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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

事例のエキスから学べる人と事例のエキスが抽出できない人。

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エキス。Extractから来ていて、抽出することを指すわけですが。

講演とか研修とか、自分が実施したり参加したり、どちらの経験もよくします。

講師の話だったり参加者同士の対話だったりから、いろいろな企業の事例、人々の体験談が語られ、ほぉー、なるほどー、ふーん、といろんな想いが頭を巡ります。

・・・でですね。

「事例」は、ないよりあった方がいい。その方が、イメージが沸きやすいから。

ところが、事例から学べる人と学べない人というのがいるんですよね。

ちょっと極端な例で説明します。

たとえば、ある人が何かのセミナーに参加したとします。

講師が理論や理屈を解説するだけだと、必ず「もっと事例を出してほしい」「具体例がないのでイメージが沸かない」と言います。

講師が「事例」や「具体例」を出すようにします。

今度は、「自分の業界と異なる事例だったのでわかりづらい」「具体例はあったが、他業種の例なので理解できない」と言います。

講師は相手の業界や業種での例を挙げるようにします。

すると、「同じIT業界の例ではあったが、自分とその例の企業とは規模が異なるのでイメージしづらい」「風土の異なる企業の例だから参考にならない」と言います。

講師は相手の企業の例を前もってヒアリングし、「御社の事例ですが」と紹介するようにさらに努力します。

「うーん、うちと部署が異なるので、分かりづらいなぁ」「俺のプロジェクトじゃないから、他部署のプロジェクトだとイメージできないなぁ」と言います。自分の勤務先の例であっても、です。

・・・

講師は、「それでは、あなたの例を教えてください。それを議論のテーブルに乗せましょう」と提案します。

「そんなに急に言われても、俺の例なんてすぐ思いつかないよ」と言います。

・・・・・・・はてさて、どこまでいっても、「俺と違う」「私の仕事と異なる」ということになり、事例を出しても、そこから学べないのですね。

一方で、どんな業界の例であろうと、どういう職種の事例であろうと、「業界は違うけど、エッセンスは共通だなぁ、学ぶことが多いなぁ」と思う人もいます。

Extractが出来るかどうか、だと思うのですね。

どんな事例を聴いても、「自分に役立つようなエキスを見つけ出せるか」が「学ぶ力」の有無を表しているような気がします。


「自分と違う例だから」という反応をする人というのは、「自分と違うところ」ばかりに目が向いてしまい、「その中の共通のエッセンス」を見つけ出せないんですね。

どんな例であっても何かしら学べると思う人というのは、「自分と違うところ」は「捨象」しちゃう。そして、「中にある汎用化できるエッセンス」をExtractする。

どこまで行っても、自分とそっくりな体験なんてそうそうあるわけじゃなく、自分の業界や職種と同じ事例など見つかるわけもなく、だとしたら、自分ごとに引き寄せて考える能力を高めたほうが学べることは多くなると思うのです。


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