本業に近い話です。
精神的な環境を整えるとは、「『敵』がいない『場』」を作る、ということです。
『敵』がいない『場』とは、どういうことでしょうか。まず、ここでいう『場』とは、
- 全体の雰囲気、空気
- 参加者の積極性、意欲
- 参加者同士の協調性、参加意識
といった、目に見えないものを指します。
『場』が悪くなると、自分の意見を出しづらくなったり、意見を出す気になれなかったりします。また、対立した意見を前向きに考察・検討しようと思えなかったり、徹底的に議論し尽くすという雰囲気にならなかったりします。その結果、いわゆる「声の大きな人(影響力が強かったり、積極的に発言をしたり、立場が強かったりする人)」の意見だけが通ることになります。会議は無事に終わったように見えますが、意見が十分に出せなかったり、議論し尽くしたと思えなかったりする人は納得がいかない状態で次のステップに進むことになります。長期的にはフラストレーションや不満が溜まり、『場』はさらに悪くなります。
こうした悪い『場』には、見える『敵』(声の大きな人や反対意見を言う人など)や見えない『敵』(新しい意見や反対意見を言い出しづらい雰囲気)、魑魅魍魎がウジャウジャしています。これでは仕事の成果は上がらないばかりか、むしろ下がる一方です。
では、『場』を良くするにはどうすればいいか。話し出すときりがないので、今回はエッセンスだけ。
- どんな意見でも、いったんは聴く姿勢を必ず持つようにする。
頭ごなしに否定したり、できない理由を探したりしない。
「空気を読めよ」という人がいる『場』に限って、その人のせいで空気は悪くなる。 - 良い意見、悪い意見、なんてものはない。結果的に、賛同する人が多いか少ないか、ということはあるだろうけどね。でも、どんな意見でも、意見を出した人を「よく意見を出してくれました」と称賛しよう。ただし、その賞賛は短く、簡潔に。賞賛がわざとらしくなってもいけない。
- 「目は口ほどにものを言う」は正しいが、目に語らせるとたいてい『場』が悪くなる。賛成意見でも反対意見でも、思っていることは必ず言語化しよう。
- 反対意見をむしろ歓迎する。反対意見=否定ではない。その意見をより良くするための改善を示唆してくれているのだ、と考える。
- 相手の話を十分聞いてからそれを否定するのは構わないが、その場合は必ず相手が納得するような理由と代替案を用意する。ただ否定するだけなら小学生でもできる。
禁句は「とにかくダメだ」「前例がない」「ルールで決まっている」。
本当にルールで決まっているとしても、なぜそういうルールが存在するのか、ということを順を追って説明すること。その説明ができなければ、ルールを変えるほうがいいかもしれない。
こういうことを、その『場』を取り仕切っている偉い人ほど意識していただきたいものです。
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偉い人、といえば・・・
偉い人が出した意見を否定しづらい、という『場』もありますね。
そういう場合には、ひとまず「意見を付箋か何かに無記名で書いて出す」というやりかたはいかがでしょうか。「誰が出した意見か」をいったん隠してしまうわけです。純粋に、その意見の内容だけで吟味するようにします。やり方次第で、とても活性化する『場』が作れますよ。