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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

目的というのは見失いやすい

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「何のためにやるのか?」
「何を実現したいのか?」

・・・そういう「目的」は、常に意識している・・・ようでいて、実は、一番見失いやすいものでもある。

たとえば、

新入社員研修で、「ビジネスマナーを学ぶ」という演習を行う。何度かレビューをして、合格したら、次のステップに進めるということになっていたとする。

「ビジネスマナーを学ぶ」のは、何のためか、といえば、「配属先で、マナーに適った行動を取れるようになる」ことであって、研修で「合格する」ことが目的ではない。

そんなことは、100も承知で研修を受講している新入社員の頭の中では、いつか、「レビューに合格する」ことが目的になってしまう。

「ビジネス文書」を学ぶ。提出期限があるとする。「提出期限に間に合った!」「報告書を出し終わった!」とほっとする。

ほっとするのはいいのだが、ビジネス文書の書き方を練習しているのは、配属後にすぐ議事録だの週報だのがきちんと書けるようになるためなのに、提出期限が過ぎたら、文書のことは忘れてしまう(ことがある)。

新入社員研修を例に挙げたが、日常的にこういう例は枚挙にいとまがない。

検診でメタボ指摘をされ、健康不安を覚えたので、ダイエットしようと糖質オフに挑戦してみたり、はたまた、ジョギングを始めたり・・・。

そのうち、健康になる!という目的をすっかり忘れて、健康を害すほどジョギングにのめり込んだり。(だいたい、私の変態ウォーキングももともとは健康体になって、あわよくば体重も落とそうだったのですが、だんだんと目的を見失って、4日で60㎞歩いてへとへとになったりしてますし)

あれ?

手段が目的になっていくこと、多々ある。
日常茶飯だ。

私の生業は、人材育成のお手伝いをすることだが、以前、こんなことがあった。もう10年以上前の話だから時効だろう。

「リーダーシップ研修をしたいんです」とお声がかかったので、ヒアリングに出向いた。

「こんな内容でしたい」と骨子はかなり明確だったので、私ができることを説明した。

しかし、それ以前に、「なぜ、この層にリーダーシップ研修を?」と基本を確認しないと、と思い、「そもそもリーダーシップ研修をこの階層に提供しようという目的はなんでしょうか?」と尋ねてみると、担当者さんは、

「さぁ、リーダーシップ研修は、長年やっているものなので、私たちにもよくわかりません」

とおっしゃった。

え?と思った瞬間である。

「研修を実施する」ことが目的となってしまい、何のために研修を開催するのかは意識の外にある。

「何のために?」
「何を実現したくて?」

目的を見失うこと。

新入社員だけではなく、経験を積んだ大人でもよく陥る。

時々自問自答しなくては。


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