「任せられる部下がいないから俺がやっちゃう」のではなく「任せないからいつまでも任せられない部下しかいない」のでは?
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マネージャとかリーダーという方とお話していると、こうおっしゃる方がかなり多い。
「任せられる部下がいないから、どうしても自分がやらなきゃいけなくて、凄く業務負荷が高い!」
「部下にはできない仕事が多いので、自分が動くことになり、そうやってプレイヤー仕事を片付けているうちに業務時間が過ぎて、本来のマネジメント仕事に着手できるのは、定時後」
「部下にはできない仕事を全部自分が拾っているので、マネージャになったら余計に忙しくなった」
・・・・・
わからなくもない。
わからなくもない。
わかるといえば、わかる。
だが、しかし、バット。
鶏が先か、卵が先か。
という話をしているようにも思える。
「任される部下がいないから俺がやっちゃう、とおっしゃいますが、任せていないからいつまでたっても"任せられる部下"が出来上がらず、だから、いつまでも"俺がやる"という悪循環にはまっていませんか?」
と尋ねると、たいていの方が、苦笑いする。
「へへへ。そういわれてみればそうなんですけど」
・・・続く言葉は・・・
「でもね、仕事はたくさんあるし、育てている暇がないんです」
わかる、わかる、わかる。
そうやって、いつまでも無限ループに陥る。
「新しい仕事、難易度の高い仕事が来た」 (※)
↓
「見渡す」
↓
「ぎょぎょ、任せられる部下がいない」
↓
「俺がやる」
↓
「俺がチョー忙しい」
↓
「育てる暇がない」
↓
(※)に戻る
見事なループにはまる。
部下側のループ。
「上司が仕事を回してくれない」
↓
「経験が積めない」
↓
「できることが増えない」
↓
「スキルだけでなく、自信も醸成されない」
↓
(※)に戻る
・・・・・・・・・・・・・・
昔、経営者から、こういわれたことがある。ある上司について愚痴をこぼしたら、
「あいつ、プレイヤーとして成仏してないんだなぁ」
「どうしたら、成仏するかなぁ」
・・・「成仏」
上手いこと言う。
以来、「成仏」という言葉が気に入り、あちこちで10万回くらい口にしてみている。
この言葉は、現役ばりばりマネージャの心に響くようで、
「ああ、俺、成仏していないんだなぁ」
「あいつ、成仏させないと、いつまでも同じところにとどまっているなぁ」
と思うようだ。
キャリア理論の中に、ブリッジズと言う人のトランジション論(キャリアの移行期、転機をどうする?という話)がある。
これによると、
●終わる
●中立
●始まる
の3段階を乗り越えるべし!とか。
「移行期」「トランジション」というと、つい「何かが始まる!」と思ってしまうけれど、そうではなく、いったん「何かが終わる」ことなんだ。
「きちんと終わって」そして、「ニュートラルな時期」を経て、「何かが始まる」
これがないとダメなんだ、みたいな考え方ですね。
移行期は、「始まり」ではなく、「終わる」ことから、というのは、まさに「成仏」の話。
そういえば、転職してきた人が、
「前の会社ではこうだったあーだった」
と散々、文句言うケースを見たことがありますが、こういう人は、その組織に新しい風を送り込んできているのではなく、前職を「成仏」していなかったんだろうなぁ、と今頃意味づけが出来た。
・・・というわけで、「プレイヤーとしての自分」がいったん「成仏」できれば、「任せられる部下がいない」のではなく、「任せられるように育てる」「任せる!」と決断できるのではないかと思うのだった。
だいたい、「俺がやった方が早いし」というのは、麻薬みたいなもので、とても気持ちよいのですよね。
「俺がやったほうが早い」症候群は、危ない、危ない、危険がいっぱい。
=============== 本のコーナー♪ =====================
2016年3月18日発行
田中淳子・都川信和 著 『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方 あなたに足りなかったのは「察する力」だった!』 日経BP社
仲良しのスープ作家&画家&たくさんの顔を持つ有賀薫さんが1000日以上連続して朝スープを作り続けた集大成として本を出されます。たまたま同時期に。
スープの本、素敵です。
楽しみ、楽しみ。
2016年3月19日発行。
有賀薫 著 『365日のめざましスープ』 SBクリエイティブ
※この本については手にしてからまた改めてレポートします。
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