何歳になっても「自信満々」になんかならない。
数社の新入社員研修を担当しながら、90年代前半に生まれたであろう彼らと接し、「すごいなあ」と思っている。
まじめ。前向き。努力家。
私なんぞ、新人のとき、出来が悪すぎて、先輩に「馬鹿!」と3回も言われ、その都度号泣し、受講態度が悪いと言っては呼び出され、「理解できないことは仕方ない。理解できないからといってふてくされる態度が気に入らない」と叱責される、という体たらく。
それと比べたら、本当に今の若者は、きちんとしている。
どんなことでもそつなくこなす。
飲み込みも早いし、
仲間意識も強いし、
助け合いもする。
素晴らしい。
・・・
そんな彼らから私たちを見ると、
「すごい!」
と思えるようだ。
「どうしたら田中さんのように”きちんと”できますか?」
「どうしたら田中さんのように”深く”考えられますか?」
「田中さんのフィードバックを聴くと、”ああ、そういう視点でモノを見ればいいのか”と気づくことが多いけれど、自分では思いつかないから、ダメだなあと思って」
・・・そんな風に言われる。
「田中さん」のところは、誰でもよい。
新入社員から見た先輩であればだれを置き換えても同じことが言える。
「全然自信ないんです」
「ちゃんと役立っているのだろうかと不安です」
「先輩がたのように堂々としていたいです」
・・・
そういわれることもあるけれど、果たして私たちは「自信」なんか持っているのだろうか。
私もかつて新人だった頃、思っていた。
「5年も仕事していると、堂々と振る舞えるのだろうな」
「10年も仕事すれば、怖いことなくなるのだろうな」
「15年も働けば、どんなことでもどんと来い!という余裕が生まれるのだろうな」
・・・
いやぁー、とんでもない。
今でもあたふた。
今でも不安。
今でも失敗もすれば、他者から叱られることも多々ある。
迷惑もかける。
知らないことも
わからないことも
沢山、
ある。
皺もシミも増えたけれど、(あ、白髪はないんですよ)
目は見えづらくなり、
記憶力も劣化しているけれど、
だけれど、
20代の頃の不安が解消されたかといえばそんなことはなく、
多少は、長く生きているので、
彼らが抱える不安と同じものではないものの、
でも、不安もあれば、自信のなさもある。
そう思うと、人間、一生「自信満々」になんかならないのじゃないかという気がしてくる。
日々、こんなに「ばくばく」しているのだから、
60になろうが、
70になろうが、
変わらないのではないだろうか。
死ぬとき、
「ああ、まだまだ”未熟だ”」
とつぶやいているような気がする。
みんなみんな、「どんなことでもドンと来い!」なんて思っていないんだろう、きっと。たぶん。
ただ、それを取り繕うのが20代よりは上手になっただけなのかも知れない。