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中原淳さん「人生100年時代 働く大人の学び方」(2018年10月7日)に参加した!

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10月7日(土)青山学院大学で開催された中原淳さんの「人生100年時代 働く大人の学び方」に"参加"してきた。

「講演」ではあるが、「参加」だ。途中3-4回、隣近所に座っている人同士で「対話する」時間があったからだ。

こんなお話だった。



人生はどんどん伸びていて、社会はどんどん変化している。

だから、大人は学び続け、変化し続けないと、その流れに乗れなくなるよー。

「学ぶ」というと、「学校に通う」とか、分かりやすいところで「資格取得」とかをイメージするけど、それらは「学び」の形の一つであって、現代を生きる私たちは、「変化の激しい社会で、長くなった人生を生き抜くためには、常に変わり続けなければならないから、その変化に対応すること」、それが「学ぶ」ということだ。

ふむふむ。


リンダ・グラットンさんの『ライフシフト』にもあるように、「人は80歳まで働くようになる」だろうと言われていて、そういえば、国は、「70歳までの雇用について努力義務にしよう」だのなんだのと言い始めてもいる。

破綻した年金制度をどうにかするために、という、なんだかしゃらくさい問題があるから、「いつまでも働け!」と言われているような、被害者意識を持ちやすいのだけれど、もし、年金制度が破綻していなくても、今までと同じように年金が潤沢に支給されることになっていたとしても、60歳で定年し、100歳まで生きることになった場合、40年もの長きにわたり、「隠居生活」で耐えられるのだろうか、という心情の問題はあるはずだ。

だって22歳で就職したとして、60歳で退職すると38年でしょう?
その後100歳まで生き(てしまっ)たら、40年でしょう?

引退後のほうがうんと長くなるじゃぁあーりませんか。

それ、どうなの?

先立つものがいっぱいあっても、40年もずっとご隠居生活で、楽しい?と思わなくもない。

人生が長くなった、というその一点だけでも、年金問題がなくても、人が長期間にわたり、働き続けることになることは必然なのだろう。

さて、働く期間が50年、60年と長くなってくると、どうなるか。

2-30代までに覚えた知識や身に着けたやり方では、最後まで完走できないということになる。

だから、何度も何度も自分の知識やスキルを塗り替えて、自分自身をVersion UPしていかなければならない。

そうでないと、「昔のヒーロー」(By 北海道大学・松尾睦教授)になってしまう・・。

そう、学び続けることは、自らを助けるためなんだよ、ってことは、マルカム・ノールズも以下の本で語っている。
「なぜ学ぶのか。それは、生き抜くためです。20歳で身に着けたものだけで人生を走り抜けられる時代じゃなくなった」ってなことを、ノールズさんは、何十年も前に書き残している。

昔から言われていたことなんだ。ピンとこなかっただけで。

中原さんの講演に話は戻すが、『働く大人のための「学び」の教科書』には、学びのための原理原則がいくつか出てくる。

講演では、以下にフォーカスしていた。


1.背伸びの原理
2.振り返りの原理
3.つながりの原理


「背伸びの原理」は、いわゆる「ストレッチ」な経験をしているか?ということなのだが、新奇なことに挑戦しているとか、レベルの高いことに取り組んでいるといったことがこれに当たる。

「振り返りの原理」は、「ちゃんと立ち止まって自分のやったことを振り返っていますか?言語化してますか?」ということなのだが、これ、実は、難しい。

これは、中原さんもおっしゃっていたが、学生に「振り返って」と指示すると、「中原先生はこう言った」「中原先生はこう話した」ということに終始しやすいというのだ。

新入社員研修をしていると非常によくわかる。

「それ、ふりかえりじゃなくて、出来事を列挙しているだけだよねー」と思う日誌(学習のふりかえりツールとしての)が毎日たくさん集まってくる。

「振り返る」の、皆、あまり上手じゃない。自分の中で「持論化」できない。一般化できない。

「つながりの原則」は、「自分にフィードバックをしてくれる人を持つ」とか「他者を介在して、自分を理解する」といったことなのだが、ここで役立つのが、「越境」ではないかと思う。

「越境」(えっきょう)、会社でも家庭でもなく、第三の場所を持ち、第三の人間関係を持っているか。

他者を鏡として、自分を見つめるのに、全く文化が異なる人、文脈を共有していない他者とのかかわりは、非常に大きいと思う。

周囲で、「学んでいるなー」「成長し続けているなー」と思う人は、必ず、越境している。
社内(と家庭内)だけに人間関係が閉じていない。

・・・と中原さんの話と私の雑感が混ぜこぜなまとめ方になったが、そんな話を2時間ちょっと聴きつつ、ときどき、お隣さんと考えの共有をしたりして、いつもの中原さん方式、参加型の講演だった。

ところで、途中、4人のスピーカーが登場し、自分の学び(背伸びとかふりかえり、人とのつながり、越境など)について、キャリアを語ったパートがあったのだけれど、ここが実によかった。

最近、キャリア開発支援に力を入れている私は、人のキャリアを聴くのが好きだ。

誰にでもすごくワクワクするストーリーがある。
大きな転機がいくつもある。
偶然の出会いとか偶然の出来事もたくさんある。

トランジションの理論とか偶発性理論とか、いろんな理論を当てはめて考えてみると、とても勉強になる。

そして、今度、キャリア開発支援の研修で、「自分物語」を語ってもらうというワークを考えてみようと思った。

たぶん、自分のキャリアの歴史を決められた枠組みやある切り口にそって他者に語ってみるというのは、他者のためになる以上に、自分自身の深い内省に繋がると思う。

語りながら、「あー私はあの時、こう考えて決断したんだ」とか「あー、そうそう、あの時、あの人に出会ったのが転機だったのよね」と、キャリアはいつでも後から意味づけできるものだから、そういう話は、キャリアの棚卸しとコレカラを考えるのにとても有効だろう。

それにしても、Peatix。すごい。

最近、ありとあらゆるイベントの案内が出てきて、情報が取りやすい。

申し込みやすい(たぶん。←私はPWDを忘れてしまいやすいので、何度もログインに失敗するが、これは私の問題だ)

もし、「どこかで勉強したいと思うけど、どうやって探したらいいかわからん」と思っているのなら、とりあえず、PeatixをDLしてみては?

キャスリーン・フリンさんも、青学での中原さんの講演もどちらもPeatixだった。便利便利。

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「本を1トン読む」という話が出てきた。1冊300gとして、3300冊ってところかな。

年間100冊読んでいれば、33年で到達。

22歳からスタートして55歳で到達ですね。頑張りましょう。

私が以前仕事でお世話になった方は、年間200冊を読んでいるとのこと。65歳で引退された後も現役時代と同じペースで年間200冊を達成し続けているとおっしゃっていた。簡単な本ばかりではなく、専門書も含めてなのだから、すごいと思う。

私はせいぜい100冊/年である。

今回の講演は、以下の本がベースになっていたので、詳しいことを知りたい方は、本を読んでみましょう。

こんな本も出されています。(今、気づいたけど、装丁が似ている! ↑と↓)

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