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人を動かすものは何でしょうか?様々な「座右の銘」から、それを探っていきたいと思っています

家の近所でガソリンが145円、で思ったこと

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人間は結局、相対的にしかものを見ることができないんだなぁ、というお話。

今日、家の近所のガソリンスタンドで、ガソリンが「レギュラー 145円(1リットルあたり)」と書いてあるのを目にしました。確か少し前は、160円ぐらいしていたんです。

で、そのカンバンを目にした瞬間、最初に思ったことは

        ガソリン代、やっと安くなったなぁ

でした。

で、次の瞬間・・・ いや、ちょっと待てよ?
今年の始め頃って、確かこのガソリンスタンド、レギュラーガソリンが 119円 だったじゃないか。ということは、(昨年に比べたら)ガソリン代はまだ、高いままなんじゃないか。

結局、人間って、直前の状態から相対的にしかものを見ることができないんですね。直前の、1リットル 160円 という意識が最初にあるから、それと相対的に比べて安い、と思ってしまう。でも昨年の119円に比べたら高い、と思ってしまうわけですね。
絶対評価しようと思えば、それはかなり意識しないとできない。人間は基本的には、相対評価しかできないんです。

それは高いとか安いなどと思う、つまり感情のことだけではありません。
簡単な実験で、体感でさえ相対評価だ、ということがわかります。
氷水と、普通の水と、お湯を用意します。氷水に手を10秒ぐらいつけてから水に手をつけると、水は温かく感じます。また、お湯に手を10秒ぐらいつけてから水に手をつけると、水は冷たく感じます。

それは、目に関しても同じことがいえます。試しに「バーチャル科学館」の「マインド・ラボ」で、我々の目は、どれほど「相対的に」ものを見ているか、確かめてみてください。
(この「マインド・ラボ」、めちゃくちゃ良くできています。感動モノです)

さて、人間は基本的に相対的にものを見たり、感じたり、思ったりするということがわかりました。これは実は、コミュニケーションの世界やネゴシエーションの世界でもとても重要なことなのです。

例えば。本当に相手にやらせたい無理難題があるとします。そうですね、「相手から10万円借りる」ということが目的だとしましょう。しかし、相手に突然「10万円貸してくれ」といっても、まず貸してくれないでしょう。

そこで、相手に「すまないが、100万円貸してくれ」と頼むのです。相手はギョッとするでしょう。100万円が必要な理由を(本当は10万円なんですが)きちんと説明します。でも相手は、とうてい100万円なんて貸してくれません。そこで・・・と譲歩するのです。70万円、50万円、30万円・・・ええい、10万円でもいいから、貸してくれ、と。そうしたら、相手は最初の金額(100万円)か、あるいは直前の金額(30万円)と相対的に比較して、10万円だったら貸せるかな?と思ってくれるかもしれません。こうして、当初の目的である「10万円を借りる」という目的を達成することができるのです。

これは、「ドア・イン・ザ・フェイス」という、交渉のテクニックです。最初に到底かなえられないような要求を出し、徐々に譲歩して、最終的に本来の目的を達成する、というものなのです。

交渉術の様々なテクニックは、すべてが人間の心理や、本能的に行動してしまう原理に基づいて成り立っています。「145円のガソリンを安いと思った」私は、いわばまんまとひっかかったわけですね。

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