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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「採用で"母集団を形成する”ことに囚われ過ぎ?」&「”変わらない能力”を見るべきでは?」

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JMAM発行『人材教育』9月号の特集1は、「働く構えをつくる新人育成」、特集2は「伸びしろを見る!採用法」。どちらも「若手」問題をターゲットにした記事である。

そのうち、「伸びしろを見る!採用法」に、採用で見るべきポイントが書いてあり、「うわ、ほんと、その通りだ」と思ったので、引用しながら、私の考えも述べてみたい。

私は、人材育成の畑の専門家であり、採用のほうは、素人なのだけれど、人事部がわからも学生・新卒者がわからもあれこれと聴く話の中で、「なんだか最近は大変なことになっているようだぞ」とは思ってきた。

『人材教育』の中で横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院 准教授 服部泰宏氏がこんなことを述べている。 氏は、「採用」をテーマにした「採用学」の研究者だそうだ。


採用の世界には「母集団を増やさなければいい人が採用できない」といった母集団神話がある。

彼は、「本当にそうなの?」と疑問に思い、これについても分析してみたそうだ。

で、かいつまんで言うと、こういうことがわかったらしい。

・採用がうまくいっていない企業の場合

プレエントリー(説明会の募集)→エントリー(応募)で多くの母集団を形成、面接時に数を絞り込んでいる

・採用がうまくいっている企業の場合

プレエントリーでは多くの母集団を形成するが、エントリー(応募)段階では、仕事についてシビアな現実的情報を示し、エントリー数自体を絞り込んでしまう

つまり、「企業が学生を絞り込む」(スクリーニング)をするだけではなく、「学生も企業をスクリーニングする」ようにしている。

大量エントリーで学生は疲弊し、企業も対応に疲弊する。

そうではなく、最初からできるだけ、「マッチしそうな人」を母集団に取り込んでいけばいいじゃないの、ということなのだ。

これは、先日、サカタ カツミさんも同じことをおっしゃっていたなぁ、とふと思い出した。

勤務先で人事・人材開発担当者向けのコミュニティ活動でサカタさんにお越しいただいた時のこと。

「みなさん、1000人の母集団を作ろうとして、その中から1人を選ぶということやっていませんか?優秀な1人を選ぶために1000人を母集団にしないといけないって、そう思い込んでいませんか?」
「それより、とてもマッチした1人が応募してきて、その人が採用できたら、100%ですよ」

皆さんが、「ああ、そういわれてみれば、そうだなぁ」とため息交じりに納得されていた。

「マッチした人」で母集団を形成するという考え方をするためには、上記にもあるように、企業がもっと「本当のこと」を言わねばならない、とサカタさんもおっしゃっていたし、この記事にも書いてある。

だけれど、企業は、期待を「曖昧に示す」だけになっているから、学生も「なんだかわからないけど、とりあえずエントリーしとこか」となっているんじゃないかと服部氏は書いている。

母集団神話に囚われると、「本当のこと」を書けなくなってしまう。


「初年度の年収はいくら」「若手の登用はめったにない」などと正直に言うと、学生が集まらないと考えてしまう

と。(本音、言いすぎると誰も来てくれないんじゃないか、というのは、”ケッコン”という”市場”でも同じことがいえそうで、ちょっと可笑しい)

でも、そこを曖昧にしているから、入社してからのアンマッチが起こり、早期離職にもつながっているということはないのかな?と述べている。

曖昧なことばかりやっているから、学生は翻弄され、活動も過熱してしまう。
そこを根本から見直したほうがいいんじゃないの?と述べている。

ふむ。パラダイムシフトが必要そうだ。

さて、この記事の後半は、「採用でどこを見るか」にも触れており、これまた興味深い。

変わりにくい能力かつ育成もしづらいものを最初から持っているかどうか、「伸びる人材」かどうか、をきちんと見た方がよい。伸びる人材とは、

最小コストで育成できそうな人

とも言える。

企業は、「コミュニケーション能力」などを重視し、見ているようだが、コミュニケーション能力など訓練次第で身に付くものを見て採用するよりも、「重要だけれど変わらない能力・変わりづらい」を持ち合わせているかをきちんと見た方がよいというのだ。

そうそう。ある人が、「どういう人を採用するかというと、Trainableな人だよね」と話していたし、以前の上司が、「現有知識やスキルじゃなくて、”素直さ”で採った」と語っていたことも思い出す。「Trainable」「素直さ」・・・は、「学ぶ力がある」ということであろうかと思う。

『人材教育』9月号には、「変わる能力」と「変わらない能力」の一覧が載っているので、興味のある方は、ぜひご覧ください。

人事部や人材開発部にはたいてい置いてあるのではないかと思います。




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