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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「ハラスメント」について考えてみたりする。

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面白いお話を聴き、思わず、膝を打ってしまったので、忘れないうちに書いておきます。

「何が"セクハラ"か」は、文化によっても変わるし、文化によって個々人の意識も変わるよね、という、ま、当たり前といえば当たり前なことなのですが。

日本は、なんとなくですが、欧米、特に、アメリカの考え方を追いかけているようなところがあると思うのですね。良くも悪くも。

たとえば、私が社会人になった86年というのは、バブルになる前で、雇用機会均等法元年で、男性たちは、「雇用機会均等法、何、それ、おいしいの?」などと思っていたりもしたかもしれませんが、今思えば、外資系であっても、あちこちで「セクハラ発言」「セクハラ行為」がありました。

例を挙げてみると、
●直属の上司(当時35歳くらい)が、20代の女性(つまり私世代)に、「おい、売上を上げるために、若いやつは駅前に行って、客見つけて来い!」と3回くらい言った。
●上司や先輩からしょっちゅう、「おねえちゃん」「よぉ、ねえちゃん」「そこのおねえちゃんたち」と呼ばれた (私は、彼らの"姉"ではないぞ)
●社員旅行で、誰かの部屋に集まって飲むことになったらしく、女性の部屋に電話かかってきて、「誰か女はいないのかー」と何度も言われた
とか、ですね、あったわけです。 

今だったら、全部、アウト‼ですね。いや、当時もアウトだったのでしょうけれど、言われた側も「まぁあ、いいか、ことを荒立てても」と、スルーする力を最大に発揮していたのでしたよ。

それが25年経ち、アメリカをならって、世は「セクハラいかんぜよ」な風潮が本当に浸透し、とにかくめでたい。

上記のような発言をする人は、少なくとも私の周囲にはいない。(呑みの席であっても。)

・・・で、前置き長くなりましたが、非常に多国籍なメンバと働く方にお聞きした話が面白かったのです。

あるアジアの国の方と仕事していたら、「二ホンだったら20年前」みたいなレベルの発言が出てきて、「うわー、それ、セクハラですからー」と思うのだけれど、ご本人は悪気ないし、「セクハラですから」と指摘しても、「え?なんで?ボクの国では、全然セクハラじゃないし、女性もそんなことでは怒らないよ」とぽかんとされるのだとか。具体的に言うと、「○○さん、いいお尻してますね」みたいな発言だったり・・・。

「うわー、そうなんですね、そうなんですね。それ、確かに、二ホンだったら20年か30年前なら、あったかもですね。今は絶滅しましたけど(公には)」

彼女曰く、「日本は、ハラスメントについて、欧米ほど厳密ではないとしても、相当、欧米に近づいたなぁと思っていたのですが、そうじゃないお国柄もまだまだあるんだなぁとびっくり」と。

もちろん、そのアジアのある国の方が、個人的にそういう発言をする方なのであって、お国柄によるものかどうかは不明らしいですが、それでも、ちょっとびっくりなお話でした。

何をハラスメントと感じるかって、人によっても異なりますしね。
あまりわーわー言いすぎても、仕事もしづらいですし。

どこで出会ったか忘れてしまったのですが、ある管理職の方が、

「おれ、何をハラスメントって言われるかわからないし、怖いから、もう部下と話さないことにしているの」

とおっしゃっていて、それもなんだかなぁと思ったことがありました。


ハラスメント問題って結構難しいものがありますよねぇ。

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私の記憶が確かなら、

2007年に厚労省が「セクハラ」は「男性→女性」だけじゃないよ、と言いました。
「女性→男性」「同性同士」もありうるよ、と。

2012年に厚労省が「パワハラ」は「上司→部下」だけじゃないよ、と言いました。
「部下→上司」というパワハラもありうるよ、と。

だから、○○ハラスメントは、皆の問題なんですね。

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